学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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祝・日刊ランキング13位!!!!!

一瞬自分の目を疑いました(笑)

皆さん、本当にありがとうございます!

それではいってみよー!




 「この方も姉上なのだな?」

 

 ユリスはそう言うと、挨拶をしようと一歩前へ踏み出した。

 

 「初めまして。私はユリス・・・」

 

 「下がってろユリス」

 

 俺はユリスを手で制する。一方、ユリスは怪訝そうな表情を浮かべていた。

 

 「どうした七瀬?何故そんな怖い表情を・・・」

 

 「ユリスちゃん」

 

 四糸乃姉がユリスを後ろへ下がらせる。いつもの優しい表情は消え、険しい表情となっていた。

 

 それを見た女性が寂しげに笑う。

 

 「四糸乃・・・貴方までそんな顔をするのね」

 

 「・・・笑顔でいられるわけないでしょ?」

 

 女性を睨みつける四糸乃姉。

 

 「あの時のこと・・・忘れたなんて言わせないよ?」

 

 「おい、そろそろ説明してくれないか」

 

 話についていけず、困惑しているユリス。

 

 「その女性は、七瀬達の姉上でいいのか?」

 

 「えぇ、そうよ」

 

 俺達が答える前に、女性が微笑みながら頷く。

 

 「初めまして、《華焔の魔女》さん。私の名前は星野零香・・・星野家の長女よ」

 

 「長女・・・?長女は一織さんではなかったのか・・・?」

 

 「・・・一織姉は次女だよ」

 

 女性・・・零香姉から目を逸らさず、俺は続きを説明した。

 

 「俺達の名前には、必ず数字が入ってるだろ?だから『一』が付いてる一織姉が長女だと思われがちなんだけど・・・俺達の場合、『一』の前に『零』がいるんだよ。それがこの人・・・零香姉ってわけさ」

 

 「なるほど・・・それで?何故そこまでこの人を警戒するのだ?」

 

 「その女がとんでもない罪を犯したからよ」

 

 背後から一織姉の声がした。後ろを振り向くと・・・

 

 「・・・何で姉さん達がここに?」

 

 一織姉だけじゃない。二葉姉、三咲姉、五和姉、六月姉・・・

 

 零香姉と四糸乃姉を含めて、俺の姉さん達が勢揃いである。

 

 「年も明けたし、皆で改めてお墓参りしようってことになってね」

 

 二葉姉が説明してくれる。

 

 「万理華さん達は家に残って、夕飯の準備をしてくれてるわ。七瀬達が帰って来たら、一緒に来てくれる予定だったの。それで私達だけ、一足先にここへ来てみたら・・・」

 

 「まさかこの女がいるとは・・・」

 

 三咲姉が、鋭い眼差しで零香姉を睨んでいた。

 

 「何をしに来たのですか?」

 

 「顔が怖いわよ、三咲」

 

 溜め息をつく零香姉。

 

 「全く・・・私もずいぶん嫌われたものね」

 

 「嫌い?それはちょっと違うかな」

 

 五和姉の全身から、とてつもない殺気が溢れ出ていた。

 

 「私達はアンタが嫌いなんじゃない・・・憎いんだよ」

 

 「首肯。その通りです」

 

 同じく六月姉も、殺気を出しながらレイピアを構えていた。

 

 「少なくとも・・・今この場で斬り殺したいくらいには憎いです」

 

 「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

 殺伐とした空気に、ユリスが慌てふためいている。

 

 「皆さんは家族でしょう!?何故自分達の家族を目の敵にしているのですか!?」

 

 「言ったでしょう。その女がとんでもない罪を犯したからよ」

 

 淡々と述べる一織姉。いつもと違い、とてつもなく冷たい目で零香姉を睨んでいた。

 

 「と、とんでもない罪・・・?」

 

 「えぇ、そうよ」

 

 頷く一織姉。

 

 「その女は、私達にとって家族なんかじゃない・・・親の仇なのよ」

 

 「・・・は?」

 

 唖然としているユリス。

 

 「そ、それはどういう・・・」

 

 「・・・言葉通りの意味だよ」

 

 俺はユリスに事実を告げた。

 

 

 

 

 

 「父さんと母さんは殺されたんだ・・・零香姉にな」

 

 

 

 

 

 辺りが静寂に包まれる。重苦しい雰囲気が、この場を支配していた。

 

 「こ、殺された・・・だと・・・?」

 

 ユリスが信じられないといった表情で零香姉を見る。

 

 「この人が・・・殺した・・・?」

 

 「・・・えぇ、そうよ」

 

 瞑目する零香姉。

 

 「私は・・・父さんと母さんを・・・この手にかけたの」

 

 「「ッ!」」

 

 もう我慢できなかったのか、五和姉と六月姉が同時に飛び出す。

 

 だが・・・

 

 「止めろ」

 

 俺が両手から雷を放ち、二人の行く手を阻んだ。

 

 「っ!?七瀬!?」

 

 「何故邪魔をするのですか!?」

 

 「・・・俺に勝てない二人が、零香姉に勝てるわけないだろ」

 

 冷たく言い放つ俺。

 

 「相手との力量差が分からないほど、五和姉と六月姉も鈍くないよな?」

 

 その言葉に何も言えなくなる二人。

 

 久しぶりに会って、二人とも分かったはずだ。二人がかりで挑んでも、今の俺には勝てないということが。

 

 そして今の零香姉の力量は・・・俺よりも上だ。

 

 「へぇ・・・《魔術師》の力、上手く使いこなしているじゃない」

 

 感心している零香姉。

 

 「界龍での修行は、相当に有意義だったみたいね」

 

 「まぁな」

 

 俺は素っ気無くそう返すと、零香姉を睨んだ。

 

 「それより・・・何しに来た?殺人事件の容疑者として指名手配されてるってこと、忘れたわけじゃないよな?」

 

 「勿論。私がここに来た理由はね・・・」

 

 零香姉が俺を見た。

 

 「七瀬・・・貴方に会う為よ」

 

 「・・・理由は?」

 

 「あら、弟に会いに来るのに理由が要るのかしら?」

 

 悪戯っぽく笑う零香姉。俺は手を前に突き出し、すぐに雷を放てるようにした。

 

 「くだらない戯言は要らない。もう一度聞くけど・・・理由は?」

 

 「勧誘よ」

 

 笑みを消し、真剣な表情になる零香姉。

 

 「七瀬、貴方・・・私と一緒に来ない?」

 

 「ふざけるなッ!」

 

 俺が何かを言う前に、三咲姉が激昂する。

 

 「貴方は自分が何を言ってるか分かってるんですか!?」

 

 「当然じゃない。何か問題でもあるのかしら?」

 

 「大アリよッ!」

 

 二葉姉が声を荒げた。

 

 「封印されていた《神の拳》を七瀬に与えたのはアンタでしょ!?そのせいで七瀬がどれほど苦しんできたと思ってんのよッ!」

 

 そう、俺が《神の拳》を手にすることになったキッカケ・・・

 

 それこそが、目の前にいる零香姉なのだ。

 

 「それが今になって一緒に来いですって!?ふざけるのも大概にしなさいッ!」

 

 怒りで震えている一織姉。そんな姉さん達の様子を見て、零香姉が嘆息する。

 

 「貴方達、ずいぶん七瀬を大事にしているのね・・・その割には七瀬が苦しんでいた時に、何の力にもなれてなかった気がするんだけど?」

 

 その言葉に、姉さん達の表情が歪む。零香姉はさらに続けた。

 

 「七瀬が《鳳凰星武祭》で暴走した時もそう・・・一織と二葉は七瀬を止められず、三咲も四糸乃も見てるだけだった。五和と六月なんて、純星煌式武装に頼ってまで七瀬に勝とうとするし・・・特に五和は、七瀬を痛ぶった挙句ずいぶん酷いこと言ってたわよね?臆病者だの何だのって」

 

 拳を握りしめたまま、何も言えなくなる姉さん達。特に五和姉は、血が滲むほど強く唇を噛んでいた。

 

 「そんな情けない貴方達に、七瀬のことをどうこう言う資格があるとは思えないわ。正直に言って、貴方達に七瀬は任せられない」

 

 「そんなのお前も同じだ」

 

 別の声が割り込んでくる。振り向くと、万理華さんが立っていた。

 

 「万理華さん・・・」

 

 「七瀬・・・無事で良かった」

 

 俺の頭を撫でた万理華さんは、零香姉を睨みつけた。

 

 「久しぶりね、万理華さん。夕飯の支度は良いのかしら?」

 

 「八重達に任せてきた。七瀬達の帰りが遅いから、様子を見に来たんだが・・・まさかお前がいるとはな」

 

 俺の前に立つ万理華さん。

 

 「七瀬は渡さん。お前は一織達に、七瀬のことを任せられないと言ったが・・・私としてはむしろ、お前にだけは七瀬のことを任せられない。七瀬を苦しめて放置した挙句、千里と百愛を手にかけたお前を・・・私は絶対に許さない」

 

 「・・・許さない、ですって?」

 

 その瞬間・・・零香姉の身体から、とてつもないプレッシャーが放たれる。

 

 このプレッシャーのレベルは・・・

 

 「バカな・・・オーフェリアクラスだと・・・?」

 

 震えているユリス。そう、アスタリスク最強の《魔女》である《孤毒の魔女》クラスのプレッシャーだった。

 

 これほどまでの強さなのか・・・ッ!

 

 「・・・許さないのは私の方よ、万理華さん」

 

 「何・・・?」

 

 最大限に警戒しながら、万理華さんが聞き返す。

 

 「私が何も知らないとでも思ったの?私には・・・父さんとも母さんとも、血の繋がりが無いのよね?」

 

 「なっ・・・」

 

 言葉を失う万理華さん。

 

 えっ・・・今何て・・・

 

 「私は皆と血が繋がっていない・・・たった一人を除いて」

 

 零香姉の視線の先には・・・俺がいたのだった。

 

 「私と七瀬は・・・父さんと母さんの本当の子供じゃないのよ」

 




どうも~、ムッティです。

シャノン「ねぇ作者っち、何か流れがシリアスなんだけど・・・」

いやー・・・どうしよう。

シャノン「これ書いてるの作者っちだよねぇ!?」

七瀬の両親が亡くなっている設定は、執筆を始めた当初から決めてたのよ。

何者かの手によって殺された、という設定も決めてました。

そこで登場させたのが零香なんだよね。

シャノン「しかも零香さんとななっちは、本当は星野家の子供じゃなかったと・・・」

この設定はちょっと悩んだけどねー。

正直、風呂敷を広げすぎた感は否めない・・・

とりあえず今後の展開を見守ってほしいと思います。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」

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