学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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クインヴェールの翼、早く次の巻出ないかなー。

っていうかアニメ化してほしい。

まぁアニメ化できるほどストックが無いか・・・

久しぶりにアスタリスクのアニメ観ようかな。

それではいってみよー!


負い目

 「ゴメンね、片付け手伝ってもらっちゃって」

 

 「気にすんなって。それにしても、この人達ときたら・・・」

 

 申し訳なさそうに謝ってくる十萌の頭を撫でつつ、畳の上で雑魚寝する万理華さん・一織姉・二葉姉を見て溜め息をつく俺。

 

 夕飯の時、この三人はグビグビと酒を呑んでたからな・・・酔い潰れるとかどんだけだよ・・・

 

 「でも、万理華さんが酔い潰れるなんて珍しいな・・・今まであったっけ?」

 

 「多分、嬉しいんだと思います」

 

 九美が二葉姉に毛布をかけながら答える。

 

 「一織姉さんや二葉姉さんは、なかなか帰ってきませんからね。七瀬兄さんも帰ってきて、四糸乃姉さんも明後日には帰ってくるでしょう。皆が揃うのが嬉しくて、ついついお酒が進んでしまったんでしょうね」

 

 「万理華さん、意外と寂しがりやですからね」

 

 一織姉に毛布をかける八重。

 

 「夏季休暇の時、お兄様が帰って来ないと知った時の落ち込みようと言ったら・・・」

 

 「え、そんなに落ち込んでた?」

 

 「うん、あからさまに凹んでたよ」

 

 十萌が苦笑しながら言う。

 

 「お兄ちゃん、最初《鳳凰星武祭》には出場しないって言ってたでしょ?だから夏季休暇は帰って来るだろうって思ってたみたい」

 

 「・・・それは悪いことしたな」

 

 毛布をかけつつ、万理華さんの頭を撫でる。

 

 「・・・いつもありがとう、万理華さん」

 

 「ん~・・・もう呑めん・・・」

 

 万理華さんの寝言に笑いつつ、ふと時計を見る。既に夜九時を回っていた。

 

 「もうこんな時間か・・・三人とも、先に風呂入ってこいよ。俺は後で良いから」

 

 この家のお風呂は大浴場になっており、家族全員余裕で入れるほどの広さだ。

 

 八重・九美・十萌は片付けをしていたので、先に三咲姉・五和姉・六月姉・ユリスが入っている。

 

 「え、一緒に入らないんですか?」

 

 「八重、その発想はおかしいからな?」

 

 「昔は一緒に入ってたじゃないですか」

 

 「いや、昔の話だから。昔と今は違うから」

 

 「兄さん、私と裸の突き合いしましょうよ」

 

 「おい九美!?今絶対違う漢字に変換したよな!?いいから早く入ってきなさい!」

 

 「「は~い・・・」」

 

 渋々返事をする二人。

 

 「あ、私はもう少し片付けあるから。お姉ちゃん達は先に入ってて」

 

 「え、大丈夫ですか?手伝いますよ?」

 

 「大丈夫だよ。すぐ終わるから」

 

 「分かりました。ではお先に」

 

 八重と九美がお風呂へと向かう。一方、十萌はじーっとこっちを見ていた。

 

 「ん?どうした十萌?」

 

 「・・・えいっ」

 

 抱きついてくる十萌。

 

 柔らかい感触がっ!二つの大きいマシュマロがっ!

 

 「と、十萌・・・?」

 

 「・・・お姉ちゃん達がいると、こうやってお兄ちゃんに甘えられないからね」

 

 ちょっと恥ずかしいのか、十萌の両頬が赤く染まっている。

 

 「私だって、お兄ちゃんが帰ってきてくれて嬉しいから・・・本当はこうやって、お兄ちゃんに抱きつきたかったんだ・・・」

 

 「十萌・・・」

 

 普段はしっかり者で、甲斐甲斐しく皆の世話を焼いてくれる十萌。優しくて気配りもできて、本当にできた子だけど・・・

 

 星野家で一番歳下の末っ子なんだよな。まだまだ誰かに甘えたいだろうに・・・

 

 「・・・十萌」

 

 名前を呼び、優しく抱き締める。

 

 「甘えたくなったら、いつだって甘えてくれて良いんだぞ」

 

 「・・・うんっ」

 

 十萌が嬉しそうに返事をする。

 

 「じゃあ・・・もうちょっとだけ、このままでお願い・・・」

 

 その言葉を聞き、十萌を抱き締める腕に力を込める俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 《ユリス視点》

 

 

 

 「これでもくらえっ!」

 

 「笑止。その程度で六月が倒せるとでも?」

 

 「貴方達はいい歳して何をやってるんですか・・・」

 

 お湯の掛け合いをして遊ぶ五和さんと六月さんに、溜め息をつく三咲さん。私達は、星野家の大浴場に来ていた。

 

 「騒々しくてすいません・・・」

 

 「いえ、賑やかで良いと思います」

 

 苦笑しながら答える私。何だかんだで、三咲さんが一番の苦労人な気がするな・・・

 

 「それにしても、本当に広いですね・・・驚きました」

 

 「ここはお父様が作ったんですよ。ちなみにこのお湯は天然の温泉です」

 

 「えぇっ!?天然の温泉を引いているんですか!?」

 

 「えぇ、万理華さんが掘り当てたみたいです。『テキトーに掘ってたら当たった』って言ってましたけど」

 

 「・・・彼女は何者なんですか」

 

 そんな軽いノリで温泉を掘り当ててしまうとは・・・

 

 「それをキッカケに、お風呂を広くしようということになりまして。出来上がったのがこの大浴場というわけです」

 

 「なるほど・・・」

 

 ここは七瀬達のお父上が作られたのだな・・・大したものだ。

 

 

 

 

 

 『二人はもう・・・この世にいないんだよ』

 

 

 

 

 

 「っ・・・」

 

 そう言った七瀬は笑ってはいたが、とても寂しそうだった。

 

 私も両親を亡くしてはいるが、ほとんど覚えていないから寂しいと感じたことはない。

 

 だが七瀬には、ここで両親と過ごした思い出がある。寂しくないはずがない。

 

 「・・・どうやら、暗い気持ちにさせちゃったみたいだね」

 

 ふと顔を上げると、五和さんが気遣わしげにこちらを見ていた。

 

 「七瀬から聞いたんでしょ?両親が亡くなってること」

 

 「・・・えぇ、今日初めて聞きました」

 

 「そっか・・・」

 

 「推測。七瀬はきっと、周りに気を遣わせたくなかったのでしょう」

 

 六月さんが溜め息をつく。

 

 「特に七瀬は、お父様とお母様に対して負い目を感じている節がありますから。積極的に話したいとは思わなかったのでしょうね」

 

 「負い目・・・?」

 

 「・・・あの子は小さい頃から、自分の持つ力に振り回されてきましたから」

 

 悲しそうに笑う三咲さん。

 

 「七瀬が誰かを傷つけてしまう度に、周囲の人達はお父様とお母様を糾弾したんです。『お前達の教育が悪いからだ』『まともに子供を育てることも出来ないのか』『これだから《星脈世代》は嫌なんだ』・・・色々言われていましたね」

 

 「そんな・・・」

 

 思わず言葉を失ってしまう。それはいくら何でも酷いではないか・・・

 

 「お父様もお母様も、七瀬に『気にするな』と言っていましたが・・・七瀬は言っていました。『俺の存在が、父さんと母さんを不幸にしている』と・・・」

 

 「七瀬が周囲と距離を置き始めたのは、そのくらいからだったかな・・・私達家族のことでさえ、自分から遠ざけるようになってさ」

 

 当時のことを思い出したのか、表情が歪む五和さん。

 

 「まぁシルヴィの影響もあって、また心を開いてくれるようにはなったんだけど・・・多分、あの時のことはずっと気にしてると思うんだよね。父さんや母さんに対してもそうだけど、私達に対しても負い目を感じてるんじゃないかな・・・」

 

 「・・・そうだったんですか」

 

 七瀬の過去はある程度聞いてはいたが・・・もう乗り越えたものだと思っていた。

 

 未だに引きずっているなんて、考えたこともなかったな・・・

 

 「だから皆さんは、あれほど七瀬を気に掛けているのですか?」

 

 「それもありますが・・・私達は純粋に、七瀬が大好きなんですよ」

 

 三咲さんが屈託の無い笑みを浮かべる。

 

 「こう言ってしまうと、身内贔屓に聞こえるかもしれませんが・・・あれほど心の優しい子はそうそういません。どんな力を持っていようと、七瀬は私達の自慢の弟ですから」

 

 「首肯。七瀬は世界一可愛い弟です」

 

 「三咲姉も六月も、その発言はブラコン認定されるよ?」

 

 「ブラコンですから」

 

 「疑問。ブラコンで何が悪いのですか?」

 

 「アララ、こりゃ末期だね・・・まぁ私もだけどさ」

 

 苦笑する五和さん。

 

 「一織姉も二葉姉も四糸乃姉も、八重も九美も十萌も・・・万理華さんもそうだね。皆七瀬が大好きなんだよ」

 

 「勿論です」

 

 「当然じゃないですか」

 

 大浴場へやってきた八重と九美が、五和さんの言葉にうんうんと頷く。

 

 「あ、さては盗み聞きしてたな?」

 

 「すいません、聞くつもりは無かったんですが・・・」

 

 「何か雰囲気的に入りづらくて・・・」

 

 五和さんの指摘に恐縮する二人。まぁ確かに、入ってくることの出来る雰囲気ではなかったかもしれんな・・・

 

 と、私はそこで一人いないことに気付いた。

 

 「ん?八重と九美だけか?十萌はどうしたのだ?」

 

 「片付けが残ってるから、先に入っててくれと言われまして」

 

 「疑問。二人とも、片付けを手伝っていたのではないのですか?」

 

 六月さんの言葉に、八重と九美が顔を見合わせて苦笑する。

 

 「恐らくただの口実だと思いますよ。兄さんと二人っきりになる為の」

 

 九美の説明に、三咲さん達が『あ~』と納得する。

 

 ん?二人っきりになる為の口実?

 

 「どういうことですか?」

 

 「十萌はしっかり者なんですが、実はとても恥ずかしがりやなんです」

 

 三咲さんが説明してくれる。

 

 「先程五和が言っていましたが、十萌も七瀬が大好きですから。久し振りに会えて、本当は抱きつきたいほど嬉しいはずなんですが・・・私達の前では恥ずかしいから、二人っきりになれる口実を作ったんでしょうね。今頃七瀬にとことん甘えてると思いますよ」

 

 「恐らくそうでしょうね。そんなわけで、私達は長めにお風呂に入るとしましょう」

 

 「ですね。今は十萌ちゃんに兄さんを譲ります。その代わり、後で私も甘えますけど」

 

 「・・・本当に愛されているな、七瀬は」

 

 何だか微笑ましくなり、思わず笑ってしまう私なのだった。

 




どうも~、ムッティです。

シャノン「連続投稿してるけど、ストック大丈夫?」

この章は書き終えてるからね。

そろそろ《獅鷲星武祭》編を執筆しないと。

シャノン「おぉ・・・この前まで執筆のモチベーションが低かった人とは思えない・・・」

新巻読んで、アスタリスク熱が上がってきたからね。

あと、やっぱり読者さんからのコメントが嬉しくて。

「待ってたよ!」とか「お帰りなさい!」とか言ってくださる方もいて、頑張らないとって思ったよ。

シャノン「マジでありがたい話だよね」

ホントそれな。

皆さん、これからもよろしくお願いします。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」



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