今回も新キャラを出しております。
それではいってみよー!
「七瀬ええええええええええっ!」
「請願。七瀬成分が足りません。補充させて下さい」
「ここにも面倒な双子がいた・・・」
広間に入って早々、五和姉と六月姉が抱きついてくる。何というデジャヴ・・・
「あら七瀬、お帰り」
「ユリスちゃんも。いらっしゃい」
「お、お邪魔します・・・」
コタツでダラダラしている一織姉と二葉姉。ユリスが恐縮しながら挨拶する。
「二人とも寛ぎすぎだろ・・・久し振りの帰省とは思えないぐらい馴染んでるし・・・」
「固いこと言わないでよ。本当に久し振りなんだから」
「いやー、やっぱり実家って落ち着くわね」
嬉々としてダラダラしている二人。全く・・・
「あれ、そういや三咲姉は?」
「ここに居ますよ」
「うおっ!?」
いつの間にか、広間の入り口に三咲姉が立っていた。両手に買い物袋を持っている。
「三咲姉、買い物行ってたの?」
「えぇ。十萌だけでは大変ですからね」
「ただいま~」
三咲姉の後ろから、金髪ミディアムヘアの少女が姿を現す。
「待たせてゴメンね。これから夕飯の支度するから・・・って、七瀬お兄ちゃん!?」
「久し振りだな、十萌」
片手を上げて挨拶する俺。
「もう帰ってたの!?連絡してくれたら、駅まで迎えに行ったのに!」
頬を膨らませる少女・・・星野十萌。
こういうところ、変わってないなぁ・・・
「ゴメンゴメン。思ったより早く着いたから、そのまま来ちゃったんだよ」
「全くもう・・・あ、ユリスさんですよね?」
十萌は呆れたように溜め息をつくと、ユリスの方を見た。
「初めまして、星野十萌です。よろしくお願いします」
「ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ。よろしく頼む」
挨拶をかわす二人。十萌がニッコリと笑う。
「どうぞ自由に寛いでて下さい。すぐに夕飯の支度をしますので」
「あ、私も手伝うぞ?」
「いえそんな!そのお気持ちだけで十分です!」
恐縮しながら首を横に振る十萌。と、何かに気付いたように俺を見る。
「そうだお兄ちゃん、今のうちにお墓参りしてきたら?せっかく帰ってきたんだし」
「・・・それもそうだな。ちょっと行ってくるよ」
「なら、私達も行くわ」
一織姉と二葉姉が立ち上がる。
「三咲達はもう済ませたらしいけど、私と二葉は昨日帰ってきたからまだなのよ」
「せっかくだし、七瀬が帰ってきたら一緒に行こうと思ってたの。四糸乃を待ってたら年が明けちゃうしね」
「よし、じゃあ行こうか」
「・・・なぁ、七瀬」
俺達の会話についていけず、首を傾げているユリス。
「誰の墓に行こうとしているのだ?先祖の墓か?」
「・・・そういや、ユリスには説明してなかったな」
今さらながらに気付く俺。
「じゃ、ユリスも行こうぜ。途中で説明するよ」
「う、うむ・・・分かった」
戸惑いながら頷くユリス。どうやら、皆の空気が少し重くなったことに気付いてしまったようだ。
事前に説明しとくんだったな・・・
「あ、そうそう。万理華さんも行ってるはずだから、一緒に連れて帰ってきてよ」
「え、万理華さん行ってんの?」
「うん。明日は色々やることがあって行けないだろうから、今日のうちに掃除しておきたいんだって」
「・・・そっか」
十萌の説明に、俺は思わず苦笑してしまうのだった。
「変わってないな、あの人も・・・」
*****
「では、十萌が末っ子なのか?」
「そうそう。八重と九美の一つ下で、中学二年生だな」
道すがら、ユリスに説明する俺。
「六人の姉に三人の妹・・・大家族だな」
「まぁな。十萌にしてみりゃ、一織姉や二葉姉なんてオバさんみたいなもんだろ」
「そんな歳じゃないもん!」
「ピッチピチの二十代前半よ!?」
「二葉姉、『ピッチピチ』はちょっと古いんじゃない?」
一織姉と二葉姉が抗議してくるが、さらりと受け流す。
弟としては、仕事人間すぎて男の影すら見えないこの二人が心配だったりするんだけどな・・・
「二人とも彼氏いないの?」
「仕事が恋人だから」
「右に同じ」
「・・・ダメだこりゃ」
どうやら、俺に『義兄さん』ができるのは当分先らしい。
「結婚なら、三咲なんか早いんじゃない?《聖騎士》と付き合ってたりして」
「んー、アーネストの側にはレティシアもいるからなぁ・・・それに三咲姉とアーネストって、恋人っていうか戦友って感じじゃん。相棒的な?」
「じゃあ四糸乃かしら?男性ファンからの人気が凄いらしいわよ」
「ウチの四糸乃姉は絶対に嫁にはやらん!」
「父親かっ!」
「冗談だよ、一割は」
「九割は本気なの!?」
一織姉のツッコミ。まぁそれも冗談ではあるけど・・・
「そもそも四糸乃姉は、男性恐怖症を克服しないと。人見知りですら完全には克服できてないんだから」
「それもそうね。じゃあ五和か六月・・・」
「マジで誰か嫁に貰って下さい。特に五和姉」
「態度が全然違うんだけど!?」
「いや、俺はあの二人の将来が心配すぎて・・・」
「・・・気持ちは分かるわ」
俺の肩に手を置く二葉姉。
いやホント、あの二人に男ができる未来が見えない。マジでどうしよう・・・
そんなことを考えていると、ユリスが微笑んでいることに気付いた。
「ん?どうしたユリス?」
「いや・・・本当に仲が良いのだな、星野家は。少し羨ましくなった」
「・・・まぁな」
苦笑する俺。
「今でこそ・・・だけどな」
「七瀬?」
「いや、何でもないよ」
思わず呟いてしまった言葉だったが、ユリスに聞こえていたらしい。咄嗟に誤魔化し、ユリスの背中を押す。
「よーし!もうすぐ着くぞー!」
「うおっ!?な、何をするのだ!?」
ユリスの背中を押しながら歩くと、やがて前方に広い墓地が見える。その中の一つの墓の前に、一人の女性が立っていた。
「あ、いたいた。万理華さーん!」
「ん?」
俺が呼びかけると、その女性・・・星野万理華がこちらを振り向く。
丈の長い黒のドレスを着ており、長く鮮やかな金髪が風になびいていた。
俺を見ると、柔らかな微笑みを浮かべる。
「おぉ、七瀬。お帰り」
「ただいま」
ハグしてくる万理華さんを、優しく抱き締め返す俺。
「大きくなったな・・・まだアスタリスクへ行って一年も経ってないのに」
「成長期だから」
「ハハッ、それもそうか」
面白そうに笑う万理華さん。そして後ろのユリスへと視線を移す。
「そちらがお姫様かな?」
「そうそう。ユリス=アレクサンドラ・・・何だっけ?」
「ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ!今日散々フルネームで挨拶してただろうが!」
「名前が長いんだよ。今日からユリス・フォンな」
「何故そこを取った!?」
「ハハッ、なかなか良いツッコミだな」
万理華さんは笑いながらそう言うと、ユリスに手を差し出した。
「星野万理華だ。七瀬達の伯母にあたる。よろしく頼むよ」
「こちらこそ・・・って伯母!?」
万理華さんと握手をかわした途端、ユリスの表情が驚愕に染まる。
「ん?どうかしたのか?」
「い、いえ・・・とても若く見えたもので・・・てっきり、一織さんや二葉さんと同じくらいの年齢かと・・・」
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。いや、一織と二葉が老けて見えるのか?」
「勘弁してよ万理華さん・・・」
「万理華さんが美魔女すぎるのよ・・・」
万理華さんの言葉に、げんなりしている二人。
万理華さんの正確な年齢は誰も知らないが、恐らくはアラフィフ・・・
「七瀬、女性の年齢を探るのはマナー違反だぞ」
「さらっと人の心を読まないでくれる?」
ホント鋭いなこの人・・・
降参して考えることを止めた俺は、万理華さんの後ろにあるお墓の前にしゃがみこむ。
俺の後ろから、ユリスがお墓を覗き込んだ。
「《星野千里・百愛、ここに眠る》・・・誰だ?」
「・・・俺達の両親さ」
「っ・・・」
息を呑むユリス。
「では、この墓は・・・」
「あぁ、そうだよ」
ユリスの言葉に、力なく笑う俺。
「これは俺達の両親の墓だ。二人はもう・・・この世にいないんだよ」
どうも~、ムッティです。
というわけで今回も新キャラ、十萌と万理華さんを出しております。
シャノン「モチーフは誰なの?」
二人とも、ロクでなし魔術講師と禁忌教典のキャラをモチーフにしてるよ。
十萌はルミアで、万理華はセリカです。
シャノン「あー、なるほどねぇ・・・」
ちなみに亡くなっていることが判明した七瀬の両親も、同じくロクアカのキャラをモチーフにしてます。
シャノン「え、そうなの?」
うん。父親の千里はグレンで、母親の百愛はセラだよ。
シャノン「おぉ・・・ここでは二人が結ばれてるんだね」
そうそう。ロクアカを読んだことがないという方は、是非読んでみて下さい。
シャノン「いや、これ一応アスタリスクの小説なんだけど・・・」
まぁまぁ、良いじゃないか。
それではまた次回!以上、ムッティでした!
シャノン「またね~!」