学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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ちょいちょい名前だけ出していましたが・・・

あの人が出ます。


六人の姉

 翌日、俺と綺凛は控え室で待機していた。

 

 ユリスと綾斗との対戦を前に、控え室には緊張した雰囲気が・・・

 

 「それでそのまま、七瀬に抱き締められた状態で寝たんだ~♪」

 

 「一織姉様ずるいです!七瀬、私も今度泊まりにいきますから!」

 

 「私も行くー!星導館にも行きたいし!」

 

 「同意。六月もお邪魔します」

 

 「何で寛いでんだバカ姉どもおおおおおおおおおおっ!?」

 

 漂ってすらいなかった。完全にバカ姉どもの憩いの場となっていた。

 

 「俺達試合前だからね!?何この緊張感の無さ!」

 

 「だって試合するのは七瀬達であって、私達じゃないもん」

 

 しれっと答える一織姉。

 

 「だからって何で控え室で寛いでんの!?ってか一織姉は仕事休みらしいけど、三咲姉は生徒会の仕事あるんじゃないの!?」

 

 「ありましたよ。全部レティシアに押し付けてきましたが」

 

 「何してんの!?レティシア死ぬよ!?」

 

 「彼女なら上手くやるでしょう。私は彼女を信じてますから」

 

 「そんな信頼は要らないと思うよ!?」

 

 スマン、レティシア・・・今度何か奢るわ・・・

 

 「私達は昨日、七瀬と約束したもんねー!」

 

 「首肯。約束通りきました」

 

 「・・・はいはい、ありがとな」

 

 何かもう面倒だったので、テキトーに頭を撫でておく。綺凛が苦笑していた。

 

 「アハハ・・・七瀬さん、愛されてますね」

 

 「勘弁してくれ・・・」

 

 と、来訪者を告げるチャイムが鳴った。空間ウィンドウを見ると・・・

 

 『七瀬~っ!』

 

 もう一人のバカ姉がいた。

 

 「二葉姉、ハウス」

 

 『犬扱い!?せっかく応援に来てあげたのに!?』

 

 「いや仕事しろよ。警備隊も忙しいだろうに」

 

 『姉さん達が集まるっていうから、上司を脅して休み取ってきたわ』

 

 「何やってんの!?」

 

 こんな人が警備隊やってて良いんだろうか・・・

 

 と、二葉姉の後ろから見覚えのある顔がひょこっと現れた。

 

 「え!?」

 

 慌ててロックを解除する俺。入ってきたのは二葉姉と、水色の髪の女性だった。俺を見るなり、パァッと顔を輝かせる。

 

 「なーちゃん!」

 

 「四糸乃姉!?」

 

 俺の胸に飛び込んでくる女性・・・星野四糸乃。この人も俺の姉さんだ。

 

 「久しぶり!元気してた?」

 

 「勿論だよ!四糸乃姉も元気そうだね」

 

 「この通りだよ!」

 

 胸を張る四糸乃姉。小柄な身体の割に大きな胸が、これでもかと強調される。

 

 「ってか四糸乃姉、仕事はいいの?」

 

 「今日は休みなんですって」

 

 二葉姉が答える。

 

 「どうしても七瀬に会いたくて、スケジュールを調整したそうよ」

 

 「わわっ!?二葉お姉ちゃん!?」

 

 顔を赤くして焦る四糸乃姉。俺は四糸乃姉の頭を撫でた。

 

 「ありがとな、四糸乃姉。久しぶりに会えて嬉しいよ」

 

 「なーちゃん・・・えへへ」

 

 照れ笑いを浮かべる四糸乃姉。と・・・

 

 「あ、あのー・・・」

 

 「ひうっ!?」

 

 綺凛に話しかけられ、慌てて俺の背中に隠れる四糸乃姉。

 

 「えぇっ!?どうしたんですか!?」

 

 「悪いな綺凛、四糸乃姉は極度の人見知りなんだ」

 

 苦笑する俺。変わってないなぁ・・・

 

 「コラ四糸乃、刀藤さんは七瀬のタッグパートナーよ?」

 

 「キチンと挨拶しないとダメでしょう?」

 

 一織姉と三咲姉に背中を押され、おずおずと前に出る四糸乃姉。

 

 「ク、クインヴェール女学園の星野四糸乃です・・・は、初めまして・・・」

 

 「初めまして、刀藤綺凛です。よろしくお願いします」

 

 綺凛が笑顔で握手を求める。その手をおずおずと握る四糸乃姉。

 

 「・・・鍛えられてる」

 

 「分かるんですか?」

 

 「何度も剣を振った人の手をしてるから・・・三咲お姉ちゃんや、いっちゃんやむっちゃんと同じ・・・」

 

 「小さい頃から、ずっと剣を握ってきましたから」

 

 「・・・凄いね」

 

 小さく笑みを浮かべる四糸乃姉。と、綺凛が首を傾げた。

 

 「ひょっとして・・・ルサールカのシノン!?」

 

 「はうっ!?」

 

 突然大声を上げた綺凛に、びくっとする四糸乃姉。

 

 「あれ?綺凛知ってるんだ?」

 

 「有名じゃないですか!ルサールカを知らない人なんて、そうそういませんよ!?」

 

 珍しく熱を帯びた口調の綺凛。

 

 「ルサールカといったら、クインヴェールが誇る人気ガールズロックバンドじゃないですか!しかも実力も折り紙つきで、前回の《獅鷲星武祭》で《星武祭》初出場ながらいきなりベスト八入りですよ!?凄くないですか!?」

 

 「お、おう・・・とりあえず、お前の熱は十分に伝わったわ・・・」

 

 「こんなところでお会いできるなんて光栄です!七瀬さんのお姉様だったなんて!」

 

 「フフッ・・・ありがとう」

 

 綺凛の気持ちが嬉しかったのか、四糸乃姉も柔らかく微笑んでいる。

 

 「綺凛ちゃん、って呼んでも良いかな?なーちゃんのこと、よろしくね」

 

 「は、はいっ!お任せ下さい!」

 

 今度は逆に綺凛が真っ赤になっていた。これは予想外だったな・・・

 

 その時、試合開始が迫ったことを告げるアラームが鳴った。綺凛と視線を合わせる。

 

 「いくか」

 

 「はいっ」

 

 俺達が立ち上がると、姉さん達も立ち上がる。

 

 「七瀬、頑張って」

 

 「応援してるわよ」

 

 「楽しんできて下さい」

 

 「なーちゃんなら大丈夫だよ」

 

 「私達に勝ったんだもん。自信持ちなよ」

 

 「激励。七瀬ならどんな相手でも勝てます」

 

 一織姉、二葉姉、三咲姉、四糸乃姉、五和姉、六月姉・・・六人それぞれがエールを送ってくれる。それが何よりも嬉しかった。

 

 「ありがとう。行ってくる」

 

 「行ってらっしゃい!」

 

 「綺凛ちゃんも頑張ってね」

 

 「はいっ!」

 

 皆に見送られながら、綺凛と共に控え室を出て通路を歩く。

 

 と、通路に誰かが立っていた。あれって・・・

 

 「紗夜!レスター!」

 

 「七瀬、刀藤、激励しに来た」

 

 「感謝しろよ。早めに来てやったんだからな」

 

 笑っている二人。二人はこの次の試合で、準決勝進出をかけて戦う。本来なら試合に備えて集中するところを、わざわざ来てくれたのか・・・

 

 「ユリスと綾斗のところに行かなくて良いのか?」

 

 「さっき行ってきた。だから七瀬達のところにも来た」

 

 微笑む紗夜。俺達に拳を向ける。

 

 「二人とも頑張れ。全力でぶつかってこい」

 

 「アイツらは全力で勝ちにくるぜ。だからお前らも、全力で勝ちに行けよ」

 

 「あぁ、勿論!」

 

 「頑張ります!」

 

 二人と拳を合わせ、俺と綺凛はステージへと向かったのだった。

 

 

 

 *****

 

 

 

 『《鳳凰星武祭》準々決勝の第一試合が、間もなく始まります!そうそうたるメンバーがベスト八に残っていますが、果たしてベスト四に進むのはどのタッグでしょうか!?』

 

 『昨日の五回戦では、優勝最有力候補と言われた星野五和・六月選手のタッグが敗れたッスからね。界龍の黎沈雲・沈華選手のタッグも敗退しましたし、ここからどうなっていくのか注目ッス』

 

 今日もお馴染みの実況者と解説者の声が聞こえてくる。

 

 『第一試合は、星導館同士の対決となります!まず姿を現したのは、天霧綾斗選手とユリス=アレクシア=フォン=リースフェルト選手のタッグです!昨日は界龍の黎沈雲・沈華選手のタッグを打ち破り、見事ベスト八進出を決めました!』

 

 『天霧選手は力を出せる時間が制限されていたことがネックでしたが、昨日の試合でそれを克服したみたいッスからね。かなり期待が持てるッス』

 

 そう、どうやら綾斗の制限時間は増えたようなのだ。今までは五分くらいだったのが、一時間ほどにまで伸びたらしい。もっとも、完全に封印が解けたわけではないらしいが。

 

 だが、あの力を一時間も使えるとなると、厄介なことこの上ない。

 

 それに・・・

 

 「識の境地、だっけ?あれも厄介だよな」

 

 「ですね。あれがある限り、綾斗先輩はフィールド上の全てを把握できます。昨日も奇襲は全く通じていませんでした。となると・・・」

 

 「真正面から倒すしかない、か・・・」

 

 とはいえ、綾斗は序列一位の実力者だ。一人で倒すのは難しいだろう。

 

 「・・・よし、作戦通りでいこうか」

 

 「ですね」

 

 綺凛が笑顔を見せる。そんな綺凛を見て、俺は頭を撫でた。

 

 「七瀬さん?」

 

 「綺凛、俺・・・優勝したら、シルヴィアに会おうと思う」

 

 「っ!ほ、本当ですか!?」

 

 「あぁ、それを優勝の願い事にするつもりだ」

 

 笑う俺。

 

 「今までは、綺凛の願いを叶える為だけに戦ってきたけど・・・俺にも譲れない願いができた。だから・・・願いを叶える為に、力を貸して欲しい」

 

 「当たり前じゃないですか」

 

 俺の手を握る綺凛。

 

 「一緒に願いを叶えましょう。二人で絶対優勝しましょうね」

 

 「あぁ、必ず」

 

 俺達は笑い合い、拳を合わせる。そして共にステージへと上がった。

 

 『続いて姿を現しました、刀藤綺凛選手と星野七瀬選手のタッグです!昨日は優勝最有力候補と言われた、星野五和・六月選手を破って準々決勝に駒を進めました!』

 

 『七瀬選手も昨日の試合で、新たな力が明らかになったッスからね。どういった戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみッス』

 

 ステージの中央へと進む俺と綺凛。待っていたユリスと綾斗が、笑みを浮かべる。

 

 「お前達とは決勝、最低でも準決勝で戦いたかったな・・・沙々宮やレスターと共に、ベスト四に残りたかったところだ」

 

 「贅沢なんて言ってらんないさ」

 

 ユリスの言葉に、肩をすくめる俺。

 

 「勝ち進む限り、いずれは戦うことになるんだ。それが早いか遅いかだけの違いだよ。むしろベスト八まで来たんだから、遅い方だろ」

 

 「確かに」

 

 綾斗が苦笑する。そして《黒炉の魔剣》を起動する。

 

 「全力で戦おう。お互い悔いの残らないようにね」

 

 「えぇ、頑張りましょう」

 

 《千羽切》を抜く綺凛。ユリスも《アスペラ・スピーナ》を起動した。

 

 「いくぞ、七海」

 

 【了解です、マスター】

 

 七海の返事と共に、俺の両手に《神の拳》が装着された。

 

 いよいよか・・・

 

 「勝つぞ、綺凛」

 

 「はいっ!」

 

 「綾斗、全力で行くぞ」

 

 「勿論」

 

 睨み合う俺達。そして機械音声が、試合開始を告げるのだった。

 

 『《鳳凰星武祭》準々決勝一組、試合開始!』

 




どうも~、ムッティです。

名前だけ出ていた四糸乃が、遂に登場しましたね。

シャノン「モチーフは・・・『デート・ア・ライブ』の四糸乃だよね」

はい、そのままでスイマセン・・・

シャノン「もうモチーフっていうか、ただのパクr・・・」

それ以上は言ってはいけない!あ、ちなみに大人ver.の四糸乃ね。

シャノン「っていうか、作者っち『デート・ア・ライブ』好きだよね。五和さんと六月さんのモチーフだって、耶倶矢と夕弦でしょ?」

そうそう。キャラが可愛いから、ついモチーフにしちゃうのよ。

一番好きなキャラは美九だから、いずれモチーフにするかも。

シャノン「名前に数字を入れるところまで真似してるとは・・・完全にパクr・・・」

そ、それではまた次回!

シャノン「あ、逃げた!」

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