学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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久しぶりのハーメルン投稿です。

今回は学戦都市アスタリスクとなります。

相変わらず文才は無いですが、お楽しみいただけたら幸いです。


第一章《姫焔邂逅》
入学初日


 「ここが星導館かぁ・・・」

 

 正門の前で、思わず感嘆の声をあげる俺。この水上学園都市・六花(通称・アスタリスク)には、六つの学校が存在する。

 

 聖ガラードワース学園、界龍第七学院、アルルカント・アカデミー、レヴォルフ黒学院、クインヴェール女学園、そしてここ・・・星導館学園。

 

 今日から俺が通うことになる学校である。さて・・・

 

 「入学式って何処でやるんだ?」

 

 キョロキョロと辺りを見回す。星導館には中等部・高等部・大学部があり、入学式は合同で行われるそうだ。

 

 ちなみに、俺は高等部である。

 

 「さて、どうしたもんかな・・・」

 

 「お困りですか?」

 

 「うわっ!?」

 

 不意に隣から声がして、ビックリしてしまう俺。

 

 いつの間にか、隣に金髪の女性が立っていた。星導館の制服を着ているので、恐らくここの生徒だろう。

 

 かなりの美人である。

 

 「あぁ、申し訳ありません。驚かせてしまいましたか」

 

 「あ、いえ・・・考え事をしていたもので・・・」

 

 「そうでしたか。驚かせてしまい、大変申し訳ありませんでした」

 

 深々と頭を下げる女性。

 

 「いえ、そんな!こちらこそスミマセン!」

 

 俺も慌てて頭を下げた。元々、俺が必要以上に驚きすぎたせいだしな。

 

 女性は顔を上げると、クスクスと笑った。

 

 「初対面でお互い謝るというのも、何だか変な感じですね」

 

 「確かに」

 

 思わず俺も笑ってしまう。と、女性が手を差し出してくる。

 

 「高等部一年、クローディア・エンフィールドと申します。以後お見知りおきを」

 

 「高等部一年、星野七瀬です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 俺はその手を取り、握手を交わした。

 

 「あら、同級生でしたか」

 

 「みたいですね。てっきり先輩だと思ってました」

 

 「・・・私、そんなに老けて見えますか?」

 

 肩を落とすエンフィールドさん。やばい、傷付けた!?

 

 「いや、そういう意味じゃなくて!エンフィールドさん、凄く大人びてるから!」

 

 「フフッ、冗談ですよ」

 

 可笑しそうに笑うエンフィールドさん。マジで勘弁してくれ・・・

 

 「私達は同級生なんですから、そう気を遣わないで下さい。もっと砕けた喋り方で結構ですよ?私のことも、クローディアとお呼び下さい」

 

 「そう?じゃあクローディアで。ってか、気を遣わせたのはクローディアだろ!?」

 

 「さて、何のことやら」

 

 恍けるクローディア。この性悪女め・・・

 

 「ハァ・・・俺のことも七瀬でいいから」

 

 「了解です、七瀬」

 

 「敬語も使わなくて良いぞ?」

 

 「いえ、これはただの習慣ですから」

 

 「習慣?」

 

 「えぇ。私はとても腹黒いので、せめて外面や人当たりは良くしておかないといけないんです。それが染み付いてしまいまして」

 

 「あー・・・確かに腹黒そうだもんな」

 

 「まぁ、酷い・・・七瀬には、私がそんな風に見えるんですね・・・」

 

 「言っておくが、もうその演技には騙されないぞ」

 

 「あら、残念」

 

 悪戯っぽく舌を出すクローディア。何も知らない奴なら、今の仕草だけで簡単に落ちるんだろうなぁ・・・

 

 「ところで七瀬、何やらお困りの様子でしたよね?」

 

 「あ、そうだった!」

 

 入学式の会場を探してることを、すっかり忘れてたな。

 

 「クローディア、入学式の会場って分かるか?」

 

 「えぇ、ちょうど私も向かう所でしたから。ご一緒しましょうか?」

 

 「それは助かる!サンキュー!」

 

 「いえいえ。では、行きましょうか」

 

 歩き出す俺達なのだった。

 

 

 

 *****

 

 

 

 「まさかクローディアが生徒会長だったとは・・・ビックリしたわ」

 

 「フフッ、言ってませんでした?」

 

 「一言も聞いてねーわ」

 

 入学式終了後、俺とクローディアは高等部の校舎の廊下を歩いていた。

 

 入学式でクローディアが生徒会長として壇上に上がっている姿を見た時は、マジで呆気にとられたな・・・

 

 「私は中等部からここの生徒ですので、生徒会長も中等部時代から務めているんです。今年で三期目になりますね」

 

 「マジか・・・道理でよく道を知ってると思ったわ」

 

 「ここに来て四年目になりますからね。学校の敷地内については熟知してますよ」

 

 「だよなぁ」

 

 そんな会話をしながら歩いていると、目的地である教室が見えてきた。

 

 「あぁ、ここが七瀬のクラスの教室ですね」

 

 「悪いな、わざわざ教室まで案内してもらっちゃって」

 

 「いえいえ、これくらいお安い御用です」

 

 微笑むクローディア。

 

 「それにしても、クラスが別々で残念ですね・・・」

 

 「それな。一緒のクラスが良かったんだけど・・・」

 

 「まぁ、仕方ありませんね・・・またお会いしましょう、七瀬」

 

 「おう、またな」

 

 別れようとする俺達だったが、クローディアが何かを思い出したような顔をする。

 

 「あぁ、七瀬」

 

 「ん?どうした?」

 

 「実は七瀬のクラスに、私の友人がいるのですが・・・少々心配でして」

 

 「心配?何が?」

 

 「彼女は気が強くて、周りと馴れ合おうとしないんです。ですから、周りから反感を買いやすくて・・・悪い子ではないので、仲良くしていただけると幸いです」

 

 「なるほど・・・了解。クローディアの友達なら、俺も仲良くしたいしな」

 

 「そう言っていただけると助かります。よろしくお願いしますね」

 

 「おう、任せとけ」

 

 俺が親指を立てると、クローディアは嬉しそうに笑って去っていった。

 

 さて・・・

 

 「教室に入りますか・・・」

 

 ドアを開け、教室の中に入る。既に多くの生徒がおり、他の生徒達と談笑していた。

 

 「えーっと、俺の席は・・・あった!」

 

 黒板に貼られている座席表を見て、自分の席を見つける。どうやら俺の席は後ろから二列目、窓側から二列目の席らしい。

 

 自分の席へ向かうと、既にその席には先客がいた。青みがかった綺麗な髪の女の子が、机に突っ伏して寝ている。

 

 「あれ・・・席を間違ったか?」

 

 再び座席表を確認するが、やっぱり間違っていない。つまり、この女の子が席を間違えているのだ。

 

 と、女の子がむくりと顔を上げた。

 

 「ふぁ・・・」

 

 欠伸をする女の子。ちょうど良いタイミングなので、俺は話しかけた。

 

 「スマン、そこ俺の席なんだけど・・・」

 

 「・・・?」

 

 首を傾げる女の子。そして再び机に突っ伏す。

 

 「寝るんかいっ!」

 

 初対面でどうかとも思ったが、思いっきり頭を引っぱたいた。女の子は頭を抑えて、再び顔を上げた。

 

 「・・・痛い。暴力反対」

 

 「人の話を無視するからだろ。そこは俺の席だ」

 

 「・・・そんなバナナ」

 

 「古いわ!」

 

 何この子、天然?

 

 「私が見た座席表では、この席だったはず」

 

 「名前は?」

 

 「沙々宮紗夜」

 

 座席表を確認してみると・・・左隣の席だった。

 

 「この席の左隣、窓側の席だぞ」

 

 「・・・そんなバナナ」

 

 「二回目!?いいから早く移動しろや!」

 

 俺のツッコミに、大人しく隣の席に移動する沙々宮。

 

 「・・・迷惑をかけた、ごめんなさい」

 

 「いや、まぁ良いけどさ・・・」

 

 変わった子だなぁ・・・いや、個性的と言うべきか。

 

 「俺は星野七瀬。お隣同士よろしくな」

 

 「私は沙々宮紗夜という」

 

 「うん、さっき聞いたわ」

 

 「沙々宮でも紗夜でもさっちゃんでも、好きに呼ぶといい」

 

 「・・・じゃあ紗夜にしとくわ。俺のことも七瀬で良いから」

 

 「了解、七瀬。私は寝るから、先生が来たら起こしてほしい」

 

 「また寝んのかよ!?」

 

 俺のツッコミも空しく、紗夜は机に突っ伏してしまった。やれやれ、何か面倒な奴が隣の席になったな・・・

 

 俺がため息をついていると、今度は右隣の席に誰かが座った。振り向いてみると、一人の女子生徒が座っていた。薔薇色の長い髪を腰まで流した、気品溢れる美女である。

 

 おー、クローディアに勝るとも劣らない・・・ん?もしかして、クローディアが言ってた友達って・・・

 

 「あ、あのー・・・」

 

 おずおずと声をかける。と、不機嫌そうな顔をこちらへ向ける女子生徒。

 

 「・・・何か用か?」

 

 ワー、メッチャ睨マレテルゥ・・・

 

 「いや、隣同士だし挨拶しておこうと思って・・・」

 

 「必要無い。貴様と仲良くするつもりなど無いからな」

 

 あ、絶対この子だ・・・間違いない・・・

 

 「クローディアの言ってた通りだな・・・」

 

 俺の呟きに、女子生徒が反応する。

 

 「クローディア・・・?貴様、クローディアの知り合いか?」

 

 「あぁ、友達だけど」

 

 「なるほど、そういうことか・・・大方、クローディアに頼まれたのだろう?私と仲良くしてやってくれと」

 

 ・・・悪いクローディア、一瞬にして看破されたわ。

 

 「まぁ頼まれたけど・・・俺も仲良くしたいなって思ってさ。クローディアの友達なんだろ?」

 

 「断じて違う」

 

 「え、違うの!?」

 

 「ウィーンのオペラ座舞踏会で、何度か顔を合わせた程度の昔馴染みだ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

 「それを言ったら、俺なんて今日初めてクローディアと会ったんだけど・・・」

 

 「何を基準に友人とするのかは、人それぞれだろう。貴様にとってクローディアは友人かもしれないが、私にとっては違う。ただそれだけのことだ」

 

 この子、ちょっとドライ過ぎないか・・・?

 

 「・・・まぁそれはさておき、名前ぐらいは教えてもらえないか?」

 

 「・・・まぁそれくらいなら良いだろう。ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ」

 

 「ユリス=アレキサンダー・フォン・ルーズベルト?」

 

 「聞き間違いにも程があるだろう!ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ!」

 

 「・・・ユリスだな、よろしく」

 

 「今明らかに名前を覚えることを諦めたな!?そうだな!?」

 

 「ハハハ、何ノコトヤラ・・・」

 

 「嘘つくの下手くそか!」

 

 おぉ、この子ツッコミ上手いな・・・

 

 「俺は星野七瀬。七瀬でいいから」

 

 「ふん、貴様の名前など興味は無い」

 

 鼻を鳴らすユリス。

 

 「もう一度言っておくが、私は貴様と仲良くするつもりなど無い。それが分かったら、私には関わらないことだな」

 

 あらら、宣言されちゃった。これは前途多難だな・・・

 

 「おーい、お前ら席に着けー。ホームルーム始めんぞー」

 

 担任と思われる先生がやってくる。よし、とりあえず・・・

 

 「おい、起きろ紗夜。先生が来たぞ」

 

 ユリスのことを考えるのは後にして、紗夜を起こしにかかる俺なのだった。

 




お久しぶりです、ムッティです。

いや、お前誰だよ!?と思った方は初めまして。

ムッティと申します。

以前、ソードアート・オンラインの小説を投稿させていただいたことがありまして。

約一年半ぶりの投稿となります。

ゆっくり投稿していきたいと思いますので、温かい目で見守っていただけると幸いです。

それではまた次回!

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