シャノン『くたばれえええええっ!!!!!』
ギャアアアアアッ!?
翌日・・・
「おぉ、お父さんが遂に釈放されたのか!」
「えぇ、おかげさまで」
嬉しそうに頷く綺凛。
いつも通りのメンツで昼ご飯を食べていた俺達は、綺凛から喜ばしい知らせを聞いていたのだった。
「再審で減刑され、刑期満了になって釈放まで一ヶ月か・・・流石だな」
感心しているユリス。
綺凛は《獅鷲星武祭》で優勝した際の願いとして、お父さんの釈放を希望していた。
それが無かったら、綺凛のお父さんはこの先数十年は収監されたままだっただろう。
流石は統合企業財体、腐っていても権力だけは凄まじいな・・・
「・・・おめでとう、綺凛」
綺凛の頭を撫でる俺。
「本当に良かった・・・よく頑張ったな」
「っ・・・七瀬さん・・・!」
涙ぐんでいる綺凛。
「七瀬さんのおかげです・・・何とお礼を言ったら良いか・・・!」
「よせよ、相棒」
笑みを浮かべる俺。
「俺とお前の仲だろ。水臭いこと言うなよ」
「フフッ、少し嫉妬してしまいますね」
俺の隣に座っていたクローディアが、笑いながら抱きついてくる。
「恋人の私が隣にいるというのに、綺凛のことを口説くなんて」
「口説いてねーわ。俺が口説いたのはお前とシルヴィだけだよ」
「っ・・・」
恥ずかしそうに頬を赤く染めるクローディア。
ホント乙女になったよな、コイツ・・・
「・・・綾斗、コーヒーが甘い。ブラックが飲みたい」
「いや、それブラックだから。七瀬とクローディアのせいで甘く感じるだけだから」
紗夜にツッコミを入れる綾斗。
失礼な、イチャイチャしたわけでもないのに。
「コ、コホンッ!それで実は、父が直接お礼を申し上げたいとのことでして・・・ご都合が合えば、冬期休暇に皆さんを私の家にお招きしたいのですが・・・」
綺凛がそんなことを言う。綺凛の実家かぁ・・・
「ふむ・・・その申し出はありがたいが、私は遠慮させてもらおう」
残念そうに首を横に振るユリス。
「来年の《王竜星武祭》に備えて、冬期休暇はトレーニングに費やすつもりなのでな」
「あれ?リーゼルタニアには帰らないのか?」
「あぁ、残念ながらな」
頷くユリス。
ユリスは《獅鷲星武祭》で優勝した願いとして、リーゼルタニアの王権の拡大を希望した。
現在はヨルベルトさんが統合企業財体へ根回しを行なっているらしく、各統合企業財体間のパワーバランスを調整しながら詳細を詰めていくつもりらしい。
その作業で今はヨルベルトさんも忙しいだろうし、ユリスも遠慮したのかもしれないな・・・
「私も行きたいのは山々だけど・・・冬期休暇はどうしても外せない用件がある」
申し訳なさそうに言う紗夜。
「煌式武装開発施設の移設が始まるから、それに立ち会っておきたい」
「あぁ、そういや冬季休暇にやるんだっけ」
思い出す俺。
今までアルルカントにしか無かった煌式武装の開発施設が、この度星導館にも導入されるのだそうだ。
サイラスの一件によって始まった、星導館とアルルカントによる新型煌式武装の共同開発がキッカケになったらしい。
そう考えると、サイラスってマジヤバくね?
「実は紗夜のお父上である沙々宮創一氏には、来年度から星導館の装備局技術顧問として施設のアドバイザーに就任していただく予定なんですよ。ね、紗夜?」
「うん。近いうちに、お父さんとの直通回線を新設する予定」
嬉しそうに微笑む紗夜。
紗夜は《獅鷲星武祭》で優勝した願いとして、ずばり金銭を希望した。
紗夜のお父さんは過去の事故で身体を喪失し、今はドイツにある自宅のラボと一体化しているんだとか。
その維持とメンテナンスにそれなりのお金がかかるらしく、紗夜としては万が一の時の為にバックアップが欲しかったらしい。
っていうか、ラボと一体化って・・・流石は紗夜のお父さん、規格外過ぎる・・・
「ユリスと紗夜がパスか・・・綾斗の予定はどうなんだ?」
「俺は実家に帰るよ。姉さんのことを、父さんと話し合わないといけないし」
俺の問いに答える綾斗。
綾斗は《獅鷲星武祭》で優勝した願いとして、姉である遥さんを目覚めさせることを希望した。
そこで提示された方法は二つ・・・一つは、治療院のヤン・コルベル院長に協力を仰ぐこと。
そしてもう一つは・・・
「・・・《大博士》の提案を受け入れる、か。簡単には下せない決断だよな」
「あぁ、全くだよ」
苦い表情を浮かべる綾斗。
コルベル院長の方は、少なく見積もっても十年はかかるそうだ。
一方《大博士》の方は、ペナルティが解除されればすぐにでも遥さんを目覚めさせることが可能らしい。
調査の結果、それが本当だということも判明しているそうだ。
「綾斗、以前にも言ったが・・・私はお前が《大博士》の力を頼ることになったとしても、責めるつもりは一切無いぞ」
綾斗を気遣うように声をかけるユリス。
「私の問題とお前の問題は別だ。私に気を遣う必要は無いからな」
「ありがとう、ユリス」
微笑む綾斗。
「これからについては、父さんと話し合って決めたいと思ってる。だから一度実家には帰るけど・・・冬季休暇中ずっと滞在するつもりは無いし、迷惑でなければ綺凛ちゃんの実家に顔を出させてもらおうかな」
「め、迷惑だなんてとんでもないです!ありがとうございます!」
頭を下げる綺凛。
となると、後は俺とクローディアか・・・
「クローディア、俺達も綺凛の実家にお邪魔させてもらおうか?どうせ年が明けてからじゃないと、皆揃わないもんな」
「そうですね。そうさせていただきましょうか」
頷くクローディア。
シルヴィも四糸乃姉も九美も、カウントダウンコンサートが終わるまでは帰って来られないしな。
最近デビューしたクロエもコンサートに参加するらしいから、シルヴィ達が連れてきてくれることになってるし。
「じゃあ綺凛、俺達三人はお邪魔させてもらうから。実家の方に伝えてもらえるか?」
「はいっ!」
嬉しそうな綺凛。
綺凛のお父さんって、どんな人なんだろうなぁ・・・
「さて、綺凛の実家にお邪魔することが決まったところで・・・少々よろしいですか?」
話を切り出すクローディア。
「次の《王竜星武祭》について、確認をしておきたいのですが・・・この中で出場を決めていらっしゃる方は?」
クローディアの問いに、三つの手が同時に上がった。
ユリス・紗夜・俺の三人だ。
「なるほど、三人ですか・・・綾斗は出場しないのですか?ユリスと同様、貴方にもグランドスラムの可能性がありますが・・・」
「姉さんの件に目処がついた今、他に叶えてもらいたい願いは無いからね。三人の邪魔はしたくないから」
「相変わらず綾斗は無欲ですね・・・それなら、銀河はユリスにグランドスラムを期待するでしょうね。まぁ絶対王者が君臨していますから、難しいことは重々承知しているでしょうけれど」
「オーフェリアは私が倒すさ」
「いや、俺だ」
宣言するユリスに対し、口を挟む俺。
「《孤毒の魔女》とは、リーゼルタニアで再戦を約束したんだ。綾斗とユリスを殺されかけた恨みもあるし・・・アイツとシルヴィを倒すことに関しては、俺も譲れないぞ」
「私のことも忘れないでほしい」
さらに口を挟んでくる紗夜。
「カミラ・パレートとの決着を着ける為に、私はアルディとリムシィを倒す。その前にユリスや七瀬と当たったら・・・容赦はしない」
「やれるものならやってみろ。煌式武装ごと丸焼きにしてやろう」
「じゃあ俺は二人の頭を丸刈りにするわ」
「「それは止めて下さい」」
土下座してくる二人。よっぽど丸刈りが嫌らしい。
「やれやれ・・・では、綺凛はどうするのですか?」
「ふぇっ!?わ、私はその・・・まだ決めていなくて・・・」
言葉を濁す綺凛。
そんな綺凛に、クローディアが優しく微笑みかけた。
「フフッ、じっくり考えて決めて下さい・・・とはいえ学園側の意向としては、出来れば出場は控えていただきたいのが本当のところですか」
「・・・グランドスラムの邪魔になるから、ということか?」
「落ち着けお転婆お姫様」
「あたっ!?」
クローディアに凄むユリスの頭に、チョップをお見舞いする。
「な、何をするのだ七瀬!?」
「綺凛はもう、《星武祭》に二回出場してるんだぞ?中等部の段階で三回目を消費するのは勿体ないだろ」
呆れながらユリスに説明する俺。
「綺凛は綾斗に負けるまで、ウチの序列一位を張っていた実力者だ。年齢的にもこれからが伸び盛りなんだし、急ぐ必要は無いだろうよ・・・まぁ身体の一部に関していえば、本当にこれ以上伸びるのか疑わしいぐらい大きいけど」
「「「・・・確かに」」」
「どこ見てるんですか!?」
ユリス・紗夜・クローディアの視線に、慌てて胸を隠す綺凛。
綾斗は苦笑しながら目を逸らしていた。紳士だなぁ・・・
「まぁ、綺凛の胸が大きいのはさておき・・・」
空間ウィンドウを開くクローディア。
「そんな綺凛に、是非とも検討していただきたいものがありまして」
空間ウィンドウを綺凛の前に送るクローディア。
そこに映し出されていたのは・・・
「これは・・・日本刀?」
「いや、よく見るとかなり小さいコアがある・・・煌式武装じゃないかな?」
ユリスと綾斗が覗き込み、感想を漏らすが・・・
「・・・いや、違うな」
覗き込んだ俺は、それを見て確信した。
「クローディア、これ・・・純星煌式武装だろ」
「正解です。流石は七瀬ですね」
拍手するクローディア。
「日本刀型の純星煌式武装・・・その名も《芙堕落》です。銀河から届いたばかりの新品なのですが、是非とも綺凛に使っていただきたいと思いまして」
「わ、私ですか・・・?」
「えぇ。勿論適合率検査は受けていただきますが、貴女は序列外とはいえ相当の実力者です。優先的にチャンスが与えられても文句は言われないでしょうし、日本刀といえば貴女ですから」
「まぁ確かに・・・綺凛にピッタリだな」
俺も頷く。
「綺凛の《千羽切》は、もう修復出来そうにないみたいだし・・・新しい刀が必要になるだろうしな」
実は《獅鷲星武祭》での激戦により、綺凛の愛刀である《千羽切》は深刻なダメージを負っていた。
決勝でクローディアを守る為、ライオネルさんの攻撃を真正面から受け止めたのがトドメだったらしい。
もう実戦では使うことが出来ず、今はブレード型の煌式武装を使っているくらいだ。
「綺凛、試しに使ってみたらどうだ?お前なら適合率検査も問題無いだろうしさ」
「そ、そうでしょうか・・・」
明らかに逡巡している綺凛。どうしたんだろう?
「まぁ別段、強制したいわけではありません。検討していただけると幸いです」
「は、はい・・・」
クローディアの言葉に、力なく頷く綺凛。
《獅鷲星武祭》が終わった直後あたりから、綺凛の様子はどうもおかしかった。
何か思い悩んでいるようで、溜め息をついたり沈んだ顔をしていたり・・・
少し気になっていたのだが、そろそろ話を聞いてみるべきかな・・・
「それでは、そろそろお開きにしましょうか。昼休みも終わってしまいますし」
クローディアの言葉をキッカケに、次々と席を立つ皆。
俺も席を立つと、いきなりクローディアが抱きついてきた。
「・・・大胆になったな、お前」
「フフッ、恋は人を変えるんですね」
クスクス笑っていたクローディアだったが、急に声のトーンを落とした。
「・・・今日の放課後、お話ししたいことがあります。ホテルでお待ちしていますね」
「それで抱きついてきたのか・・・っていうか、夜のお誘いに聞こえるんだけど」
「そ、それはまだ心の準備が・・・!」
カァッと赤くなるクローディア。
何この子、可愛いんだけど。
「それではまた後ほど・・・あぁ、それと・・・」
クローディアは俺から離れてその場を去ろうとしたが、再び俺の方を向いた。
「今七瀬に抱きついたのは、その件を伝えたかったからではなく・・・私が七瀬にくっつきたかっただけですから」
恥ずかしそうに微笑むクローディアに、思わずドキッとしてしまう俺なのだった。
お久しぶりです、ムッティです・・・(ボロッ)
シャノン『このダメ作者っち、サンシャインのssと両立するって言ったよねぇ・・・?』
はい、言いました・・・(土下座)
シャノン『全然両立できてないでしょうが!サンシャインばっかり更新してるでしょうが!』
Aqoursが可愛いんだから仕方ないでしょうが!
シャノン『まさかの逆ギレ!?じゃあ何で戻ってきたのさ!?』
アスタリスクの新巻を読んだら、アスタリスク熱が復活したんだよ。
シャノン『相変わらずの単純さ・・・まぁ確かに面白かったけども』
最後のユリスが可愛すぎてもう・・・
それから綾斗、テメェは許さん。
シャノン『綾斗くんが何をしたって言うの!?』
だってアイツ綺麗事しか言わないんだもん!
『だとしても、俺は止める』じゃねーんだよおおおおおっ!!!!!
ユリスがどんだけ悩んで出した答えだと思ってんだあああああっ!
御坂を止める上条かテメェはあああああっ!
シャノン『さ、作者っちの怒りが爆発してる・・・』
まぁ綾斗の気持ちも分かるんだけどさぁ・・・
もっとユリスの気持ちを考えてあげてほしかったよ・・・
皆さんはどう思いましたか?
気になるので教えて下さい。
シャノン『皆さんが気になってるのは、この作品が続くかどうかだと思うんだけど』
すいません、続けますので許して下さい(土下座)
とはいえ、相変わらず不定期にはなりますが・・・
とりあえず、十一巻の内容は終わらせたい。
シャノン『その先までいけや』
が、頑張りまゆゆ・・・
それではまた次回!以上、ムッティでした!
シャノン『またね〜!』