学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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映画『銀魂2』メッチャ面白かった!

クオリティ高すぎてヤバいわ・・・

是非『銀魂3』もやってほしい。


奥の手

 「はぁっ!」

 

 「チッ・・・!」

 

 三咲姉の《聖王剣》による突きを、上体を反らして何とか回避する。

 

 そのままバク転して着地し、体勢を立て直すが・・・

 

 「やぁっ!」

 

 「うおっ!?」

 

 《聖王剣》の斬撃が飛んできたので、咄嗟にしゃがんで回避する。

 

 危ねぇ・・・

 

 「・・・強くなりましたね、七瀬」

 

 感慨深そうな表情の三咲姉。

 

 「《魔術師》の能力を取り戻して、たった一年程だというのに・・・今にも私を追い抜いてしまいそうです」

 

 「・・・あの三咲姉から、そんな言葉が聞けるとはね」

 

 小さい頃は、模擬戦をやっても軽くあしらわれてしまった。それが今では互角の勝負が出来ている。

 

 だが・・・

 

 「・・・互角じゃダメなんだよ」

 

 拳を強く握る俺。

 

 「勝たないと・・・三咲姉を倒さないと・・・願いが叶えられないんだ」

 

 ここで負けたら、倒れていったユリスや綺凛にも顔向け出来ない。

 

 だから・・・

 

 「三咲姉・・・俺は今ここで、アンタを超えるッ!」

 

 そう宣言した瞬間・・・とてつもない星辰力の波動を感じた。俺が咄嗟に振り向いた先では・・・

 

 「はああああああああああっ!」

 

 「ぐっ・・・!?」

 

 アーネストが綾斗に圧されていた。ってか、綾斗のヤツ・・・

 

 「封印が・・・解けてる・・・?」

 

 綾斗の身体からは、あの鎖に縛られたような感じがまるでしなかった。つまり綾斗は、全ての封印から解き放たれたということになる。

 

 「あのアーネストが!?」

 

 驚愕している三咲姉。綾斗のヤツ、マジかよ・・・

 

 「・・・ハハッ、流石だなオイ」

 

 笑いがこみ上げてくる。ホント、頼りになる男だよ。

 

 「さて・・・七海」

 

 【マスター・・・アレをやるんですね?】

 

 「あぁ、頼む」

 

 【了解しました】

 

 七海がそう言った直後、《神の拳》が眩い光を放った。

 

 俺の身体も、その光に呑み込まれていく。俺の身体に、力が流れ込んでくるのが分かる。

 

 「なっ!?七瀬!?」

 

 三咲姉の叫び声が聞こえる。やがて光が収まった時・・・そこに《神の拳》は無かった。

 

 『こ、これは一体どういうことでしょう!?七瀬選手の手から、《神の拳》が消えています!柊さん、一体何が・・・柊さん?』

 

 『まさか・・・有り得ない・・・!』

 

 どうやら、柊さんは気付いたようだ。流石は二葉姉の同僚だな。

 

 「・・・よく分かりませんが、嫌な予感がします」

 

 強張った表情で《聖王剣》を構える三咲姉。

 

 「七瀬から感じるプレッシャーが、段違いに跳ね上がりました・・・一体何故・・・」

 

 「すぐに分かるさ」

 

 俺は勢いよく地面を蹴り、三咲姉の懐に入った。

 

 「ッ!?」

 

 「《雷華崩拳》ッ!」

 

 雷を纏った俺の拳が、三咲姉の腹部に入る。

 

 「かはっ・・・!?」

 

 血を吐き、ステージの壁に激突する三咲姉。

 

 『な、何ですか!?今何が起きたんですか!?』

 

 突然の出来事に混乱している梁瀬さん。

 

 『《絶剣》と称される三咲選手が反応すら出来ず、壁に叩きつけられたっ!?七瀬選手の《雷帝化》は確かに凄いですが、三咲選手はそのスピードについていっていたはずでは!?』

 

 『・・・ついていけないスピードになったんですよ』

 

 落ち着きを取り戻したのか、柊さんが答える。

 

 『こんなこと、到底信じられないかもしれませんが・・・七瀬選手は、《神の拳》と一体化したようです』

 

 『えっ・・・?』

 

 ポカンとしている梁瀬さん。

 

 『い、一体化・・・?』

 

 『えぇ。要するに七瀬選手は今、ウルム=マナダイトを身体の中に取り込んだ状態ということです』

 

 『・・・えええええええええええええええっ!?』

 

 梁瀬さんの絶叫が響き渡った。

 

 『ちょ、ちょっと待って下さいッ!?そんなこと可能なんですかッ!?』

 

 『・・・目の前で起きている以上、可能だったということでしょう。今まさに七瀬選手こそが、純星煌式武装のようなものですね』

 

 流石は柊さん、やっぱり分かっていたようだ。

 

 「・・・嘘・・・でしょう・・・?」

 

 三咲姉が、《聖王剣》を地面に突き刺して立ち上がる。その姿はあまりにも弱々しく、今にも倒れてしまいそうなほどだった。

 

 「一体、どうやってそんなことを・・・」

 

 「俺と七海の間には、パスが通ってるんだ。そこから七海に星辰力を送ることで、七海は実体化したり力を使ったりしているわけだけど・・・それなら、逆も可能だと思わないか?」

 

 「・・・つまり七海さんが、七瀬に力を送るということですか?」

 

 【その通りです】

 

 俺の身体から、七海の声が響く。

 

 【そして、私の力を全てマスターに送ったら・・・どうなると思いますか?】

 

 「っ・・・無茶苦茶です・・・!」

 

 三咲姉の表情が驚愕に染まる。

 

 「そんなことをして、無事で済むわけが・・・!」

 

 「まぁぶっちゃけ、時間制限はあるんだよね」

 

 隠すことでもないので、この際だから教えておく。

 

 「五分が限界だな。そこを超えると、俺の身体がウルム=マナダイトの力に耐えられなくなって・・・死ぬだろうね」

 

 「っ・・・」

 

 【まぁ、その前に私がマスターの身体から出ますけどね】

 

 苦笑する七海。

 

 【でも、私がマスターの中にいる五分間・・・マスターはほぼ無敵ですよ?】

 

 「《雷神化》・・・本当の奥の手だよ」

 

 《雷帝化》と違って乱発出来ないから、決勝まで温存出来て良かったわ・・・

 

 「さて・・・終わりにしようか、三咲姉」

 

 雷を迸らせる俺。

 

 「さっきも言ったけど・・・俺は三咲姉を超えていくよ」

 

 「・・・良いでしょう」

 

 《聖王剣》を構える三咲姉。

 

 「私を超えてみなさい・・・超えられるものならッ!」

 

 勢いよく地面を蹴り、接近してくる三咲姉。

 

 「七瀬ええええええええええッ!」

 

 無駄の無い動きで、俺に向かって《聖王剣》を振りかざしてくる。まさに《絶剣》にふさわしい剣技だった。

 

 だが・・・

 

 「・・・遅いよ」

 

 《雷神化》した俺には、全てが見えていた。

 

 最小限の動きで避け、三咲姉の胸の校章を拳で叩く。校章は粉々に砕け散った。

 

 

 

 

 

 『星野三咲、校章破損!』

 

 

 

 

 

 その場で倒れる三咲姉。先ほどの攻撃で、既に限界だったのだろう。

 

 「フフッ・・・本当に・・・超えられて・・・しまいましたね・・・」

 

 寂しげに笑う三咲姉。

 

 「試合はまだ・・・終わっていません・・・行きなさい・・・」

 

 「・・・分かってる」

 

 俺は三咲姉の方をあえて見ず、そのまま歩き出した。

 

 「・・・ナイスファイト」

 

 三咲姉の小さな呟きが、俺の耳に届くのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

《クローディア視点》

 

 「・・・つくづく思う。七瀬は無茶苦茶だ」

 

 「・・・全くですね」

 

 銃を撃ってガードナーさんを牽制している紗夜の呟きに、私も頷いてしまいました。

 

 ウルム=マナダイトと一体化って・・・

 

 「まぁそれはさておき・・・早く勝負をつけたいところ。長引くとこちらが不利」

 

 「ですね。何とかしたいところですが・・・」

 

 アーネストの相手を綾斗、三咲さんの相手を七瀬がしてくれている今・・・紗夜と私で何とかガードナーさんを倒したいところです。

 

 「このまま足を引っ張り続けては・・・綺凛に会わせる顔がありません」

 

 私を庇い、《贖罪の錐角》の光に呑まれてしまった綺凛・・・私がカーシュさんを相手に手間取ってしまったせいで・・・

 

 「うじうじしない」

 

 「あたっ!?」

 

 紗夜のチョップが飛んできました。痛いです・・・

 

 「綺凛の覚悟を無駄にするな。落ち込んでる暇なんて無い」

 

 「・・・そうですね。スミマセン」

 

 頭を切り替え、勝つ為の策を考えていると・・・

 

 「汝らに、慈悲と贖罪の輪光を」

 

 「ッ!来るッ!」

 

 紗夜が叫びます。光の奔流から逃れるべく、ライン外へと跳ぼうとする私と紗夜。

 

 しかし・・・

 

 「逃がしません」

 

 私達が跳ぼうとしたところに、ガードナーさんの短銃型煌式武装の銃弾が連続で飛んできます。

 

 辛うじて防ぐことは出来ましたが、連続射撃のせいでライン外に逃れられなくなってしまいました。

 

 「マズい・・・!」

 

 光の奔流は目と鼻の先・・・このままでは・・・!

 

 「クローディアッ!」

 

 「っ!?」

 

 紗夜が私の腕を掴み、そのまま空中へと投げ飛ばします。

 

 「紗夜ッ!?」

 

 「後は任せた」

 

 紗夜は親指を立て、そのまま光の奔流へと呑み込まれてしまいました。

 

 私は視線を前へ向けると・・・ガードナーさん目掛けて一直線に飛んでいきます。紗夜は自らを犠牲に、私をガードナーさんへ向かって投げてくれたのです。

 

 「ッ!?」

 

 慌ててこちらへ銃を向けるガードナーさんでしたが・・・

 

 「遅いですッ!」

 

 「かはっ・・・!?」

 

 ぶつかる寸前、《パン=ドラ》で彼女の校章を叩き斬ります。衝撃で後方へ吹っ飛んでいくガードナーさん。

 

 

 

 

 

 『紗々宮紗夜、意識消失!』

 

 『パーシヴァル・ガードナー、校章破損!』

 

 

 

 

 

 機械音声が流れ、紗夜とガードナーさんのリタイアを告げます。

 

 「・・・ありがとうございました、紗夜」

 

 意識を失って倒れている紗夜に視線を向け、感謝の言葉を呟きます。

 

 足を引っ張ってばかりのダメなリーダーですが・・・貴女達の仇はとりましたよ。

 

 

 

 

 

 『星野三咲、校章破損!』

 

 

 

 

 

 「っ・・・」

 

 機械音声が三咲さんのリタイアを告げます。

 

 慌てて振り向くと・・・倒れている三咲さんと、それを見下ろす七瀬の姿がありました。

 

 「七瀬・・・」

 

 最後の大会に臨んでいる姉を、自らの手で倒す・・・七瀬にとって辛いことでしょう。

 

 「・・・これで相手は、アーネストのみですか」

 

 そのアーネストは今、完全に封印が解けた綾斗が相手をしています。

 

 今の綾斗なら、アーネストを倒すことも不可能ではない・・・そう思った直後でした。

 

 「フフッ・・・ハハハッ!」

 

 アーネストは狂ったように笑い出し・・・《白濾の魔剣》を投げ捨てたのでした。

 

 「もう我慢するのは止めた・・・存分に力を振るってやるッ!」




どうも~、ムッティです。

シャノン「決勝戦もいよいよクライマックスって感じ?」

だね。次話で終わるんじゃないかな?

《龍激聖覇》編が終わったら、オリキャラ紹介を書こうと思ってます。

シャノン「色々オリキャラ出たもんねぇ」

まぁそんな感じで、のんびりやっていきたいと思います。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」

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