皆様、本当にありがとうございます。
「はぁっ!」
「破ッ!」
俺と暁彗の拳がぶつかり合う。力が拮抗する中、俺は更に力を込めた。
「はあああああっ!」
「ぐぅっ・・・!」
暁彗の表情が歪む。俺は拳を振り抜いた。
「らぁっ!」
「ぐあっ!?」
吹き飛ぶ暁彗。俺は手に雷の槍を形成した。
「《雷帝の閃槍》ッ!」
暁彗に向かって投擲する。暁彗は体勢を崩しながらも、槍を足で蹴り上げた。
「疾ッ!」
槍が軌道を変え、暁彗の上を通過する。だが・・・
「《放電》」
俺が指を鳴らした瞬間、槍が爆発する。
槍のすぐ側にいた暁彗は爆発に巻き込まれ、ステージの壁へと叩きつけられた。
「がはっ・・・!?」
「休憩してる暇は無いぞ」
既に距離を詰めていた俺は、暁彗に向かって拳を突き出す。
咄嗟に身を屈めて避けた暁彗が、すがさず俺の足を払いにくるが・・・
「読めてるよ」
「があっ!?」
払いにきた足を全力で踏み潰す。痛みに苦悶の表情を浮かべる暁彗だったが、すぐさま懐から呪符を取り出した。
「爆ッ!」
「チッ・・・」
呪符の爆発を避ける為、一度後方に跳んで距離を取る。爆発の煙が収まると、暁彗がよろよろと立ち上がるところだった。
「なるほど、これが《雷帝化》・・・道理で八重が封じたがるわけだ」
苦々しい表情の暁彗。
「お前は俺をバケモノといったが・・・お前も十分バケモノだな」
「否定はしないさ」
肩をすくめる俺。
「俺の勝ちたいヤツらって、お前を含めて全員がバケモノクラスなんだよ。倒そうと思ったら、俺もバケモノになるしかない」
「・・・お前は本当に勝ちにこだわるのだな」
暁彗が寂しそうに笑う。
「俺にも勝利への執念があったら・・・師父の渇きを満たせたかもしれんな」
「渇きねぇ・・・」
星露が暁彗に満足しないのは、暁彗が星露の真似事しかしないからだ。自分の教えた技のみしか使わないヤツが相手では、あの戦闘狂が満足するわけがない。
だからこそ星露は暁彗のことを、『儂の作り上げた最高の失敗作』と称しているのだ。
「だったらアレマを見習え。星露を倒すことに挑戦してみたら良い」
「師父を倒す・・・?」
「あぁ。星露から教えてもらった技じゃなくて、自分で新しい技を身に付けて挑むんだよ。まぁ簡単に勝てる相手じゃないけど、だからこそ倒し甲斐があると思うぞ」
「・・・それで師父は喜んでくれるのか?」
「おいそこの師父コンプレックス、略して師父コン」
ダメだコイツ、星露に喜んでもらうことしか考えてない・・・
星露は暁彗に、もっと自分自身のことを考えてほしいって思ってるんだけどな・・・
「・・・どうやらお前は、一度敗北を味わう必要があるらしいな」
「ッ!?」
俺の放つ殺気を感じ、暁彗が瞬時に身構える。
「その後、何をどう感じるのか・・・それはお前次第だ。自分で答えを導き出せ」
右手に雷のエネルギーを凝縮していく。やがてそれは、巨大な槍へと形を変えた。
「いくぞ暁彗・・・《雷帝の閃槍》ッ!」
極太の雷の槍を、暁彗へと投擲する。暁彗はそれを避け、俺との距離を詰めてきた。
「そんなもの、当たらなければ・・・!」
「どうってことはないよな」
そう言いつつ指を鳴らすと、暁彗の足元に魔法陣が出現する。そこから現れた巨大な雷の蛇が、一気に暁彗を呑みこんだ。
「ぐあああああっ!?」
「《逆襲の雷蛇》・・・引っかかったな」
《雷帝の閃槍》を放ったのは、暁彗に避けさせて進路をずらす為・・・
そう、俺が仕掛けた罠へと誘導する為だ。
「舐めるなぁッ!」
雷の蛇の腹を蹴破り、暁彗が飛び出してくる。あちこちボロボロで、肩で息をしている状態だ。どうやら、相当なダメージを受けたらしい。
「この程度で俺を倒せるなど・・・!」
「思ってないさ、最初からな」
俺が再び指を鳴らした瞬間・・・暁彗の背後から、雷の槍が突き刺さった。
「がはっ!?」
「《雷帝の閃槍》は、俺の意思で自在に操れるんだよ」
この技は、ユリスの《鋭槍の白炎花》を参考にしてるからな。だからこそ、最初に雷のエネルギーを注ぎ込んでおいたのだ。
「チェックメイトだ、暁彗・・・《放電》」
指を鳴らし、雷の槍を爆発させる。濃密な雷のエネルギーが暁彗の身体に流れ込み、眩い光に呑み込まれた。
「がああああああああああっ!?」
暁彗の絶叫が響き渡る。光が収まった時、そこには・・・全身ズタボロの暁彗が仁王立ちしていた。
「・・・まだ立てんのかい」
「・・・俺の・・・意地だ・・・」
息も絶え絶えの暁彗。どうやら、もう限界のようだ。
「七瀬・・・優勝・・・しろ・・・よ・・・」
「・・・あぁ、必ず」
俺が頷くと、暁彗は笑みを浮かべ・・・そのまま倒れ込むのだった。
『武暁彗、意識消失!』
『勝者、チーム・エンフィールド!』
*****
「大師兄ッ!」
セシリー、沈雲、沈華が暁彗の元へ駆け寄ってくる。暁彗は、穏やかな表情で意識を失っていた。
「・・・目が覚めたら、暁彗に伝えといてくれ。ナイスファイト、ってな」
「七瀬」
その場を去ろうとする俺を、セシリーが呼び止めた。
「前々回の《鳳凰星武祭》のファイナリストとして、一つ忠告しといてあげる。決勝戦で負けて、相手が優勝する瞬間を見るのは・・・本当に悔しいよ。そんな思いをしたくなかったら、絶対に勝ちな」
「・・・肝に銘じておくよ。ありがとな、セシリー」
セシリーの頭に手を置く。
「今の忠告に免じて、坊主の件は無かったことにしてやるよ」
「アレ本気だったの!?」
セシリーのツッコミをスルーして、八重と虎峰の方へと歩み寄る。
気を失った虎峰を、八重が介抱しているところだった。
「虎峰の様子はどうだ?」
「直に目を覚ますと思いますよ。とても悔しがるでしょうけどね」
苦笑している八重。
「参りました、お兄様・・・やはり私がお兄様に勝つなど、まだ早かったようです」
「作戦は良かったけどな。だいぶ苦戦させられたよ」
溜め息をつく俺。
「俺もまだまだだな・・・もっと強くならないと」
「まだ強さを求めるのですか・・・?」
「当たり前だろ」
苦笑する俺。
「今の俺じゃ勝てないヤツなんてたくさんいる。常に上を目指していかないとな」
「・・・敵いませんね、お兄様には」
八重が笑みを浮かべた。
「お兄様が上を目指すのなら・・・私もお兄様の背中を追って、上を目指します」
「俺の背中なんて追っても、しょうがないだろうに・・・」
「お兄様だって、お姉様達の背中を追っているではありませんか」
「・・・まぁな」
俺は八重の頭を撫でた。
「強くなろうな、お互いに」
「はいっ」
笑顔で頷いてくれる八重。と、俺はそこであることを思い出した。
「そういや、叶えたい願いができたって言ってたけど・・・何だったんだ?」
「・・・零香お姉様の捜索です」
八重の表情が引き締まる。
「零香お姉様が《蝕武祭》に参加していたことは、二葉お姉様から聞きました。指名手配されているとはいえ、六年経っても居場所が掴めないのなら・・・統合企業財体の力を借りようかと思いまして」
「・・・なるほどな」
八重らしいというか何というか、一人で考え込みやがって・・・
「俺には一人で背負うなって言っておきながら、お前も一人で行動してんじゃん」
「そ、それは・・・!」
「全く・・・そんなところまで俺の背中を追わなくていいっつーの」
優しく八重を抱き締める。
「零香姉のことは、家族全員で何とかする・・・そう決めただろ?」
「お兄様・・・」
「・・・この大会が終わったら、一度皆で集まって話し合おう。現状を把握する為に」
全員で情報を共有して、これからの方針を打ち出す。二葉姉のところに、新しい情報が入ってるかもしれないしな。
「まぁ今はとりあえず・・・明日の決勝を見届けてほしい。三咲姉との戦いをな」
「・・・分かりました」
頷く八重。
「私達の分も頑張って下さいね」
「あぁ、勿論」
拳を合わせる八重と俺なのだった。
どうも~、ムッティです。
シャノン「チーム・黄龍に勝利して、次はいよいよ決勝戦だね」
やっとここまできたよね。
っていうか、ちょっと聞いておくれよ。
シャノン「急にどうしたの?」
いや、ヒロイン複数化構想の話なんだけどさ。
あれから感想欄で、多くの反対の声があったのよ。
シャノン「アララ・・・」
まぁ仕方ないよなぁ、なんて思ったんだけどさ・・・
よく読み返してみたら、あることに気付いてしまったんだ。
シャノン「あることって?」
反対意見を書いている人の名前なんだけどさ・・・
どれも名前は違うんだけど、全部IDが一緒なんだよね。
シャノン「えっ、それって・・・」
そう、同一人物ってこと。
ログインユーザーじゃない人だと思うんだけど・・・
名前だけ変えて、毎日のように反対意見を書いてんのよ。
「七瀬を弱体化させろ」「シルヴィ以外の女性キャラを全員退場させろ」みたいな意見も書いてたり・・・
シャノン「それはヒロイン複数化が嫌っていうより、ただの嫌がらせなのでは・・・」
まぁ運営対応になって、今はその人の感想は見れなくなってるんだけどね。
最近は感想も書いてないみたいだし。
まさか同じ人だとは思わなかったから、気付いた時はビックリしたよね。
シャノン「それは確かにビックリするわ・・・」
勿論、その人以外の方々からも反対意見はあったんだけどね。
貴重なご意見、ありがとうございました。
シャノン「で、結局方針は変わらないってことで良いの?」
うん、ヒロイン複数化の方向で進めていくよ。
反対の方々には申し訳ありませんが、温かく見守っていただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
シャノン「お願い致します(ぺこり)」
それではまた次回!以上、ムッティでした!
シャノン「またね~!」