果たして、勝負の結末やいかに!?
・・・よし、良い感じのフリが書けた(笑)
「マジかぁ・・・」
テンションダダ下がりの俺。こんな大勢のギャラリーに囲まれて決闘とか、ホント勘弁してほしい。
しかも相手が・・・
「七瀬、覚悟は良いな?」
怒り心頭のユリスとか・・・メッチャ嫌だわぁ・・・
「ユリスー、マジで謝るから許してくれよー」
「ダメだ。私の乙女心は、お前によって傷つけられたのだ」
「乙女心とか、ユリスとは最も無縁なものじゃね?」
「お前反省してないな!?」
あ、ユリスの怒りのボルテージが上がっていく・・・
「お前を叩きのめして、二度とそんな口が利けないようにしてやる!」
「どの道負けたら絶交なんだから、口も利けなくなるんじゃ・・・」
「やかましい!さっさと始めるぞ!」
ユリスが校章に右手をかざす。
「不撓の証たる赤蓮の名の下に、我ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは汝星野七瀬への決闘を申請する!」
「ハァ・・・我星野七瀬は、汝ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトの決闘申請を受諾する」
ため息をつきつつ、決闘申請を受諾する。受諾の証として校章が煌き、決闘が始まる。
「行くぞ七瀬!」
ユリスが自身の煌式武装《アスペラ・スピーナ》を起動する。レイピアのような細い剣を、ユリスは俺に向けた。
「咲き誇れ!鋭槍の白炎花!」
青白い炎の槍がいくつも顕現し、ロケットのような勢いで襲い掛かってきた。
「よっ、はっ、ほっ」
身を屈めたりジャンプしたりして、それらを全てかわす。
「まだまだ!」
ユリスがレイピアをタクトのように振ると、かわした炎の槍が旋回して戻ってきた。
「うわ、厄介だなぁ・・・」
両手に星辰力を集め、戻ってきた炎の槍を二つ掴む。それを苦無のように振るい、残りの槍を叩き落とした。
「なっ!?」
驚いているユリスに向かって、手に持っていた二つの槍を投げる。かろうじてレイピアで弾くユリス。
その隙をつき、ユリスへ向かってダッシュする。
「くっ・・・咲き誇れ!赤円の灼斬花!」
炎の刃を激しく回転させる戦輪が無数に現れ、一斉に襲い掛かってきた。今度は足に星辰力を集め、戦輪を踏んで空中を駆ける。
「何だと!?」
戦輪の一つを思いっきり蹴り、驚くユリスに向かって一直線に飛んだ。
と、ユリスがニヤリと笑った。
「綻べ!赤壁の断焔華!」
ユリスの前に、炎の壁が現れる。このまま激突するのはマズいな・・・
「チッ!」
俺は咄嗟に右手に星辰力を集め、そのままの勢いで拳を放った。壁は砕けたものの、反動で俺の身体は後ろに飛んだ。空中で一回転し、そのまま着地する。
あー、危なかった・・・
「お、おい!とんでもない戦いだぞ!?」
「《華焔の魔女》の技も凄いが、それを素手で相手してる《覇王》も凄いな!?」
「炎の壁が出た瞬間、《華焔の魔女》の勝利かと思ったが・・・」
「あの壁を砕くとか、マジでヤバいな・・・」
ギャラリーがどよめいていた。うん、今のはマジで危なかったわ・・・
「・・・とんでもない奴だな」
唖然としているユリス。
「今のは勝利を確信したのだが・・・まさか砕かれるとは思わなかったぞ」
「俺じゃなきゃ大ケガしてるぞ。もう少し手加減してくんない?」
「手加減など出来ん。負けたくないのでな」
「そんなに俺と絶交したいのか?」
「そのセリフ、そのままお前に返してやる」
睨んでくるユリス。
「・・・どういう意味だ?」
「七瀬・・・お前、何故本気を出さない?」
「・・・本気でやってこれなんだが?」
「では質問を変えよう。何故煌式武装を使わないのだ?」
俺にレイピアを向けるユリス。
「お前が煌式武装を使うところを、私は見たことが無い。お前はいつも素手で戦っている。それはお前が、本気を出して戦っていないからではないか?」
「・・・・・」
「今まではそれで勝てたかもしれんが、私を相手に煌式武装無しで勝てると思っているのか?それは私に対する侮辱だ。お前が私に本気で勝ちにきていない・・・つまり、私と絶交したいと捉えられても仕方の無いことだと思うぞ?」
ユリスの奴、そんな風に捉えてたのか・・・
「・・・本気で絶交したいと思ってたら、そもそも決闘を受けたりしねぇよ。決闘を受けなきゃ絶交だって、お前が言ったんだぞ?」
「そ、それはそうだが・・・」
「確かに煌式武装は使ってない。でも俺は今の状態で出せる本気で、お前に勝ちにいってるつもりだ。それでここまで互角の勝負をしていて、私に勝てると思っているのか?とか言われてもなぁ・・・」
「うぐっ・・・」
「そんなに煌式武装を使ってほしいなら、今の俺を圧倒してみろよ。俺が煌式武装を使わざるを得ない状況にしてみろ。それも出来ないで本気を出せだなんて、お前こそ俺を侮辱してると捉えられても仕方ないぞ」
「・・・ッ!」
唇を噛むユリス。
「・・・お前の言う通りだな。私としたことが、自分の力を驕っていたようだ。すまなかった」
「良いさ。俺も誤解させちまったみたいだし・・・悪かったな」
「お前が謝ることではない。私が未熟だったのだ。だが・・・」
真剣な眼差しで俺を見るユリス。
「お前の言葉で目が覚めた。再び気合いを入れて、相手をさせてもらうとしよう」
「・・・余計なこと言っちゃったかなぁ」
苦笑する俺。ユリスも笑みを浮かべると、レイピアを俺に向けた。
「勝負だ七瀬!咲き誇れ!六弁の爆焔花!」
ユリスの前に、巨大な火球が出現する。綾斗との決闘で使った大技か!
「望むところだ!」
ユリスに向かってダッシュする。
「行けッ!」
巨大な火球を放つユリス。両手で手刀を作り、星辰力を集中させる。そして真正面から突っ込んだ。
「ハアアアアアッ!」
クロスした手刀を、思いっきり振り抜いた。火球がバツ字に切られて爆散する。
「六弁の爆焔花が・・・!?」
驚愕しているユリス。そのままユリスの懐へ飛び込もうとした瞬間、俺の視界の隅で小さな光が瞬いた。
見ると、ギャラリーの奴らの隙間で何かが光っている。そういや、あの襲撃の時・・・まさかッ!?
「ユリスッ!」
「うおっ!?」
咄嗟にユリスを押し倒す。俺達の頭上を、光の矢が通過していった。すぐに顔を上げると、黒いフードを被った背の低い小太りの奴が逃げて行くところだった。手には弓型の煌式武装を持っている。
あれって・・・
「おい!アイツを捕まえろ!」
「任せろ!」
「逃がすかよ!」
ギャラリーの皆も襲撃に気付いたらしく、ぞろぞろとフードの奴を追っていった。
「ユリス、大丈夫か!?」
「あ、あぁ・・・大丈夫だ・・・んっ」
何やら変な声を出すユリス。
「どうした!?」
「七瀬っ・・・手を・・・離せっ・・・あっ」
「手・・・?」
そういや、何か柔らかいものを掴んでいるような・・・むにっ。
「あぁっ!」
喘ぐユリス。下を見てみると・・・ユリスの両胸を、両手で思いっきり揉んでいた。
「うわっ!」
「んんっ!」
ビックリして、思わず手に力を込めてしまった。ビクッとするユリス。
「は、早く手を・・・離せっ・・・」
「あ、あぁ!」
俺は手を離そうとしたが、ふと気付いたことがあった。
「・・・ユリス、ゴメン」
「え・・・?」
俺は右手に力を込め、ユリスの左胸を強く揉んだ。
「あぁんっ!?」
ユリスが叫ぶのと同時に、左胸に付いていた校章にひびが入った。
『決闘決着!勝者、星野七瀬!』
俺の校章から機械音が鳴り響く。
「・・・よし、勝った」
『いやいやいやいや!?』
綾斗、夜吹、レスターのツッコミが入る。
「どんな勝ち方!?」
「いや、俺もどうかとは思ったんだが・・・勝ちは勝ちだし」
「それで良いのか七瀬!?」
「良いんじゃね?勝てたんだから」
「まさかこんな決着の仕方とはな・・・」
「おぉ、レスター。《冒頭の十二人》復帰おめでとう」
「このタイミングで祝われても困るわ!」
と、ユリスがふらりと身体を起こした。胸を腕で覆い、涙目で俺を睨みつけている。
「お、お前という奴は・・・!」
身体から炎を迸らせるユリス。
「私の胸を・・・あんなに激しく揉みしだきおって・・・!」
「いやー、ユリスにも揉めるだけの胸あったわ。悪かったな」
「それだけで済むかあああああっ!」
叫ぶユリス。俺はユリスの頬に手を添えた。
「な、何をする!?」
「ケガ・・・無いよな?」
「え・・・?」
「良かった・・・ちゃんと守れたな」
あー、良かった。これでユリスがケガしてたら、マジで洒落にならなかった・・・
「七瀬・・・って、お前その手どうした!?」
ユリスが俺の右手を見て驚く。ま、血だらけだもんなぁ・・・
「いやー、さっきの壁を砕いた時にやっちゃってさぁ。突然のことだったから、星辰力を十分に集めきれなくて・・・」
「そんな手で決闘を続けてたのか!?」
「言ったろ?本気で勝ちにいってるって。こんなケガでリタイアなんか出来ないだろ」
「どうしてそこまで・・・」
「負けたら絶交とか言われたら、そりゃ負けられないだろうよ」
苦笑する俺。
「お前に絶交されたら・・・またお前を一人にしちまうからな」
「・・・ッ!」
俯くユリス。涙が地面に滴り落ちる。
「え、ちょ!?何で泣くの!?」
「う、うるさい!泣いてなどいない!」
ユリスはそう言うと、俺に抱きついてきた。
「ユ、ユリス!?」
「・・・私がお前と、本気で絶交などするわけないだろう」
震える声で言うユリス。
「お前は私の・・・大切な友人なのだから」
「ユリス・・・」
俺はユリスの頭を撫でた。
「これからも・・・友人でいてくれるか?」
「当たり前だ。俺の気持ちは、最初から変わってねぇよ」
俺の言葉に、抱きしめる力をより一層強くするユリス。
「ただユリス、忘れんなよ・・・綾斗への借りは認めろ」
「うっ・・・」
「確か、借りはちゃんと返すって言ってたよな?」
「うぅ・・・」
「というわけだ。綾斗、ユリスに何をしてほしい?」
「え!?えっと・・・じゃあ、学園内と街を案内してほしいかな。ここって広いから、ある程度知っておかないと迷子になりそうだし・・・」
「だそうだ。ちゃんと案内してやるんだぞ」
「わ、分かった・・・」
渋々頷くユリス。と・・・
「ななっちー!」
シャノンが駆け寄ってきた。
「おー、シャノン。いたのか?」
「最初からいたよ!襲撃犯を追ってたんだけど、見失っちゃって・・・今、皆で手分けして捜索してるところだよ」
「そうか・・・」
逃げ足だけは速いみたいだな・・・
「ありがとな。すぐクローディアに報告するから、引き続き捜索を頼む」
「了解・・・って、ななっち!?その手どうしたの!?すぐ手当てしないと!」
「大丈夫だよ、これくらい」
「いや、早く手当てしてもらった方が良いよ。クローディアには俺が報告しとくから」
「綾斗・・・」
「そういうこった。俺とレスターは襲撃犯を探しに行くか」
「おう。七瀬、お前は早く手当てしてもらってこい。ユリス、付き添ってやれ」
「う、うむ!」
「お前ら・・・」
コイツら・・・ホント良い奴らだな。
「ほら七瀬、行くぞ」
俺はユリスに手を引かれ、医務室へ連れていかれたのだった。
こんにちは、ムッティです。
今回、七瀬VSユリスだったわけですが・・・
勝ち方が酷い(笑)
七瀬、ユリスの胸を堪能した感想は?
七瀬「いやー、柔らかかったな。大きくはなかったけど」
ユリス「その一言は余計だあああああっ!」
七瀬「ギャアアアアアッ!?」
・・・ドンマイ七瀬。
それではまた次回!