学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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週末に台風が上陸するかもしれないなんて・・・

ホント勘弁してほしいわ・・・


仲間達

 「はぁっ!」

 

 虎峰の回し蹴りが飛んでくる。

 

 それをしゃがんで回避すると、今度は右側から八重の蹴りが飛んでくる。

 

 「やぁっ!」

 

 「おっと」

 

 「そこです!」

 

 背後へ転がって避けるが、虎峰が追撃で拳を放ってくる。

 

 俺はそれを受け止めると、攻撃を仕掛けようとしてくる八重へ虎峰を投げ飛ばした。

 

 「うわっ!?」

 

 「きゃっ!?」

 

 慌てて八重が避け、虎峰が空中で一回転して着地する。

 

 「《断罪の流星》ッ!」

 

 「ッ!?」

 

 俺の拳から放たれた光線を、虎峰が《通天足》で防いだ。

 

 チッ・・・

 

 「やっぱり純星煌式武装には防がれるか・・・改良の余地ありだな」

 

 【修行は主に、マスターの能力を制御する為のものでしたからね。私・・・《神の拳》で使える技も増えましたが、やはりまだまだといったところでしょうか】

 

 「だな。《獅鷲星武祭》が終わったら、また修行すっか」

 

 【ですね】

 

 『七瀬選手、趙選手と八重選手を余裕で相手取っております!しかも試合の最中に純星煌式武装と会話しているーっ!?』

 

 『《魔術師》の力が使えないというのに・・・大したものですな』

 

 七海と会話していると、梁瀬さんと柊さんが何か言っていた。

 

 いや、別に余裕ではないんだけども。

 

 「・・・どうやら、七瀬の力量を見誤っていたようですね」

 

 悔しそうな表情の虎峰。

 

 「《通天足》を使っていてもダメージは与えられず、八重と共に戦って初めて互角に勝負出来るだなんて・・・『僕と同等』だなんて嘯いた自分が恥ずかしいです・・・」

 

 「生憎、能力に頼った鍛え方はしてないんだよ」

 

 そう、あくまでも《魔術師》の能力は付随したものだ。

 

 俺の武器は己の肉体であり、それを磨き上げてこそ《神の拳》や《魔術師》の能力も生きてくる。

 

 「俺は拳士じゃないから、純星煌式武装だって能力だってバンバン使うけど・・・そこはちゃんと分かってるつもりだよ」

 

 「・・・参りますね、本当に」

 

 苦笑する虎峰。

 

 「身体を鍛える一方で、純星煌式武装や能力の訓練も怠らない・・・ずっと思っていましたが、七瀬は界龍の生徒に向いてますね」

 

 「お兄様、今からでも遅くありません。転校しましょう」

 

 「勘弁してくれよ・・・」

 

 界龍なんかに行ったら、星露に何されるか分かったもんじゃないからな・・・

 

 暁彗&アレマっていうバケモノも揃ってるし・・・

 

 「何より・・・来年には星導館に十萌が入って来るんだぞ!?転校なんて出来るか!」

 

 「そんな理由ですか!?」

 

 「『そんな理由』とは何だ!俺にとっては何よりも大きな理由だわ!」

 

 「・・・私が星導館に転校するのもアリですね」

 

 「八重!?」

 

 虎峰が焦っている。

 

 「まぁ、無駄口はここまでにして・・・そろそろケリをつけようか。いい加減、ヘルプに入らないとマズそうだしな」

 

 俺の視線の先には、ボロボロになった綾斗と綺凛がいた。

 

 そして星導館の新旧序列一位を相手に、傷一つ負っていない暁彗・・・

 

 やっぱりアイツはバケモノだ。

 

 「舐めないでいただきたいですね」

 

 構える虎峰。

 

 「二対一で互角というのも喜べませんが・・・それでも状況は拮抗しています。ここから七瀬が、我々二人を倒せるとでも?」

 

 「それに我々には大師兄以外にも、ウォン師姉・黎師兄・黎師姉がいらっしゃるということをお忘れですか?」

 

 「八重、その見立ては甘いぞ?」

 

 俺がそう言った瞬間・・・

 

 

 

 『黎沈雲・黎沈華、校章破壊!』

 

 

 

 機械音声が、黎兄妹の敗北を告げた。視線をやると、クローディアがにこやかに笑っていた。

 

 「フフッ、七瀬の能力封じに力を使い過ぎたようですね」

 

 「・・・だからといって、こうもアッサリ負けるとはね」

 

 「流石は《千見の盟主》・・・恐れ入ったわ」

 

 脱力して倒れこむ沈雲と沈華。そして・・・

 

 

 

 『セシリー・ウォン、校章破壊!』

 

 

 

 ユリス達の方も決着がついたようだ。セシリーが大の字で倒れている。

 

 「あーあ、やられちゃった・・・」

 

 「開幕から飛ばし過ぎたな」

 

 ユリスがセシリーを見下ろしながら言う。

 

 「途中から明らかにバテたのが分かったぞ。私達を舐めすぎだ」

 

 「いやぁ、舐めたつもりは無かったんだけど・・・アンタ達に雷撃が全然通用しないもんだから、焦っちゃってさぁ」

 

 「雷撃対策はバッチリしてきた」

 

 グッと親指を立てる紗夜。

 

 「七瀬の雷撃に比べたら、お前の雷撃は優しい方だ。模擬戦で食らった七瀬の雷撃といったら・・・摸擬戦なのに死ぬかと思ったくらいだ」

 

 「あぁ、あれはゾッとしたな・・・」

 

 心なしか身体が震えている二人。

 

 あれ?手加減はしたんだけどな・・・

 

 「ハハッ、完敗だね。アンタ達にも・・・七瀬にも」

 

 力なく笑うセシリー。さて・・・

 

 「俺も俺の仕事をしますかね」

 

 「そんな・・・ウォン師姉達が・・・」

 

 信じられないといった表情の八重。

 

 「俺の仲間達を舐めるなよ?クローディアもユリスも紗夜も、星導館・・・いや、アスタリスクで指折りの実力者だ。力を使い過ぎたセシリー達じゃ、どうにも出来ないだろうさ」

 

 俺はそう言うと、拳を構えた。

 

 「虎峰、八重・・・行くぞ」

 

 「望むところですッ!」

 

 虎峰が飛び出してくる。《通天足》による蹴りを放ってくるが・・・

 

 「はぁっ!」

 

 拳を放ち、蹴りを受け止める。

 

 それを待っていたかのように、八重が俺の校章を目掛けて拳を放ってくる。

 

 「これで終わりですッ!」

 

 「お前がな」

 

 足で八重の拳を蹴り上げる。

 

 受け止めていた虎峰の足を掴み、そのままバットを振るように虎峰を八重の校章へと叩き付けた。

 

 「ぐあっ!?」

 

 

 

 『星野八重、校章破壊!』

 

 

 

 校章を破壊され、吹き飛んでいく八重。

 

 そのまま虎峰も、ハンマー投げの要領でステージの壁へと投げ付けた。

 

 「がはっ!?」

 

 勢いよく激突した虎峰は、地面に倒れこんで動かなくなった。

 

 

 

 『趙虎峰、意識消失!』

 

 

 

 『八重選手と趙選手もやられたーっ!これでチーム・黄龍は、リーダーの武暁彗選手一人となってしまいましたーっ!』

 

 『これは予想外の展開ですな・・・』

 

 梁瀬さんと柊さんの声をよそに、俺は《神の拳》を暁彗に向けていた。

 

 「《断罪の流星》ッ!」

 

 「っ!」

 

 綾斗と綺凛を相手取っていた暁彗は、後ろへ大きく飛び退いて距離をとった。

 

 「・・・遂にお前と戦う時が来たか、七瀬」

 

 嬉しそうに笑っている暁彗。

 

 「この時を待ち望んでいたぞ」

 

 「奇遇だな。俺もだ」

 

 拳を構え、暁彗を見据える俺なのだった。

 

 「絶対にお前を倒す。覚悟しろよ、暁彗」




どうも~、ムッティです。

いよいよ黄龍戦も大詰めを迎えております。

シャノン「これで六対一・・・普通に考えたら、ななっち達が有利だよね」

普通に考えたら、ね。

暁彗の兄貴はバケモノだから。

シャノン「確かに・・・どうなるか分かんないよね・・・」

そんなわけで、続きをお楽しみに。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」

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