学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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深夜に書いてたから、ちょっとテンションおかしいかも・・・


初戦

 『さぁ、いよいよ《獅鷲星武祭》が始まります!今年もこのメインステージの実況を仰せつかりました、ABCアナウンサーの梁瀬ミーコです!どうぞよろしく!』

 

 「よっ、アスタリスクでナンバーワンの女性アナウンサー!」

 

 『ふぇっ!?きょ、恐縮です!』

 

 俺の声に反応し、梁瀬さんが頭を下げる。いよいよ試合開始間近となり、俺達はステージ上で相手チームを待っていた。

 

 「《鳳凰星武祭》ではご迷惑をおかけしましたが、今回もよろしくお願いします」

 

 『いえいえ、こちらこそ・・・って七瀬選手!?先ほどからどうされたんですか!?』

 

 「いや、実況の梁瀬さんには謝罪できてなかったなと思いまして。すいませんでした」

 

 『七瀬選手・・・私にまで気を遣ってくれるなんて、優しいんですね・・・』

 

 「まぁぶっちゃけ媚売りですけどね。彼女の学園のOGの方ですし」

 

 『私のときめきを返せっ!』

 

 観客席が笑いに包まれる。と、実況席からも笑い声が漏れてきた。

 

 『ハハッ、やはり彼は面白いですね』

 

 『笑わないで下さい柊さん・・・あ、紹介が遅れました!解説はレヴォルフ黒学院のOGであり、現在は星猟警備隊で一等警備正を務める柊静薙さんです!』

 

 『どうも、よろしくであります』

 

 空間ウィンドウに、黒髪を切り揃えた女性が映る。

 

 星猟警備隊で一等警備正って・・・

 

 『七瀬選手、貴方のお姉さんにはいつもお世話になっております』

 

 「いえいえ、こちらこそ。姉がいつもお世話になっております」

 

 やっぱり二葉姉の同僚の人だったか・・・きっと迷惑をかけているに違いない。

 

 「手のかかる姉ですが、今後も見捨てないでいただけると幸いです」

 

 『ハハッ、承知しました』

 

 『ちょっとお二人とも!?そういった会話は裏でしていただけませんか!?』

 

 『まぁまぁ、良いじゃないですか』

 

 「そうですよ。そういう細かいことを気にするから、どんなに合コンに参加しても毎回失敗するんですよ?」

 

 『七瀬選手!?その情報は何処から!?』

 

 「名前は言えませんが、梁瀬さんの後輩の歌姫であるS・L氏からです」

 

 『シルヴィアアアアアアアアアアアッ!』

 

 あ、バレた・・・ゴメンなシルヴィ。

 

 「本当に人をおちょくる天才だな、お前は」

 

 隣のユリスが呆れている。

 

 「黎兄妹と良い勝負なんじゃないか?」

 

 「あの性悪兄妹と一緒にすんな。ああなったら人として終わりだぞ」

 

 まぁそうは言っても、根は悪い奴らじゃないんだけどな。界龍で一緒だった時も、何かと世話になったし。

 

 そんなことを考えていると・・・

 

 「ケッ、お気楽だなテメェら」

 

 反対側の入場ゲートから、チーム・ブラックヴェノムのメンバー達がやってくる。

 

 こちらを睨んでいたり、へらへら笑っていたり・・・態度の悪さが典型的なレヴォルフの生徒だった。

 

 やれやれ・・・

 

 「完全にチンピラの集まりじゃん・・・」

 

 「全く・・・困ったものです」

 

 溜め息をつくクローディア。

 

 「どうやら、典型的な勘違いをされている方々のようですね」

 

 「勘違い?」

 

 「えぇ。《獅鷲星武祭》はチーム戦ですので、参加へのハードルが高いんです。それと同時に、最も番狂わせが多い《星武祭》でもあります。つまりまぐれ勝ちを狙って、頭数だけを揃えて参加してくる方々がいらっしゃるんですよ」

 

 「・・・バカなの?」

 

 呆れる俺。

 

 確かにジャイアントキリングを起こすチームもいるだろうが、何の努力もしないでそんな奇跡を起こせるわけがない。

 

 頭数だけ揃えて何の練習もしてません・・・そんなチームが勝ち進んでいけるほど、《星武祭》は甘くないのだ。

 

 「久しぶりだな、《覇王》・・・いや、今は《雷帝》だっけか?」

 

 リーダーと思われる男が一歩前に出てきて、俺を睨みつけた。

 

 「あの時の借り・・・今ここで返してやるぜ」

 

 「七瀬さん、お知り合いですか?」

 

 綺凛が尋ねてくる。う~ん・・・あっ。

 

 「お前は・・・」

 

 「へへっ、やっぱり覚えてたか」

 

 「・・・誰だ?」

 

 「覚えてないんかいいいいいいいいいい!」

 

 不良リーダーのツッコミ。

 

 「だったら『お前は・・・』とか思わせぶりな態度とるんじゃねーよ!」

 

 「いや、『君の●は。』のモノマネがやりたくて」

 

 「そんな理由!?ふざけてんのかテメェ!?」

 

 「本当にすまないと思っている(キリッ)」

 

 「よしふざけてんな!?喧嘩売ってんな!?喜んで買ってやらぁ!」

 

 「で、真面目な話・・・ホントに誰?」

 

 マジで見覚えが無いんだよなぁ・・・

 

 そもそもレヴォルフの友達なんて、イレーネとプリシラぐらいしかいない。あと、《悪辣の王》と《孤毒の魔女》と顔見知りなぐらいだ。

 

 「よく思い出せやゴラァ!去年お前を二十人ぐらいで襲っただろうが!」

 

 「・・・あぁ!俺が殴って壁にめり込ませた不良リーダーか!」

 

 そういやユリスがサイラスに狙われてた時、俺を潰す為にレヴォルフのチンピラ共が襲ってきたっけ・・・

 

 リーダーは俺が倒して、残りの連中はイレーネがまとめて潰したんだっけか・・・

 

 いやぁ、懐かしいなぁ・・・

 

 「おひさ~!元気してた?」

 

 「軽いなオイ!?あの後テメェのせいで入院するハメになったわ!」

 

 「マジで?ドンマイ!」

 

 「他人事!?お前マジぶっ殺すぞ!?」

 

 「・・・やれるもんならやってみな」

 

 「ッ!?」

 

 俺が殺気を向けると、不良リーダー達が後ずさった。

 

 「ハッキリ言うが、お前らみたいなゴミクズがどうなろうが知ったこっちゃねーよ。お前らのせいで、危うくユリスと綾斗に怪我させるところだったんだ。あの時イレーネがいなかったら、一体どうなってたことか・・・覚悟はできてんだろうな?」

 

 「じょ、上等だゴラァ!返り討ちにしてやんよ!」

 

 足が震えている不良リーダー。ここで逃げ出さない勇気だけは褒めてやろう。

 

 「クローディア、作戦に変更は無いな?」

 

 「えぇ、ありません。お願いしますね、七瀬」

 

 「了解」

 

 『さて、いよいよ試合開始です!』

 

 梁瀬さんの声と共に、機会音声が試合開始を告げた。

 

 

 

 『《獅鷲星武祭》Bブロック一回戦一組、試合開始!』

 

 

 

 「おらあああああああああああああああっ!」

 

 それと同時に相手の六人が、持っていたアサルトライフル型煌式武装で攻撃してきた。銃口は全てリーダーであるクローディアに向けられており、嵐のような光弾がクローディアへと襲いかかる。

 

 「はーっはっはっ!リーダーさえ倒せりゃこっちの勝ち・・・」

 

 「《反射の雷壁》」

 

 クローディアの前に、雷の壁を出現させる。嵐のような光弾が雷の壁に当たった瞬間、反転して相手チームへと向かっていく。

 

 「えっ・・・ちょ、待っ・・・ギャアアアアアアアアアアッ!?」

 

 自分達の放った光弾に撃たれていくチンピラ共。マジざまぁ。

 

 「悪ィが、こっから先は一方通行だァ!」

 

 「いや、作品違うから」

 

 「しかも七瀬の場合、使ってる能力的にそっちじゃない」

 

 綾斗と紗夜の冷静なツッコミ。ナイスツッコミだぜ二人とも。

 

 「でも凄いですね・・・攻撃を反射するなんて・・・」

 

 「ただ反射するだけじゃないぞ。相手の攻撃を完全に受け切った場合、その威力を倍にして相手に反射することが出来るんだ。やられたらやり返す・・・倍返しだッ!」

 

 「どこの半●直樹ですか・・・じゃあ今のも倍返しだったんですか?」

 

 「そうそう。あんな嵐みたいな光弾、全部当たったら結構なダメージだけど・・・威力が全て倍になったら、結構なダメージじゃ済まないだろうな」

 

 綺凛とそんな会話をしているうちに、光弾による土煙が晴れ・・・

 

 ボロボロになったチンピラ共が、全員ピクリとも動かずに倒れていた。

 

 

 

 『試合終了!勝者、チーム・エンフィールド!』

 

 

 

 「七瀬、お疲れ様でした」

 

 「おっつ~」

 

 こうして俺達は、危なげなく初戦を突破したのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「すいませーん、こっちにも目線をくださーい!」

 

 控え室へと繋がる通路の手前で、俺達は勝利者インタビューを受けていた。

 

 一応俺達チーム・エンフィールドは優勝候補と目されているチームなので、数多くの報道陣が集まっているのだ。その上六人もいるので質疑応答の時間も長く、かれこれ三十分は足止めされている。

 

 早く帰りたいわぁ・・・

 

 「皆様すみません、そろそろ切り上げさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 

 「あ、じゃあ最後に一ついいですか?」

 

 クローディアが幕引きを宣言すると、一人の女性記者が緊張した面持ちで手を上げる。

 

 「エンフィールド選手は、前回の《獅鷲星武祭》から三年ぶりの《星武祭》参加となるわけですが・・・《獅鷲星武祭》に特別なこだわりでもあるのでしょうか?」

 

 そういや、それは俺もクローディアに聞いたっけ・・・

 

 確か答えは・・・

 

 「いえ、自分が最も実力を発揮できる環境を選んでいるだけです。それが私の望みを叶える為に、最も近い手段ですので」

 

 そうそう、それだ。

 

 《王竜星武祭》のような個人戦では、途中で格上の相手と当たった場合《パン=ドラ》のストックを使い切ってしまう恐れがある。そうすると次の試合で未来予知が使えなくなり、勝てる可能性は低くなってしまう。

 

 だが《獅鷲星武祭》ならチーム戦なので、一人で格上の相手と戦う必要が無くなる。それに加えてクローディアがチームリーダーなら、未来予知による攻撃回避で負ける可能性がぐっと低くなる。

 

 チームリーダーが倒されたら終わりの《獅鷲星武祭》で、チームリーダーが倒される可能性が一番低いというのは大きなアドバンテージだしな。

 

 「望み、といいますと?」

 

 女性記者の質問に、他の報道陣がざわついた。おいおい・・・

 

 「・・・こんな踏み込んだ質問して、あの女性記者大丈夫か?」

 

 「・・・見たところ新人っぽい。慣例を知らないのかも」

 

 ヒソヒソと会話をする俺と紗夜。

 

 予め選手が公言している場合を除き、通常は選手の望みについて詮索しないことが慣例になっている。選手の望みを叶えるのは統合企業財体であり、そういった詮索が統合企業財体の不興を買ってしまう恐れがあるからだ。

 

 「私の望みは、ラディスラフ・バルトシーク教授と面会して話を伺うことです」

 

 「クローディア!?」

 

 慌てる俺達。一方、報道陣の間には困惑した雰囲気が流れていた。

 

 「ラディスラフ・バルトシーク教授といいますと、純星煌式武装研究で有名な方ですよね?面会とおっしゃいましたが、教授は現在行方不明のはずでは?」

 

 「いいえ。現在教授は《翡翠の黄昏》に関する裁判の関係者として、身柄を拘束されているのです」

 

 明らかな動揺を見せる報道陣。

 

 《翡翠の黄昏》に関する話題は、アスタリスクのタブーとされているのだ。無かったことにされているわけではないが、触れる際には細心の注意が必要なのである。

 

 正気かよアイツ・・・

 

 「もしそれが本当だとして・・・エンフィールド選手は、教授にどのような話を伺いたいのでしょうか?」

 

 「教授しかご存知ない秘密を、少々おすそ分けしていただきたい・・・それだけです」

 

 クローディアはそう言って一礼すると、スタスタと通路へと歩いていった。慌ててその背中を追いかける俺達。

 

 「おいクローディア、あんな発言をして大丈夫なのか!?」

 

 ユリスが戸惑った声で尋ねる。

 

 「教授に関する一件は、銀河を敵に回しかねないのだろう!?それをこんなにあっさり公言してしまっては・・・!」

 

 「大丈夫ですよ」

 

 クローディアが笑みを絶やさず答える。

 

 「このタイミングが最善と判断した・・・ただそれだけです」

 

 「最善って・・・まだ初戦を終えただけですよ?」

 

 綺凛も戸惑いを隠せずにいる。

 

 「そもそも、公言する必要など無かったのでは・・・?」

 

 「フフッ、私なりに色々と計算しているんですよ」

 

 面白そうに笑うクローディア。

 

 「何せ私は腹黒いので、こういった計算はお手の物です。ご心配には及びませんよ」

 

 「なら良いけど・・・」

 

 腑に落ちない表情をしている綾斗。俺も皆と同感だった。

 

 そもそもクローディアの願いは、本当に教授との面会なのか?それが本当に銀河を敵に回してでも、命をかけてでも叶えたいクローディアの願いなのか?

 

 クローディアの考えが分からない俺なのだった。

 




どうも~、ムッティです。

シャノン「初戦があっという間に終わったね」

うん、七瀬しか戦ってないよね。

しかも七瀬も、技一つ出しただけっていうね。

シャノン「それにしても、梁瀬ミーコさんがずいぶんイジられてたけど」

個人的に、梁瀬ミーコさんとファム・ティ・チャムさんのコンビが好きでさぁ。

七瀬との絡みを書きたかったのよ。

シャノン「あぁ、確か声優さんはpetit miladyの二人だったっけ?」

そうそう。アニメで良い味を出してたよね。

ファム・ティ・チャムさんもまた登場してほしいなぁ。

シャノン「それより、私は《獅鷲星武祭》に出るの?」

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「無視すんなああああああああああっ!」

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