学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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個人的にクロエの声は、藤井ゆきよさんのイメージ。

『最弱無敗の神装機竜』のクルルシファーみたいな。

もしくはブリドカットセーラ恵美さんかな。

『新妹魔王の契約者』の柚希みたいな。


クロエの事情

 「じゃあクロエは、アイツらと同じPMCにいたのか?」

 

 「えぇ、彼らのチームの一員だったのよ」

 

 説明してくれるクロエ。

 

 俺はクロエと一緒に、行方不明の紗夜を探していた。九美達も別の場所を探してくれているので、すぐ見つかると思うのだが・・・

 

 「それからクインヴェールに購入されて、《べネトナーシュ》の一員になったの」

 

 「あぁ、クインヴェールの諜報工作機関か」

 

 「えぇ。クロエ・フロックハートという名前は、理事長からもらった名前よ。彼らのチームにいた頃は、ミネルヴィーユという名前だったわ」

 

 「そういや、あの阿婆擦れ女もそう呼んでたっけ」

 

 それにしても『購入』か・・・アスタリスクでは、学園が学生の身柄を買い上げることは珍しくないけど・・・

 

 あまり気分の良い話じゃないよな・・・

 

 「それを知った美奈兎が、理事長と交渉したのよ。もし自分達が《獅鷲星武祭》で優勝したら、私を自由にしてくれって。シルヴィアの口添えもあって、交渉は成立したわ」

 

 「シルヴィも絡んでんのかよ・・・」

 

 アイツ色々と首を突っ込んでるよな・・・今度問い詰めてやろう。

 

 「・・・そっか。それなら、クロエは負けられないよな」

 

 「えぇ。でも、それは七瀬も一緒でしょう?」

 

 「・・・まぁな」

 

 俺も仲間の願いを叶える為、絶対に負けるわけにはいかない。たとえクロエにどんな事情があろうとも、優勝を譲るわけにはいかないのだ。

 

 「ゴメンな、クロエ。俺は・・・」

 

 「謝らないの」

 

 クロエの人差し指が、俺の唇に添えられる。さっきと逆のパターンだな・・・

 

 「七瀬には七瀬の事情があって、私には私の事情がある・・・それだけのことよ。私が七瀬を恨むことは絶対に無い。だからお互い頑張りましょう」

 

 「・・・あぁ。そっちも俺達と当たるまで負けんなよ」

 

 「フフッ、頑張るわ」

 

 微笑むクロエ。自分の命運がかかっているというのに、随分と落ち着いているようだ。

 

 そんなこんなで歩いていると・・・

 

 「おや、七瀬じゃないか」

 

 「ご機嫌よう」

 

 前方から歩いてきたのは、アーネストとレティシア・・・いや、それだけじゃない。

 

 「《銀翼騎士団》が勢揃いだな・・・」

 

 《銀翼騎士団》・・・ガラードワースの《冒頭の十二人》だ。つまり、ランスロットとトリスタンのメンバー全員である。

 

 「七瀬えええええっ!」

 

 「左手は添えるだけ」

 

 「ぐはっ!?」

 

 駆け寄ってくる五和姉の腹部に、俺の左の拳が入った。

 

 「ちょ、酷くない!?」

 

 「ドントタッチミー」

 

 「何で英語・・・ってこのくだり二回目だよねぇ!?」

 

 「えっ、五和姉が一年も前のことを覚えてるなんて・・・六月姉、どう思う?」

 

 「驚愕。アスタリスクは崩壊するのでしょうか・・・」

 

 「バカにしてんの!?」

 

 ギャアギャア騒ぐ五和姉。相変わらず面白いなぁ・・・

 

 「五和、うるさいですよ」

 

 溜め息をつく三咲姉。

 

 「全く・・・貴方はもう少し《銀翼騎士団》の一員である自覚を持って下さい」

 

 「その五和姉と学園祭の時にくだらないことで喧嘩して、反省文を書いていたのは何処の《絶剣》さんでしたっけ?」

 

 「すいませんでした」

 

 土下座する三咲姉。やれやれ・・・

 

 「七瀬さん、お久しぶりです」

 

 「ご無沙汰してます」

 

 後ろからエリオとノエルが現れ、笑顔で挨拶してくれる。

 

 「おぉ、可愛い後輩達よ!」

 

 二人に抱きつく俺。

 

 「ちょ、七瀬さん!?」

 

 「はうっ!?」

 

 「七瀬!?私とのハグは拒否したのに、何で二人には抱きつくのよ!?」

 

 「五和姉は鬱陶しい。エリオとノエルは可愛い後輩。以上」

 

 「ガーン・・・」

 

 落ち込む五和姉。まぁ放置しておいて・・・

 

 「あ、パーシヴァルさん。お久しぶりです」

 

 「学園祭以来ですね、七瀬」

 

 俺はパーシヴァルさんと握手を交わす。

 

 「あの時はお世話になりました」

 

 「いえいえ。こちらこそ、愚姉共がご迷惑をおかけしました」

 

 「「愚姉・・・」」

 

 三咲姉と六月姉も落ち込む。面倒だなこの人達・・・

 

 「七瀬、私のことは呼び捨てで構いませんよ?私は敬語を使うのが習慣ですが、七瀬は使わなくて大丈夫ですので」

 

 「そう?じゃあパーシヴァルで」

 

 そんなやり取りをしていると、アーネストが前に進み出てきた。

 

 「七瀬、先ほどはありがとう。ソフィア達を助けてくれて」

 

 「何だ、見てたのか?」

 

 「あぁ。僕が出て行く前に、七瀬が間に入ってくれて助かったよ」

 

 苦笑するアーネスト。

 

 「本当はあの場でお礼が言えたら良かったんだけど・・・ソフィアがいたからね。後で君の控え室にお邪魔して、お礼を言おうと思ってたんだ」

 

 「・・・ソフィアと会いたくないのか?」

 

 「いや・・・ソフィアが僕と顔を合わせたくないだろうと思ってね」

 

 「ソフィアが・・・?」

 

 アーネストの言葉に、俺は首を傾げた。

 

 あれほどアーネストを想っているソフィアが、アーネストと顔を合わせたくないなんてことがあるのだろうか・・・

 

 「そ、それより七瀬!そちらの方は!?」

 

 事情を知っているのか、明らかに話題を変えにきたレティシア。

 

 これ以上アーネストの事情に首を突っ込むのもマズいと思ったので、俺はレティシアに乗っかることにした。

 

 「あぁ、クロエ・フロックハートだよ。九美・・・妹のチームメイトなんだ」

 

 「え、九美の!?」

 

 「驚愕。九美も出場するのですか?」

 

 「今さら知ったんですか・・・」

 

 驚いている五和姉と六月姉に、呆れている三咲姉。やれやれ・・・

 

 「二人とも・・・妹が出場するかどうかぐらい把握しとけよ」

 

 「七瀬も《鳳凰星武祭》の時、五和と六月の出場を把握してませんでしたよね?」

 

 「すいませんでした」

 

 今度は俺が土下座する番だった。あ、そうだ・・・

 

 「そういやレティシア・・・いつもご苦労様」

 

 「・・・急にどうしましたの?」

 

 「いや、俺はお前が不憫で不憫で・・・」

 

 「七瀬!?何で泣いてますの!?」

 

 アーネストや三咲姉から仕事を押し付けられ、五和姉と六月姉には手を焼かされ・・・

 

 本当に可哀想で仕方がない。特に愚姉共が迷惑をかけて、本当に申し訳ない。

 

 「俺で良かったら愚痴とか聞くから・・・辛い時は無理すんなよ?」

 

 「してませんわよ!?何で私が可哀想な子みたいな扱いをされているのですか!?」

 

 「確かに・・・我々はレティシアに負担をかけすぎたかもしれないね・・・」

 

 「アーネスト!?何を言い出しますの!?」

 

 「レティシア、本当にすみません・・・責任を取って生徒会を辞めます」

 

 「三咲!?それは私の負担が増えるので止めてくださいまし!」

 

 「レティシア・・・私、優等生になるよ」

 

 「五和!?気持ち悪いですわよ!?」

 

 「決心。六月はレティシアの為なら、命を捨てる覚悟です」

 

 「六月!?そこまでの覚悟は求めてないですわよ!?」

 

 良かった・・・皆にはちゃんと伝わったようだ。

 

 「お前ら!レティシアを大切にしろよ!」

 

 「「「「「「「「「「「イエッサーッ!」」」」」」」」」」」

 

 「こんな《銀翼騎士団》嫌ですわあああああああああああああああっ!」

 

 レティシアの絶叫が響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「・・・まさか《銀翼騎士団》が、コント集団だとは思わなかったわ」

 

 呆れているクロエ。《銀翼騎士団》と別れた俺達は、再び紗夜を探していた。

 

 「いやぁ、ノリが良いよな。俺、ガラードワースに入学しても良かったかもしれない」

 

 「ノリの良さだけで判断するのはどうかと思うわよ・・・」

 

 と、クロエが時計に目をやった。

 

 「本当に時間が迫ってきてるわね・・・貴方のチームメイト、何処へ行ってしまったのかしら・・・」

 

 「紗夜は極度の方向音痴だからなぁ・・・ドームの外に出たかもしれん」

 

 「いや、いくら何でもそれは・・・」

 

 クロエが言いかけたところで、俺の端末に着信が入った。

 

 「あ、柚陽だ」

 

 俺が端末を操作すると、空間ウィンドウに柚陽の顔が映し出される。

 

 『もしもし、七瀬さん?』

 

 「おう柚陽、どうした?」

 

 『沙々宮さんが見つかりました』

 

 「マジで!?」

 

 あのバカ、やっと見つかったか・・・

 

 「で、何処にいたんだ?」

 

 『それが・・・』

 

 柚陽が困り顔で、自身の背後を映す。そこには・・・

 

 『沙々宮さん!?起きて下さいまし!』

 

 『スピー・・・スピー・・・』

 

 陽の当たる芝生の上で気持ち良さそうに眠る紗夜を、ソフィアが必死に起こそうとしていた。

 

 おいおい・・・

 

 「・・・ドームの外、だよな?」

 

 『えぇ、念の為と思って探しにきたのですが・・・まさか本当にいるとは思いませんでした・・・』

 

 「・・・すぐそっちに行く」

 

 紗夜を一発ぶん殴ることを決意した俺なのだった。

 




どうも~、ムッティです。

シャノン「作者っち、この作品も遂に百話を突破したよ!」

いやぁ、感慨深いよね・・・

この作品を書き始めた時は、ここまで続けられると思わなかったもん。

シャノン「二度の《七ヶ月の空白》もあったもんね」

ホントすいませんでした・・・

いつもこの作品を読んでくださっている皆様。

お気に入り登録してくださっている皆様。

感想を書いてくださっている皆様。

評価を付けて下さっている皆様。

本当にありがとうございます。

これからもどうか、この作品をよろしくお願い致します。

シャノン「お願い致します(ぺこり)」

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」


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