捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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 それでは今回もよろしくお願いします。


ずっと二人で… ♯5

「…………」

「…………」

 二人してソファーに腰掛け、何も言わずに寄り添っていると、意外なくらいに長い時間が過ぎた。お互いに何かを修復していたような、ひっそりとした時間だった。

 外はいつの間にか、クリスマスの時よりも多くの雪が舞い降り、心の火照りを冷ましてくれている気がした。

「ねえ……」

 絵里さんが手を握ってくる。

「雪……綺麗ね」

「……そうですね」

「去年、こんな風に雪を見てた時は、こんな出会いがあるなんて思わなかったわ」

「俺もですよ」

「あの日、千葉に行って本当によかった」

「……仮に……」

「?」

「あの日、千葉で会わなくても、何かの用事で、俺が東京に行って……出会っていたと思います」

「……わかりやすく言うと、あなたは私を必ず見つけてくれるって事?」

 絵里さんの方は見ずに頷く。

「……あなたって本当に可愛いわね……いっそこのままどうにかしたいぐらい」

「どうぞ」

「絶対に出来ないと思ってるでしょ?」

「はい」

「まあ、その通りね」

 肩にかかる重みが少し増した。

「私……八幡の前じゃ、もう強がれないわ」

「……別にいいんじゃないですか」

「どうしよう……これからあなたに……八幡にいっぱい甘えちゃうかも」

「出来る範囲で善処します」

「……そういう時は『絵里、わがままくらいいくらでも言ってくれ。絵里のわがままなら大歓迎さ』ぐらい言ってよ」

「……それは止めときます。しかも、その口調で俺が話すのが想像できない。呼び捨てになってるし」

「あ、じゃあお願いがあるんだけど」

「?」

 耳元で誘うような声が響く。

「絵里って呼んで?」

「すぅ……すぅ……」

「そんなんじゃ騙されないわよ?」

 頬を抓られる。

「わ、わふぁりまふぃふぁ……」

「さ、いつでもいいわよ!」

 俺の絵里さんは、何故か目を閉じ、俺が呼び捨てで呼ぶのを、今か今かと待ちわびている。さっきあんな事があったのに、どうしてこんな無防備になれるんですかね、この人は。

 隙ありと言わんばかりに、一瞬だけ唇を重ねた。

「え?あ、八幡?」

「……どうかしたんですか……絵里」

「……ずるい」

「何の事でしょうか」

「八幡ったら、意外と積極的になったわね。もしかしたら、卒業式の日に二次元キャラクターの恰好で、校門前で待ってたりするのかしら」

「しませんよ」

「私、ラッキーマンとか結構好きなんだけど」

「絶対にしませんよ」

 運気は上がりそうだが。

「絵里さん」

「聞こえない」

「ぐっ……絵里。さっきまでの真面目な空気はどこに行ったんですかね」

「私はこっちの方が好きよ」

「……そうすか」

「強がる必要もないし」

「……それはタイトル回収の為に言ってるんですか?」

「だってこのままじゃポンコツとか残念で終わるじゃない」

「…………」

「八幡」

「何ですか?」

「これからもよろしく」

「……こちらこそ、よろしく……絵里」

 





 あと、バレンタイン、卒業式、劇場版で終わります!

 読んでくれた方々、ありがとうございます!

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