捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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 絵里編、劇場版の所までやります!
 誤解があったようで、申し訳ないです。

 それでは今回もよろしくお願いします!


ALL STANDARD IS YOU ♯2

 

「まったく、八幡はいやらしいんだから……」

「いえ、これは下心などではなくてですね、純粋に可愛い生き物を愛でるといいますか……」

 そう。これはまさに不可抗力。亜里沙から『お兄ちゃん』と呼ばれて、心が震えない男などいるだろうか。いや、いないはずだ。そして、俺は合法的にその権利を手にしただけであって、そこに疚しい事など何一つない。

「頭の中で言い訳をこねくり回しているようね。ふぅ~ん」

 キューティーパンサー絵里さんのジト目に体が震える。あれ?この前の甘い空気はどこへ行ったの?いや、俺が悪いんだけと……。いや、ここは心の平静を保つ為に、幸せな事を……

『お義兄ちゃん』

「あ、今いやらしい事考えた」

「そ、そんな事は……」

「観念するチカ」

「す、少しだけ……」

「チカ~!!」

「すいません!」

 ひたすら謝る俺に、絵里さんは腕を組み、溜息を吐いた。

「……しょうがないわね。私が言ってあげる」

「は?」

 今、聞き捨てならない事を言ったような……

「……お義兄ちゃんっ!」

「え~と、これがお土産なんですけど……」

「何かしら、その反応は?」

「……ふっ」

「な、何よ!私頑張ったのに!」

 あ、危ねえ。何とか誤魔化せた。

 やはり絵里さんが妹ぶるのはまちがっている。

 

 その後は、しばらくお互いのお土産交換と、旅先での出来事を語り合った。まだ午前中という事もあり、時間を気にする必要もなかった。

 そんな中、突然絵里さんが言いにくそうに、もじもじしている。

「ねえ、八幡」

「?」

「私達……こ、恋人になったのよね」

「……はい、なりましたね」

 俺の返事を聞くや否や、絵里さんが唇を押しつけてくる。

「…………っ」

「…………んん」

 息が止まるくらい甘く、気持ちが通じ合うくらいに深い時間に埋もれ、絵里さんを抱きしめる。

「こ、こんな風に何度もキスできるのよね!?制限なんてないのよね!?」

「……はい」

 当たり前の事にしっかり頷くと、再びキスを交わし、お互いに抱きしめ、ベッドに転がる。その柔らかな笑顔を見ていると、自然とこちらも笑みが溢れた。

 窓から射し込む朝の光に照らされた青い瞳が静かに揺れ、長い睫毛は少しだけ濡れている。

 そして、胸の豊かな膨らみが、呼吸に合わせ、浅く上下して、こちらの欲求を掻き立てる。

「ふふっ。朝から何をやってるのかしらね。私達は」

「ま、まあ、誰も見ていないわけですし……」

 もう一度キスをしようとすると……

「お姉ちゃん、そろそろいい?」

「「…………」」

「あの……ドア、開けっ放しだよ」

 次の瞬間、絵里さんの『チカァ~!』という叫び声が、家中に響き渡った。





 読んでくれた方々、ありがとうございます!

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