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数分前……。
「むう……比企谷君はどうやら告白を止めるつもりやね」
「…………」
「エ、エリチ。何を準備しとるん?……ラ、ライフル?」
「安心して。弾はコルクよ」
「いや、そういう問題やなくて。な、何故?」
「八幡の行動くらいお見通しよ」
「この場に亜里沙ちゃんがいなくてよかった……」
「見てなさい、八幡。……狙撃!」
謎の衝撃に態勢を崩した俺は、二人を巻き込んで倒れた。
戸部と海老名さんも何が起こったかわからない、というような顔をしていた。本当に何だ、今のは。
さらに、口を開こうとした瞬間、どこかから自分の声が聞こえてくる。
『二人共。俺と付き合ってくれ』
その言葉に、戸部は青ざめ、海老名さんは顔を赤くした。わあ、リトマス試験紙みたい!って何だよ、今のは!
「ヒ、ヒキタニ君!?俺そっちの趣味はねーし!」
「ヒキタニ君がとべっちと私に告白……道ならぬ複雑な三角関係……嫉妬する葉山君……ぶはぁっ!」
興奮が最高潮に達した海老名さんの鼻血が竹藪に舞う。観光名所を汚すな。
『…………』
海老名さんの気絶により、場に白けた空気が流れる。
これは依頼達成という事でいいのだろうか?
皆が気を取り直し、戸部が海老名さんを背負って宿まで帰る事になった。これはこれで、戸部大勝利ではなかろうか。
「すまない。君はこんなやり方しかできないと知っていたのに……」
いや、俺も想定外の事が起こったんだが……つーか、お前これを想像してたの!?凄すぎだろ!
葉山はゆっくりと歩き去って行った。相模の時といい、こいつは天然なのだろうか。
「ヒキタニ君、ぱねぇわ」
「ぱねぇな」
大岡と大和もそれに続き、去って行った。
俺も戻ろうとすると、目の前に奉仕部の二人が立ちはだかる。
「比企谷君」
雪ノ下はにっこりと笑いながら言った。
「あなたが非常に性に対する好奇心が強いのは知ってるわ。でもね……あなたのやり方、嫌いだわ」
由比ヶ浜は顔を真っ赤にしながら言った。
「ヒッキー、あたしよりとべっちが好きだったなんて……てか、あたしの前でとべっちと姫菜に同時告白するなんて……バカッ!……人の気持ち考えてよ!」
二人はそれだけ言い残し、さっさとその場を後にした。あれ?……な、納得いかねえ。
「八幡、元気出して」
「絵里さん……」
いきなり背後から聞き慣れた声がする。ああ、全ての疑問が一瞬にして解決した。つーか、何でライフル背負ってんだこのポンコツ可愛い生徒会長は。
ひとまず絵里さんのほっぺを両側から引っ張る。自然とそうしていた。
「ふぁひ?ふぁひ?」
「いや、何となく……」
「いふぁい、いふぁい」
絵里さんは俺の考えなどお見通しだったのだろうか。
じゃあ、後で思いきり謝ろう。絵里さんが許してくれるまで。
そう思いながら、しばらく頬の柔らかさを堪能した。
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