それでは今回もよろしくお願いします。
かなりカオスだった体育祭は無事に終了した。
結果は赤組の負け。最後の競技である棒倒しで、俺の反則が見つかってしまった。どうやら、俺がのびのびと競技を楽しむには棒倒しのルールは窮屈すぎるようだ。
ちなみに絵里さん達はライブを終えた後、無駄に格好良く去って行った。
『八幡……貴方を……愛している』
遠い夢を見ていた……訳ではないので、色々と後が面倒だった。
まあ、色々とあって擦り傷を結構作ってしまったので、こうして保健室に絆創膏を貰いに来た。
保健の先生はいなかったが、すぐに消毒液と絆創膏を見つけ、処置を終える。
そこでふと思い至る。今日の盛り上がりの立役者である絵里さんに、電話をしておこう。もう、帰っているらしいが、見送りは出来そうもないので。
ベッドに腰掛け、カーテンを閉め、絵里さんの番号を選択する。
「あ、絵里さん……」
『八幡、お疲れ様!』
「いや、それはこっちの台詞で……その、お疲れ様です」
「あ、比企谷君?さっき入って行くのが見えたんだけど……寝てるの?」
『私は楽しかったからいいわ。比企谷君も意外と頑張ってたわね。どこかで寝てるかと思ったわ』
「いや、寝ませんから。実行委員会ですから」
「そ、そう。真面目だね。体育祭終わったのに」
『ふふっ。何だかんだ真面目だもんね。本当にお疲れ様。そろそろ専業主夫の夢を見るのも終わりにして働く覚悟を決めたら?』
「いや、それはまだ始まったばかりですよ」
「何が!?ていうか何してるのかな?カーテンを閉め切って」
『そういえば走ってる時、顔真っ赤だったわね。今さら?』
「そこは察してくださいよ。こっちも年頃の男子なんですから」
「え!?な、ななな……いや、でもいきなり声をかけたのは私だもんね。ごめんね?で、でも、学校でそういう事しちゃダメだよ……うぅ、比企谷君が真面目か不真面目かわからなくなっちゃうよ」
『後で何か言われなかった?罰をおしつけられたりとか……』
「……何なら一緒にどうですか?」
「しないよ!もう、比企谷君のばか!それに君には恋人がいるんでしょ!?」
『ごめんね。埋め合わせは必ずするから!じゃ、じゃあ、この前私の裸を見たのをチャラにするわ』
「いや、それとこれとは話が別ですから」
「べ、別って……ダメだよ!彼女さんが可哀想だよ!タダでさえ比企谷君は女の子だけじゃなくて、男の子にも節操ないって言われてるんだから」
『そうよね……じゃあ、何か考えておいて。それと……来週にハロウィン前のライブイベントと、私の誕生日が重なってるの……だから……』
「じゃあ、皆で盛大に祝いましょう」
「何言ってるの!?ひ、比企谷君!おかしな事言わないの!」
『珍しいわね。まさか八幡から……』
「まあ、その……仮ですが、恋人ですからね」
「こ、恋人!!?君と私が!?あわわ……」
「じゃあ、そろそろ戻ります」
『ええ、今日は楽しかったわ』
「そりゃ、よかった」
カーテンを開くと、目の前にいきなり城廻先輩が現れた!こちらは駆け出そうとしていたので、勢いよくぶつかり、そのまま押し倒してしまう。あれー?To LOVEるの予感がしますよ?
「す、すいません……」
「比企谷君……」
そのままの態勢で見つめ合っていると、ガヤガヤと話し声が聞こえてきた。
「いやー、棒倒し疲れたわー。材木座君、意外と力強かったわー」
「ほんとそれ。思いきりぶっ飛ばされたわ」
廊下から聞こえてくる話し声はどんどん近くなり、予定調和のように扉がガラッと開く。
「……ヒ、ヒキタニ君。ちーす……」
「おう……」
「比企谷君……わ、私……」
戸部やその他の連中は静かにドアを閉めた。
翌日、また新たな噂が飛び交ったのは言うまでもない。
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