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それでは今回もよろしくお願いします。
店内はそれほど混み合っておらず、すぐに座る事ができた。しかし、軽く食事をして終わりかと思ったら、そうではなく、エレン先生がデザートまで注文し始め、奢りという言葉に釣られ、俺も頼んでしまった。
……この選択が後の修羅場を生む事になるとは知らずに……
「ヒキガヤ君のケーキ、一口チョウダイ」
「……どうぞ」
エレン先生に向けてケーキを皿ごと差し出すと、フォークで少しだけ削り取っていった。そのまま美味しそうに頬張る姿を眺め、それに倣い、自分もケーキを頬張る。……か、間接キスとか意識してないんだからね!
「ドウカシタ?顔赤いワヨ」
「な、何でもないれす」
「フフ。その顔、キュートね」
「……は、はあ」
噛んだりしながら、しどろもどろになる俺に、エレン先生は優しく微笑み、自分のチョコレートパフェをスプーンで掬う。
そして、それをこちらに差し出してきた。
「はい、ア~ン」
「え、あ、いや、さすがにそれは……」
「こういうのは日本語でゴホウビって言うんでショウ?」
その笑顔からはあまりからかいの色は見られず、純粋に俺を労ってくれているようだ。これを断るのは流石に失礼な気がする。いや、失礼だ!失礼に違いない!べ、別に変な意味とかねーし?ハチマン、ウソ、ツカナイ。
意を決した俺が口を開いたその時……
「は、八……幡……君……」
「は、はい?」
そこには驚愕の表情を浮かべた絵里さんがいた。
「あれ~比企谷君やん?」
その後ろには東條さんを始めとしたμ'sメンバーがいる。何という偶然。つーか、東條さんのニヤニヤ顔が怖い。だっていいネタ見つけたって顔してるんだもん。
「あ、あんた……!」
矢澤さんの表情は険しい。……まあ、この光景を見られたらこうなるのも無理はないか。
「絵里ちゃん、知り合いなの?」
サイドポニーの女子……高坂さんだったか……が、絵里さんに尋ねた。
すると絵里さんは踵を返し、すたすたと店を出た。
「ありがとうございましたー」
ウエイトレスさんの挨拶が聞こえ、数秒後にまた入ってきた。
「いらっしゃいませー」
再び俺の前に立ち、その顔を驚愕に歪める。
「は、八……幡……君……」
また踵を返し、店を出た。
「……ありがとうございましたー」
ウエイトレスさんが不審そうな目で見送り、μ'sメンバーは顔を見合わせ、エレン先生は小首を傾げる。
数秒後、またまた入ってきた。
「い、いらっしゃいませー……」
ウエイトレスさんはかなり対応に困っている。
そして、俺の前に立ち……
「は、八……幡……君……」
そして、また……
「エ、エリチ!落ち着こ!な!?」
「ど、どうしちゃったの!?絵里ちゃん!」
「ダ、ダレカタスケテェ……」
「こ、壊れたにゃ……」
俺はこの状態をどう説明したものかと考えながら、内心の焦りのようなものを撫でつけるように抑えた。
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