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それでは今回もよろしくお願いします。
「八幡君、私に何か隠している事はないかしら」
「……何も」
「しっかり目を見て言いなさい!」
「いや、電話じゃ無理ですから」
「むう……そういえば、新しく赴任してきた先生とは上手く距離をとっているかしら」
「いや、何で距離をとるんですか……まあ、普通ですよ」
「普通……普通ね。まあ、いいわ。でも、何で金髪なのよ!碧眼なのよ!私と被るじゃない!一つの物語に同じ属性は二つも要らないのよ!」
「そんな事言われましても……」
このまま深夜まで理不尽とメタ発言のダブルパンチを喰らい続けた。
「オハヨウ!」
「……おはようございます」
待ち合わせ場所にした千葉駅に到着すると、エレン先生は既に到着していて、俺を見つけると笑顔で手を振ってきた。一応、変装のつもりだろうか、伊達眼鏡とベレー帽を装着している。
まさか、休日に海外から来た年上金髪美人と秋葉原に行く日が来るとは……問題児たちが異世界からやって来るくらいありえないんですけど。
「フフフ……ドウ、この変装ハ?」
「……まあ、いいんじゃないですか」
「最近は皆オーバーワーク気味ですから、今日はこれまでにしておきましょうか」
「あ、じゃあ皆で甘いもの食べに行こうよ!」
「さんせーにゃ~!」
電車に乗って早10分。
仕事疲れからか、エレン先生は眠っていた。
……俺の肩に頭を預けて。
ふわりと漂う甘い香りに落ち着かない気持ちでいると、エレン先生は目を覚ましたようだ。
「あっ!Sorry……」
「だ、大丈夫です」
意識しないように、電車がガタンゴトンと動く音や、周囲の人達の会話に耳を澄ませる。景色が流れていく度に、変な不安に胸を締めつけられた。
「ここが秋葉原デスネ!」
駅を駆け足で出たエレン先生は、秋葉原の街を見て楽しそうにはしゃいでいる。その姿は年より幼く、跳ねる金髪はどっかの誰かさんを思い出させた。
……神様、疚しい事などありません。どうか何事もなく一日を終えられますよう……
「ヒキガヤ君、ハヤクハヤク!」
背中をバシバシ叩かれ、不安を胸に秋葉原の街へと一歩一歩、重い足取りで歩き出した。
「ことりちゃんが働いてるお店なら安くなるかな?」
「え~、ならないよ~!」
「あはは、さすがに悪いよね」
「絵里、どうしたの?」
「う~ん、なんか感じるのよね……」
「……はい、撮りますよー」
メイドと並んだエレン先生に告げて、携帯の撮影ボタンを押す。メイドと金髪美人教師の豪華な組み合わせは、かなり豪華な組み合わせに思える。こんな眼福を味わえるのなら、まあ悪くない休日かもしれない。そして今度はガソガルとかいうキャラクターのコスプレをした綺麗なお姉さんとの写真を撮影した。
「かなり撮りましたね……」
「アハハ……Sorry……」
気がつけば1時間近く経っており、エレン先生の携帯のギャラリーには、沢山のコスプレ少女とのツーショットが並んでいた。
「疲れたデショウ?あのお店に入りマショウ!オゴルワヨ!」
「あ!そういえばあのお店、最近新作のパフェができたんだって!」
「じゃ、じゃあ、行ってみましょうか……何かしら。この胸騒ぎは……」
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