捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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天使のわけまえ ♯4

「あ~楽しかった♪」

 亜里沙が気持ち良さそうに伸びをする。2ゲームやってあまりスコアは奮わなかったものの、その顔は非常に満足そうで、ボウリングという競技を心から楽しんだ事が窺える。

「う~ん、体を動かしたらお腹が空いてきたね~」

 小町がお腹を軽くさすりながら言う。確かに1ゲーム追加したので、もう時刻は正午をかなり過ぎてしまっている。

「じゃあ、そこにあるファミレスにでも入りましょう」

「そっすね」

 しかし、予想外の出来事が俺達を待ち受けていた。

 

「あら、エリチ」

「な、な……絵里、アンタ……」

 俺達が入ろうとしたら、ちょうど東條さんと下級生っぽい女子が出てきた。黒髪と短いツインテールが何となくあざとい。

「亜里沙ちゃんもこんにちは」

「こんにちは!」

「それと比企谷君も。……そっちの子は?」

「俺の妹です」

「比企谷小町です。いや~綺麗な人ですね~♪こっちの……女の子も可愛い~♪」

「ちょっとアンタ。今、私の事を子供だと思わなかった?」

「え?そ、そんな事はないですよ?」

「にこっちが小さくてごめんね?この子、これでもウチとエリチの同級生なんよ」

「の、希!何言ってんのよ!頭を撫でるんじゃないわよ!」

「それじゃ、ウチらは行くから」

「ええ、二人共、また学校でね」

「…………」

 俺も二人に軽く頭を下げる。

 そして入れ替わるように店の中へ……

「って、ちが~~う!」

 いきなりの怒声に皆がビクッとなる。

「何で私の紹介とか省いて、じゃなくて!絵里!何でアンタ、男といるのよ!スクールアイドルの一員でしょ!?」

「にこっち、どうどう」

「にこ、落ち着きなさい」

「…………」

 ひとまず全員で店の中へと入っていった。

 

 店内は外のジメジメした空気とは無縁で、空調で快適な湿度に保たれていた。お昼のピークを過ぎていて、客がまばらなのもいい。

 俺は亜里沙と全員分のお冷やを運び、席に着く。

「亜里沙ちゃん、お兄ちゃん、ありがと」

「はい、どうぞ♪」

 端っこの方に目を向けると、絢瀬さんとにこっちさんが向かい合って座っている。東條さんはにこっちさんの隣で二人を面白そうに眺めている。

 当の二人は……にこっちさんは怒っているようだが、絢瀬さんは涼しい顔をして、その怒りを受け流している。随分余裕すぎやしませんかね……。

「ちょっとそこのあなた」

 にこっちさんにジトッと視線を向けられる。

 俺は絢瀬さんの隣に座り、話を聞く態勢に入る。

「絵里とはどういう関係なの?」

 いきなり聞かれ「フィアンセよ!」言っちゃったよ。

「えぇぇぇぇ~~~~!!!?」

 店内ににこっちさんの叫び声が大音量で響き渡った。

 




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