風邪でダウンしてました。
申し訳ないです!
それでは今回もよろしくお願いします。
「ふふっ」
不敵な笑みを浮かべた絢瀬さん。
そのしなやかな腕、無駄のない流麗なフォームからボールが放たれた。
上手い具合に回転がかかったボールは徐々にスピードを増し、ピンを薙ぎ倒していく。
モニターにstrike!と表示され、賑やかな映像が映し出され、思わず拍手してしまう。
「ハラショ~♪」
その結果を満足げに見送った絢瀬さんが手を掲げ、こちらに戻ってきた。
俺も手を上げ、パンッと合わせる。
「ボウリングってこんなに楽しかったのね!」
「いや、初めてなのに上手すぎでしょ」
「すごい!お姉ちゃん!」
「絵里さん、かっこいい~!」
「ありがとう、次は亜里沙ね」
「うん!」
現在の順位は、1位がダントツで絢瀬さんで、あとは俺、小町、亜里沙の順番で拮抗している。こっちも久しぶりでかなり不安だったが、持ち前のそこそこの運動神経で何とか兄の面目を保っていた。まあ、実際のところ、順位はあまり気にせず楽しめているのだが。
「も、もっと褒めてもいいのよ?」
隣に座った絢瀬さんが、ぐいぐい寄ってくる。ええい、うっとうしい柔らかい可愛いいい香り……。
「ああ、凄いです凄いです。凄いから少し離れてください」
「つれないな~」
「……いや、まあ何というか」
甘えるような顔に、つい照れくさくなってしまう。
「…………ん」
「は!?」
頬にふわりと柔らかい感触がきて、思わず飛び退く。
「ふふっ」
絢瀬さんは悪戯っぽく笑うだけで、もうレーンの方に視線を向けてしまった。……これでカウントされないとか卑怯すぎやしないですかね。
溜息を一つ吐いて、席に座り直すと、どこかから視線を感じた。
「?」
「……っ」
二つ隣のレーンのツインテールの女子が慌てて目をそらす。どうやら見られていたようだ。千葉じゃなくて本当によかった。いや、待て。絢瀬さんは仮にもスクールアイドルだ。あまりこういうシーンは見られないようにした方がいいだろう。
一応、仮恋人なのでしっかり言っておこう。
……カリコイって新連載始まんねーかな。ジャンプとかで。
「絢瀬さん」
「何?」
「人前であまりこういうのは……ほら、絢瀬さん、スクールアイドルですから……」
「……そ、そうね」
この表情から察するにすっかり忘れてたな。
しかし絢瀬さんは、何か閃いたような顔をして、手をポンと叩いた。
「それって、二人きりの時はいくらでもOKって事よね」
「いや、そういうわけじゃ……」
「観念するチカ。ちょっと向こうまで一緒に行くチカ」
何しようとしてんの!?
「もしも~し」
「お二人さん。見てるこっちが恥ずかしいから」
「あ、あ、あれは……絵里?」
「どうしたの、海未ちゃん?」
「いえ、何でもありません!」
読んでくれた方々、ありがとうございます!