捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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 風邪でダウンしてました。
 申し訳ないです!

 それでは今回もよろしくお願いします。


天使のわけまえ ♯3

 

「ふふっ」

 不敵な笑みを浮かべた絢瀬さん。

 そのしなやかな腕、無駄のない流麗なフォームからボールが放たれた。

 上手い具合に回転がかかったボールは徐々にスピードを増し、ピンを薙ぎ倒していく。

 モニターにstrike!と表示され、賑やかな映像が映し出され、思わず拍手してしまう。

「ハラショ~♪」

 その結果を満足げに見送った絢瀬さんが手を掲げ、こちらに戻ってきた。

 俺も手を上げ、パンッと合わせる。

「ボウリングってこんなに楽しかったのね!」

「いや、初めてなのに上手すぎでしょ」

「すごい!お姉ちゃん!」

「絵里さん、かっこいい~!」

「ありがとう、次は亜里沙ね」

「うん!」

 現在の順位は、1位がダントツで絢瀬さんで、あとは俺、小町、亜里沙の順番で拮抗している。こっちも久しぶりでかなり不安だったが、持ち前のそこそこの運動神経で何とか兄の面目を保っていた。まあ、実際のところ、順位はあまり気にせず楽しめているのだが。

「も、もっと褒めてもいいのよ?」

 隣に座った絢瀬さんが、ぐいぐい寄ってくる。ええい、うっとうしい柔らかい可愛いいい香り……。

「ああ、凄いです凄いです。凄いから少し離れてください」

「つれないな~」

「……いや、まあ何というか」

 甘えるような顔に、つい照れくさくなってしまう。

「…………ん」

「は!?」

 頬にふわりと柔らかい感触がきて、思わず飛び退く。

「ふふっ」

 絢瀬さんは悪戯っぽく笑うだけで、もうレーンの方に視線を向けてしまった。……これでカウントされないとか卑怯すぎやしないですかね。

 溜息を一つ吐いて、席に座り直すと、どこかから視線を感じた。

「?」

「……っ」

 二つ隣のレーンのツインテールの女子が慌てて目をそらす。どうやら見られていたようだ。千葉じゃなくて本当によかった。いや、待て。絢瀬さんは仮にもスクールアイドルだ。あまりこういうシーンは見られないようにした方がいいだろう。

 一応、仮恋人なのでしっかり言っておこう。

 ……カリコイって新連載始まんねーかな。ジャンプとかで。

「絢瀬さん」

「何?」

「人前であまりこういうのは……ほら、絢瀬さん、スクールアイドルですから……」

「……そ、そうね」

 この表情から察するにすっかり忘れてたな。

 しかし絢瀬さんは、何か閃いたような顔をして、手をポンと叩いた。

「それって、二人きりの時はいくらでもOKって事よね」

「いや、そういうわけじゃ……」

「観念するチカ。ちょっと向こうまで一緒に行くチカ」

 何しようとしてんの!?

「もしも~し」

「お二人さん。見てるこっちが恥ずかしいから」

 

「あ、あ、あれは……絵里?」

「どうしたの、海未ちゃん?」

「いえ、何でもありません!」





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