捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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GLOBAL COMMUNICATION ♯5

「えへへ~」

「「…………」」

 

 最近クラスメイトの様子がおかしい。

 先日奉仕部に新しい部員が入ってきた。

 そいつは俺のクラスメイトで、スクールカーストのトップに所属している由比ヶ浜結衣だ。

 自己紹介を交わしたその日に、由比ヶ浜が奉仕部の部室に入ってきて……

 

『由比ヶ浜結衣です!奉仕部に入部させてください!』

『……どうすんだ?』

『え、ええ、平塚先生にも確認してみるけど、大丈夫だと思うわ』

 

 その日の内に部員として承認されたのだが……

 

「なあ、やっぱりこの机小さくないか?」

「ええ、そうね。少し息苦しいわ」

 

 これまで俺と雪ノ下は机を使わずに適当な椅子に腰掛けていた。しかし、今は中途半端な長さの机を3人で使っている。肩と肩が触れそうな距離はさすがに居心地が……悪くはないし、いい香りがするんだけど……。

 

「ほら、やっぱり仲良くなりたいじゃん!……ね?」

「「…………」」

 

 そんな子犬のような目で見つめられると、無碍に出来ないのですが……最近の俺は女子に押しきられすぎだろ。

 

「ゆきのん、趣味とか教えてよ」

「……わかったわ」

 

 どうやら先に女子二人が親交を深めるようだ。なら俺は邪魔にならないように置物として……!!

 

「ふふっ……♪」

 

 な、な、何をしてらっしゃるのでしょうか、由比ヶ浜さん。

 由比ヶ浜は雪ノ下と話をしながら、右手を俺の太股の上に置いている。さり気なさすぎて雪ノ下は気づいていない。な、何やってんだこいつ。危うく変な声出すところだったぞ。

 そのまま右手をさすさすと滑らせている。や、やばい……ぞくぞくして変な気持ちになってきた。

 

「……♪」

 

 由比ヶ浜の目が一瞬だけこちらを向く。その目は悪戯っぽく細められ、この状況を楽しんでいるように見える。ま、まさか、本物のビッチだったとか?

 その混乱を遮断するかのように、ポケットの携帯が震えた。

 何だろう……今度は寒気が……。

 恐る恐るメールを確認する。

 

『チカ』

 

 …………。

 くっ!相変わらず俺の想像の斜め上を行きやがる。

 チカって……Aqours結成は数年後……いや、止めておこう。

 

「どうかしたの?」

「……いや、何でもない」

 

 どうかしてんのはお前と絢瀬さんだ。そろそろ止めないと勘違いしちゃいそうなんですけど。

 再び携帯が震える。

 今度はちゃんとしたメッセージだろう。

 

『もしかして浮気中?浮気は許さないチカ!』

 

「ふぅ……送ってしまったわ。私とした事が……」

 

 まさか、自分がこんなに嫉妬深いなんて……。

 

「絵里ちゃん!どうしたの?」

「な、何でもないわ!さ、休憩上がったら、もう10セット行きましょう!」

「多いよ~!」

「そんなんじゃ観客は魅了できないわよ!さあ、早くやる!」

 

 でもやっぱり嫉妬しちゃう!だって……女の子なんだもん!

 ……今晩、電話で謝ろうかしらね。


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