捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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SOUL LOVE ♯5

 

「なあ、エリチ」

「何?」

 昼休み。生徒会室でお弁当を食べていると、希が神妙な面持ちで話しかけてくる。

「何でエリチって比企谷君の事が好きなん?」

 突然の質問に驚き、咳き込んでしまう。

「げほっ!げほっ!」

「ご、ごめんごめん。だから米粒こっちに飛ばさんで」

「いきなり希が変な質問するからでしょ…………あー、死ぬかと思ったわ」

 こんなみっともない所を比企谷君に見られたらどうするのよ。

「ええやん、このくらい。休日返上の準備の合間の息抜きやろ」

 今日は土曜日で授業はないのだが、午前中は新入生歓迎会の準備。そして、これからスクールアイドルとしての活動が始まる。

「いや、エリチの行動のインパクトが凄すぎて聞くの忘れとったんやけど」

「……て、照れるじゃない。もう……」

「いや、褒めとらんよ」

「そ、そう……」

 そんな白けた目を向けなくてもいいじゃない。まったく……。

「それで、何で好きになったん?」

「目!」

「そ、即答やな……しかも目って……」

「好きな事に理由なんて必要かしら?」

 私はポニーテールを指で弄りながら堂々と答える。

「うわあ、何やろ。ウチがなんか悪い事聞いとるみたいやな」

 希が少し疲れた表情を見せる。どうかしたのかしら?

 私は一つの答えに行き当たる。

「でも何で急に……ま、ま、まさか、あなたも比企谷君の事が……」

 こ、これは由々しき事態だわ。あ、あの胸で比企谷君を誘惑されたら…………

『あ、あかんよ、比企谷君。君にはエリチが……』

『あんたが悪いんだよ。そんないやらしい胸で誘惑するから……』

『もう、少しだけやで』

『希さん……!』

「ああ、それはないよ。ほら、変な妄想してないで。鼻血拭いて」

 希がティッシュで私の鼻をぐしぐしと拭く。な、何変な妄想で鼻血出してるのよ、私は!

「エリチ、こっち向いて」

「はい?」

 カシャッと音がする。

「何を撮っているのかしら?」

「妄想して興奮して鼻血をだすスケベ生徒会長・絢瀬絵里」

「消しなさい」

「いや♪」

「消しなさい!」

「今から亜里沙ちゃんに送るから待って」

「やめて!お願いします!」

 最近、亜里沙の私を見る目が冷たいの!

 『お姉ちゃんは本当にしょうがないなあ』って言われる事が多くなった気がするの!

 これ以上はお姉ちゃん耐えられない!

「じゃあ、教えて?今、比企谷君をどう思うか」

 希は薄く微笑みながらこちらを見た。

 駄目だ…………逃げられない。

 私は数秒間瞑目し、今思ってる事を素直に言う事にした。

「…………可愛いの」

「うんうん…………可愛い?」

「彼、本当に可愛いのよ!私がキスした後の照れた顔とか!こっそり胸を盗み見る時の目とか!」

「は、はあ……それ、可愛いの?」

「っかぁ~~わかってないわね~~もう、本当に可愛いのよ、比企谷君!きゃ~~~!!!!」

「あ、あかん。エリチが…………壊れてもうた」

 

「っくしゅっ!…………な、何だ?寒気が…………」

 

 





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