捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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SOUL LOVE ♯3

「じゃあ、ウチらがアイドル研究会に入って、再び部として復活させるって事でええかな」

「はい!」

「そうですね」

「じゃあ、早速行きましょう」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 話を勝手にまとめようとしている四人に対して、『待て待て待てーい!』とばかりに両手を広げて押しとどめる。

「はいはいエリチ、そんな方法メンドイだけやろ」

「さすがに非効率かと…………」

「むむ……」

 

 合体はロマンだと思うのだけれど……まあ仕方ないわね。希に逆らうと変な過去をほじくり返されかねないわ。……今度希の携帯を調べられないかしら。

 

「よし、皆でアイドル研究会に入るわよ!」

「ねえ、海未ちゃん……生徒会長ってあんな感じだったっけ」

「わ、私には何とも……」

「私は明るくていいと思うな……明るくて」

「たまにウチの想像を遥かに超えるからね」

 …………そういえば日頃のキャラを忘れていたわ。

 

 *******

 

「はあ!?あ、あんた達が入部!?」

「ええ、お願いできるかしら」

 

 アイドル研究会の部室にて、突然すぎる申し出に矢澤さんはひたすら驚愕している。彼女の事は一年の頃から知っているが、こうやってきちんとした会話をするのは初めてだ。

 

「な、何だってそんな急に……しかもあんた達二人は三年生じゃない!」

「あら、何か問題かしら?」

「あるわよ!大ありよ!ただの思い出作りで引っ掻き回されるのは迷惑だわ!」

「ウチらはそんなつもりじゃないんよ」

「あの……私達は廃校阻止の為に!」

「廃校阻止の為だけにやるっていうの?仮に廃校阻止したら、ハイ終わりってわけ?」

「ち、違います!」

 

 高坂さんが目を見開き、反論する。

 

「どーだか」

「矢澤先輩の言いたい事はわかります。しかし、今は何とかして学校を……」

「だからといって思いつきでスクールアイドルやって成功すると思ってんの?」

 

 その真剣な眼差しを見て、彼女のアイドルへの一途さが本物だとわかる。自分が昔捨ててしまったひたむきさを彼女は持っている。

 

「…………」

 

 園田さんもその視線に押し黙ってしまう。

 希はほんの数秒間瞑目した。私と同じように、過去の事を思い出したのだろうか。

 沈黙の時が流れるのをしばらく見届けて、私は口を開いた。

 

「じゃあ、どうすれば認めてもらえるかしら?」

「え?」

「要するに、スクールアイドルへの本気度が確認出来ればいいのよね?」

「ま、まあ、そうね」

 

 高坂さんも一歩前に出る。

 

「じゃあ、来週の新入生歓迎会でパフォーマンスをします!そこで判断してください!」

「……わかったわよ」

 

 矢澤さんは小さく頷いた。

 こうしてスクールアイドルとしての特訓が始まったのである……。

 

 *******

 

「というわけなのよ!」

「はあ……」

 

 俺は絢瀬さんから、今日の出来事を聞かされたのだが、色々とツッコミどころが多すぎる。まず、妹相手に土下座の練習とかアレすぎるし、生徒会室で一人で舞うのもアレすぎる。

 

「八幡君、応援よろしくね!」

「あ、はい……」

「あ、もうこんな時間!明日から朝練あるからもう寝るわね!じゃ、お休み!」

「え?あ……切れた」

 

 こうして唐突にかかってきた電話は唐突に切られた。

 ……一体何だったんだ……俺も寝るとするか。


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