捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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BE WITH YOU ♯3

「ど~~~~~ん!!」

 家に着くなり、自分の部屋に駆け上がった私はベッドに飛び込んだ。衝撃で少し痛いけど、衣装代の出費に比べればちっとも痛くない。あら、ちょっと上手い事言ってしまったわ。

「♪♪♪」

 枕を抱き、ゴロゴロと転がる。

 喜びが体から溢れ出ているせいだろうか、体が自然と動き出してしまう。胸の中がぽかぽかと温かい。

 デ、デートはいつにしようかしら。あ、でも今週は生徒会が忙しかったから……。

「お、お姉ちゃん……」

「亜里沙~。ただいま~♪」

 ドアの隙間からひょっこり顔を覗かせた亜里沙は、怪訝そうな目をこちらに向けている。やっぱり今日も可愛らしい小動物みたいだ。 

「帰ってくるなりどうしたの?はしゃぎすぎだよ、お姉ちゃん」

「いつも通りよ~」

「な、何?比企谷さんと何かいいことがあったの?」

「ふふ…………へへ…………」

「お姉ちゃん、その残念な笑い方やめて」

「はい」

 亜里沙は腰に手を当て、ジト目を向けてくる。私は機嫌を損ねないように、起き上がって亜里沙の目を見た。

「それで…………何があったの?」

「私……八幡君のガールフレンド(仮)になったの!!」

「…………ごめん。もう1回言ってくれる?」

「私……八幡君のガールフレンド(仮)になったの!!」

「本当にそのまま言わなくても……しかも(仮)って何?」

「日本にはそういう関係があるのよ、亜里沙にはまだ早いかもしれないわね」

「クラスの男子がやってたゲームのタイトルだったような…………」

「…………」

 え?そうなの?ゲームのタイトル?

 …………ま、私と八幡君からすれば大した問題ではないわね。

「大丈夫よ、亜里沙。わざわざ彼の好きなプリキュアのコスプレをして、彼の通う学校の校門前で…………キス…………したんだから」

「全然大丈夫じゃないからね!?」

 よし!今から廃校阻止の為の案を用意して、その後でデートに着ていく服とデートコースを考えましょう。長い夜になりそうね。

「お姉ちゃん、聞いてる!?なんか色々と天元突破してるよ!」

「当たり前よ!私を誰だと思ってるの!?かしこい、可愛いエリーチカよ!」

「無駄に格好いいけど、墓穴しか掘ってないよ!」

「墓穴掘っても掘り抜けて…………」

「ストップ!ただでさえ感想欄でメタいって言われまくってるのに、それ以上はダメ!」

「そうね……とりあえず自重するわ」

「はあ…………比企谷さん、大丈夫かなぁ」

 

「…………」

 居心地が悪い。

 別に嫉妬に狂った男子から殴られたり、女子から変態と罵られたりとかはしてない。朝からいつも通りのぼっちライフだ。

 しかし視線が突き刺さるのと、時折「おい、あれ……」とか「ねえ、あの人……」などと言ったヒソヒソ話が聞こえてくるのが鬱陶しい。まあ、中学時代に比べればマシな噂かもしれないが。

「あ……」

 曲がり角で誰かとぶつかりそうになる。向こうは俺をじっと見ているが、俺は相手の事を知らないので、会釈してそのまま通り過ぎた。あとはこのまま噂が小さくなるのを待つだけ…………

『2年F組比企谷八幡。至急職員室へ』

 …………ダレカタスケテェ。

 

 




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