それでは今回もよろしくお願いします!
「ど~~~~~ん!!」
家に着くなり、自分の部屋に駆け上がった私はベッドに飛び込んだ。衝撃で少し痛いけど、衣装代の出費に比べればちっとも痛くない。あら、ちょっと上手い事言ってしまったわ。
「♪♪♪」
枕を抱き、ゴロゴロと転がる。
喜びが体から溢れ出ているせいだろうか、体が自然と動き出してしまう。胸の中がぽかぽかと温かい。
デ、デートはいつにしようかしら。あ、でも今週は生徒会が忙しかったから……。
「お、お姉ちゃん……」
「亜里沙~。ただいま~♪」
ドアの隙間からひょっこり顔を覗かせた亜里沙は、怪訝そうな目をこちらに向けている。やっぱり今日も可愛らしい小動物みたいだ。
「帰ってくるなりどうしたの?はしゃぎすぎだよ、お姉ちゃん」
「いつも通りよ~」
「な、何?比企谷さんと何かいいことがあったの?」
「ふふ…………へへ…………」
「お姉ちゃん、その残念な笑い方やめて」
「はい」
亜里沙は腰に手を当て、ジト目を向けてくる。私は機嫌を損ねないように、起き上がって亜里沙の目を見た。
「それで…………何があったの?」
「私……八幡君のガールフレンド(仮)になったの!!」
「…………ごめん。もう1回言ってくれる?」
「私……八幡君のガールフレンド(仮)になったの!!」
「本当にそのまま言わなくても……しかも(仮)って何?」
「日本にはそういう関係があるのよ、亜里沙にはまだ早いかもしれないわね」
「クラスの男子がやってたゲームのタイトルだったような…………」
「…………」
え?そうなの?ゲームのタイトル?
…………ま、私と八幡君からすれば大した問題ではないわね。
「大丈夫よ、亜里沙。わざわざ彼の好きなプリキュアのコスプレをして、彼の通う学校の校門前で…………キス…………したんだから」
「全然大丈夫じゃないからね!?」
よし!今から廃校阻止の為の案を用意して、その後でデートに着ていく服とデートコースを考えましょう。長い夜になりそうね。
「お姉ちゃん、聞いてる!?なんか色々と天元突破してるよ!」
「当たり前よ!私を誰だと思ってるの!?かしこい、可愛いエリーチカよ!」
「無駄に格好いいけど、墓穴しか掘ってないよ!」
「墓穴掘っても掘り抜けて…………」
「ストップ!ただでさえ感想欄でメタいって言われまくってるのに、それ以上はダメ!」
「そうね……とりあえず自重するわ」
「はあ…………比企谷さん、大丈夫かなぁ」
「…………」
居心地が悪い。
別に嫉妬に狂った男子から殴られたり、女子から変態と罵られたりとかはしてない。朝からいつも通りのぼっちライフだ。
しかし視線が突き刺さるのと、時折「おい、あれ……」とか「ねえ、あの人……」などと言ったヒソヒソ話が聞こえてくるのが鬱陶しい。まあ、中学時代に比べればマシな噂かもしれないが。
「あ……」
曲がり角で誰かとぶつかりそうになる。向こうは俺をじっと見ているが、俺は相手の事を知らないので、会釈してそのまま通り過ぎた。あとはこのまま噂が小さくなるのを待つだけ…………
『2年F組比企谷八幡。至急職員室へ』
…………ダレカタスケテェ。
読んでくれた方々、ありがとうございます!