捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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AFTER STORY

 

 ある休日の朝。

「八幡!もう朝よ、起きなさい!」

「…………」

「返事がなくても屍じゃないのはわかっているわ。起きなさい!」

「…………寝てる」

「起きてるじゃないの!今日は待ちに待った私とのデートでしょ?ほら、起きなさい!」

「zzz……」

「そんな表記じゃ騙されないわよ!」

「いや、あなた昨日も一日中遊園地ではしゃいでましたからね……」

「今日には今日の風が吹くのよ!」

「じゃあ、俺は寝るってことで……」

「起きるチカ。起きてさっさといちゃつくチカ」

「いや、昨晩も……」

「ふふっ、な~に?いくじなしの八幡君?」

「ぐっ…………もう寝る」

 昨晩のあれこれを思い出す。

 いや、頑張ったんだよ?でも……まあ、その……はい、絵里に恥をかかせてしまいました。割とガチでショックでした。絵里は笑って許してくれたけど、亜里沙に叱られました。てか、何で知ってんだよ。

 気がつけば、絵里は部屋からいなくなっていた。まあ、今日はゆっくり休めということだろう。

 なんて考えた途端にドアが勢いよく開いた。

「え、絵里さん?」

 そこにはいつぞやのキュアハートがいた。

「愛をなくした哀しい八幡!このキュアーチカがあなたのムラムラ、取り戻してみせる!」

「…………」

 なんか微妙に変えてるところがイラッとくるが、似合いすぎて何も言えない。サラサラと輝く金髪が眩しい。そして、本家よりもアレなスタイルがこちらの鼓動を、否が応にも加速させる。

「届け!マイスイートハート!」

 助走をつけた絵里がベッドに飛び込んでくる。

 何とかして受け止め、勢いに任せて抱きしめてみた。

「ふふっ、どう?可愛い?」

「……ああ」

 髪を撫で、背中をぽんぽんと叩き、その柔らかな温もりを味わう。絵里の家で暮らし始めてから半年が経つが、まったく飽きることも、満たされることもない。

 どちらからともなく唇を重ねる。

「…………」

「……っ……ん」

 完全に意識が覚醒し、身体の動きが明確になる。じゃあ、あとはこのまま……

「おっ二人さ~ん♪」

「「っ!?」」

 突然の呼び声に驚き、ビクンッと跳ね上がる。

「の、希!?」

「……ど、どうも」

「朝からお盛んやなぁ~。もしかしてウチとの約束忘れとった?」

「あ……」

「エリチ……」

 この人、俺をデートに誘ってましたよ?

 しかし、絵里は気を取り直し、シャキッと背筋を伸ばして、賢い可愛い表情を浮かべる。

「さ、出かけましょうか。希」

「絶対忘れとったな。しかもその格好で出るつもり?」

「あっ……」

 まあ、何というか……いつも通りだな。 





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