捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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BE LOVED ♯3

 あれから1年後……。

 

「引っ越し完了!八幡は荷物が少ないから、思ったより早く済んだわね」

「そりゃどうも」

 

 俺と絵里は無事に東京の大学に合格し、在学中は絢瀬家に住まわせてもらう事になった。もちろん、絵里の両親には挨拶を済ませてある。まあ、色々あった1年だったが、いつか話す時が来るかもしれない。

 まあ今のところ、絵里の両親は仕事でロシアを離れられないから、3人暮らしになるのだが、この二人相手ならそこまで気兼ねすることはない。

 

「さ、そろそろ小町ちゃんも買い出しから戻ってくるから、皆でどこか食事にでも行きましょうか」

「そうっすね。あー、疲れた」

 

 自分で肩を揉む俺を見ながら、絵里は小さく笑う。最近はポニーテールにはせず、金髪を下ろしているが、俺が褒めちぎったのを小町から聞いたのだろうか。

 

「ふふっ、運動も本格的にやってみたら?大学では何かサークル活動はする予定なの?」

「いや、そんな予定はない」

「言うと思った。あ、希からだわ。そろそろ来るって」

「そっか。じゃあ、先輩に挨拶するとしますかね。二人で」

「八幡。そこに直りなさい」

「すいません、冗談です」

「まったく……」

 

 ちなみに現役で受験したμ'sメンバーは全員無事に合格したようだ。パリへ留学した南さん以外の二人は、同じ大学になる。学部が違うけど、もしかしたら構内でばったり会うかもしれない。

 総武高校の生徒会メンバーも無事に進学した。

 なんとあの由比ヶ浜が、雪ノ下と同じ大学に合格した。学科は違うようだが、アホの子の影はもうどこにも……いや、その辺りはあまり……。

 ちなみに葉山と三浦も同じ大学で、こちらは雪ノ下と同じ学科になるらしい。こちらはこちらで、騒がしい毎日になりそうだ。

 材木座は……誠に遺憾ながら、同じ大学になってしまった。流れ星に三回以上祈っても、戸塚に変わる事はなかったので、これが現実なのだろう。

 

「にこが来れないのは残念ね」

「まあ仕方ないですよ。忙しい身だし」

 

 矢澤さんは大学に通いながら、プロのアイドルとして活動している。μ's時代の活躍もあり、A-RISEと同じくらいの知名度は獲得している。確か765プロとかいう事務所に所属していて、この前は同じ事務所のアイドルと料理番組に出ていた。

 

『うっうー♪』

『にっこにっこにー♪』

 

 ……どちらも割と癖になりそうだ。

 

「うっうー!ほら、どう?八幡」

「さてと、じゃあリビングで皆を待つとしますか」

「む、無視しないでよ!」

 

 そう言いながら、後ろから抱きついてくる絵里の手を握る。甘い香りにひんやりとした白い手。このまま眠ってしまいそうなくらいに安らいだ気持ちになる。

 

「八幡、どうかした?」

「絵里、その…………好きだ」

 

 少し間を空け、何度も重ねてきた言葉を告げる。

 そして、何度も重ねていこうと誓った。

 きっとその言葉は幸せをよんでくれるから。

 振り向くと、絵里はいつものように青い瞳を輝かせ、優しく微笑んだ。

 

「……私もよ。八幡」

 

 *******

 

 1時間後……。

 

「そういや比企谷君、この前、外国人の女の子にナンパされよったね。顔赤くしとったやん?」

「いや、その……それは……」

「チカァ!!」

 


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