捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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I LOVE YOUをさがしてる ♯3

「え、絵里……」

「…………」

 絵里がこちらにスタスタと早歩きで駆け寄ってくる。その一歩一歩が死へのカウントダウンのような気がして、背中を冷や汗が伝い、足は動かない。あれ?

俺、何かしたっけ?

 動けずに戸惑っていると、絵里が目の前で立ち止まる。

「お、おう……」

「…………バカっ!!」

 そう怒鳴るように言って、絵里は俺に背を向け……

「あうっ!」

 転んだ。

 

「な、なあ、さっきのは別に浮気じゃないんだよ」

「……ふんっ」

「絵里さーん、もしも~し」

「……つーん」

 どうしたものかと頭を抱える。

 小さなベンチに二人で並んで座っているものの、絵里はこっちを向いてくれない。絵里曰く、さっきの女子にデレデレしていたそうだ。

 何となくと絵里の方に目をやると、こっちをチラ見していたらしく、またさっと向こうを向いた。その動作はこちらの気配を窺う猫のようだ。

 多分、絵里も早く仲直りしたいのだと思う。

「なあ、絵里。その……謝るから許して欲しいんだが。その……せっかく二人でいるなら……笑顔が見たい」

 言葉を慎重に選びながら、不器用に紡いでいく。付き合う前後から謝ってばかりなので、だいぶ効力は薄れているかもしれないが。

「むぅ、仕方ないわね」

 今回はどうやら許してくれるらしい。

 彼女はそのまま距離を詰めてきて、肩に寄りかかってくる。金髪がさらさらと風に小さく揺れ、俺の首筋を優しく撫でていた。それを少しくすぐったく思いながら、手を重ねる。

「絵里」

「?」

「帰ったら……婚姻届にサインとハンコ押していいですか?」

「……もっとロマンチックな言い方はできないのかしら」

「わ、悪い……ただ、忘れてたなって思って」

「もう……でも、最高のプレゼントね。ありがとう」

「そりゃよかっ……っ」

 こちらが心の準備をする時間すら与えずに、強引かつ乱暴に唇を塞いでくる。

「……ん……ん……っ」

 そのまま口の中を舌が暴れ回り、次第に鼻や頬や首筋にも、貪るようなキスを重ねられる。

「……い、いきなりだな」

「おまじないよ」

 絵里はトロンとした瞳で、俺を撫でるように見た。

「誰にも鼻の下を伸ばしたり、顔真っ赤にしたりしないようにする為の、ね」

「そうですか……」

 どちらからともなく顔を離し、荒い息を整える。

 勢いで言ったが、人目がなかったのが幸いだ……人目?そういえば……

 今、ふと湧いた疑問を口にする事にした。

「ふう、八幡成分補充完了!」

「そういや、絵里……」

「どうかした?ま、まだ陽があるから、ここから先は……」

「もしかして、迷子になってた?」

「…………」




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