スーパーメタルクウラ伝【本編完結】   作:走れ軟骨

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激突、クウラ軍団

あの世で北の界王が顔面を真っ青にして何やら震えていた。

長年の友人でもあり弟子でもある孫悟空は、界王の様子に気づいて、

 

「どうしたんだ界王様? 顔がいつもよりもうんと青いぞ」

 

軽い調子で冗談めかして言う。

しかし界王は、

 

「うるさ~~~い! わしゃ元々こんな色じゃ!

 ぬぬぬぬ…! ま、まさか奴が復活してしまうとは……お前が悪いんじゃぞ悟空ぅ!

 お前がセルの自爆にわしを巻き込んで殺してしまうから、

 星喰のクウラの封印が解けてしまったのじゃ!」

 

地上の様子を見ながら、怯えたようにワナワナと震え、

界王の言葉に悟空も呑気な表情を改めた。

 

「そのクウラって奴…何者なんだ」

 

「………かつて銀河中の星々を荒らし回っていた冷酷非情の男じゃ。

 そして……お前が倒した宇宙の帝王・フリーザの実の兄…!」

 

「な、なんだって!? フリーザの!?」

 

「クウラは余りにも強く凶暴で、宇宙の誰も奴に手出しは出来なかった。

 このままでは銀河中の星が滅ぼされる………

 そこでワシら界王が協力し、何とか奴を銀河の果ての星に封印したのじゃ……。

 そのクウラが地球に来たらしい……しかも悟空よ。

 何とブロリーもいるぞ!」

 

「ブ、ブロリー!? ブロリーって、サイヤ人の、あのブロリーか!?

 何であいつが地球にいんだァ!?」

 

「そんなの知らんわい。 とにかく一大事じゃぞコレは~~!

 悟空、占いババの一限定復活は今日にして貰ったらどうじゃ!」

 

慌てふためく界王の後ろで、ウホウホと首を縦に振るゴリラ顔の猿、バブルスくん。

ゴリラの横にはバッタをコミカルにしたようなグレゴリーくんもいて、一緒に頷いていた。

悟空は冷や汗を一筋、頬に垂れさせるが

 

「………………いや、やめとく。

 地球はもう悟飯達に任せることにしたんだ。

 オラがいねぇと守れねぇんじゃ意味がないからな…………オラの出る幕じゃねぇ」

 

渋い顔をしながら、それでも彼は介入を固辞したのだった。

息子への信頼の現れなのかもしれない。

だが、そう言った悟空自身、

どこか祈るような……賭けに出たような……そんな心境ではあった。

 

(地球を……チチと悟天を頼むぞ、悟飯…!)

 

孫悟空は厳しい表情であの世の空を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーン、ドーン、という

超重量物同士がぶつかり合うような音が1秒に間に何回も聞こえてくる。

音の発生と同時に空気が激しく振動し、その度に空が震え大地が少しずつ削れていくのだ。

悟飯級の強さでなければ目で追うことも出来ない激闘が展開されていた。

 

「猿如きがぁぁ!」

 

「く……虫けらめ……!」

 

クウラとブロリーのラッシュの応酬は激しさを増す一方である。

双方の体には、お互いがつけた痛々しい傷が無数に刻まれているが、

クウラのそれは全て浅いもので、一方のブロリーが負った傷は浅くない。

そして、

 

「…っ! ぐ、う…!」

 

ブロリーの首筋に叩き込まれた尻尾の一撃が、彼の表情を苦悶に変える。

 

「ククク……超サイヤ人と言えども、今の俺の敵ではない!

 貴様の後は、ガキどもを殺し……孫悟空をも超えてやる!!」

 

「…!」

 

クウラのその言葉に反応したのかブロリーの瞳が見開かれ、

 

「……カカロット…! カカロットぉぉ………カカロットォォォォ…!!

 うおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!」

 

「な、なんだ!!」

 

突如、莫大な気がブロリーに収束し、異質なパワーが周囲の空間をも異色に染めてしまう。

肉体が膨張し、筋肉が肥大し、

異常な気が目の前のサイヤ人の内側から溢れ出るのがクウラの眼には見えた。

 

「ス、(スーパー)サイヤ人が、更なる変身を!?

 データにある超サイヤ人2とは異なる変化だ…!

 せ、戦闘力が……1200億、1300億、1500、1700、1900……!

 まだ上がるというのか………!!!」

 

自身の戦闘力2000億を超えて尚も止まりそうもないその上昇。

先程までは圧倒的優位だった戦力差が、覆されつつある。

クウラの紅い瞳が純粋な驚嘆に大きく開かれて、サイヤ人の変化に見入ってしまう。

 

「グゥゥゥゥゥゥゥッッ!!! 虫けらめ…、今…血祭りに上げてやる!!!!」

 

「戦闘力……3000億!!! まだ上がって――ごはッッ!!!?」

 

超高速で迫った伝説の超サイヤ人の豪腕が、深々とクウラの腹を抉りこむ。

彼らの戦いの第2ステージが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、悟飯とザンギャの戦いは一方的なものであった。

唯でさえ、ザンギャ1100億vs悟飯700億という戦力差があり、

しかも孫悟飯の性質は戦いに向いていない優しいものなのだ。

相手が女性というのも手伝って、悟飯はかつてセルを葬った時のような力を出せないでいる。

今の悟飯は超サイヤ人2にすらなれず、それに加え無意識のリミッターが掛かっているのだ。

それでも700億という戦闘力を維持しているのは、さすが孫悟空の息子であるが……

 

「うわっ! ぐ、う…!」

 

ザンギャの素早い膝蹴りがモロに悟飯の背に命中する。

先の超化第一段階のブロリー戦のダメージも残っている割には健闘しているが、

それでもジリジリと追い詰められているのには変わりない。

ザンギャから繰り出される雨霰の拳の弾幕が、

 

「く…! う…、しまっ――ぐわぁっ!!」

 

とうとう悟飯を捉え、ガードがガラ空きとなった鳩尾に数発のパンチが叩き込まれる。

 

「なんだ、女だからって手加減してくれてるの?

 ありがたい話だね……だったらそのまま直ぐに死んでくれると楽なんだが」

 

妖艶さすら感じさせる挑発の笑み。

ザンギャがガシッ、と悟飯の顔を掴むとそのまま掌に気をチャージし、

 

「うわああああああっ!!!」

 

けたたましい爆発を悟飯の顔面で起こしてやる。

 

(だ、だめだ……意識が……お父、さん……)

 

グラリ、と悟飯の膝から力が抜けかける。

彼の瞳からも力が抜け始め、焦点があやふやとなってきた。

終始優勢のザンギャだが、ここに来て大分余裕綽々となって、

 

「……クウラ様を待たせる訳にはいかない。 さっさと決めさせてもらおう」

 

自分の技に巻き込まれぬように大きく間合いを取り直すと、

膝下まで届く長いくるくる髪をフワリと掻き上げ、そのまま両手を頭上に掲げ気を溜める。

 

「死ねっ!!」

 

赤い光の矢が悟飯目掛けて無数に殺到していくが、

悟飯にそれを避ける気力はもう無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして………悟飯が劣勢であるのにトランクス達が優勢なわけもない。

3人も散々な戦いを強いられていた。

最初こそ、

 

「き、金髪の髪に変わったぜ、このガキ共!

 戦闘力……400億ぅ!? あ、ありえねぇ……50倍だと!?」

 

スカウターの故障だなんだと認めない、ということもなくネイズは戦慄した。

一瞬で子供2人が自分達以上の戦闘力になれば誰でもそうなるだろう。

 

「だが俺達は3人、貴様らはお荷物を抱えながら2人。

 くくくくっ、俺達有利……ってわけだなぁ!!」

 

ドーレがジグザグに動きながらトランクスへの間合いを詰め、

彼が動き出すと同時にネイズもまた駆け出す。

 

「だりゃ!!」

 

「速いけど…トロいぜおっさん! へへーん、俺のほうがはっやいみたいだなぁ!」

 

トランクスは余裕でドーレの鉄拳を避けるものの、

 

「あっ! 下だよトランクスくん!」

 

「えっ?」

 

ガッシリと足をネイズに掴まれてしまう。

ネイズがぎょろりとした大きな眼球を歪ませ笑い、

 

「へへへ…ガキィ、動きが単調だぜ! ネイズ様の電撃を喰らいやがれぇぇぇぇぇ!!!」

 

「うわあああああああああああ!!!」

 

彼の種族が得意とする超電撃を容赦なく浴びせたのだった。

悟天は親友の苦しむ様に怒りながら更に戦闘力を高め、

 

「やめろぉーーーー!!!」

 

一瞬でネイズに肉薄するものの、

その瞬間に斜め上方から奇襲的に突っ込んできたサウザーによって撃墜され落下。

それをすかさずドーレが追って、

その勢いのままにキックの態勢で悟天の腹に突っ込むのであった。

 

「うあああぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

電撃で焼かれるトランクスの悲鳴に混じって悟天の叫びが空に吸い込まれ行く。

 

「分かりやすい奴らだぜ。 戦闘力が幾らあろうとガキはガキか」

 

戦闘力で下回るサウザーが逆に余裕の笑顔を見せる有様であった。

幾ら才能と身体能力で勝っていようとも、相手は百戦錬磨の軍人といえる機甲戦隊である。

まだ幼く、温かな家庭で育った悟天とトランクスとは経験値が全く違った。

 

「ア、アンタ達…! 子供相手になんてことすんのよ、このォーーー!!」

 

遥か異次元の超速の戦いに置いて行かれたビーデルだが、

それでも年上のお姉ちゃんとして可愛い弟分を酷い目に遭わされて黙っていられない。

世界チャンプ・サタンの一人娘としての矜持と正義感も、彼女から逃走の選択を消してしまう。

だが当然、

 

「……愚かな女だ」

 

ビーデルのパンチはあっさりとサウザーに躱され、

 

「あぐっ!!」

 

逆にビーデルの細い首をガッシリと掴まれて、じりじりと締め上げるのであった。

 

「フフッ、あと少し俺が力を込めれば千切れ飛ぶぞ。 それまで意識が持つかな?」

 

「あ、あ…あ、ぐ…かはっ、が、あ…が…ご、はん、くん…」

 

息ができぬ以上に、肉が引き裂かれそうな痛みと骨が軋む苦しみが襲ってくる。

余りの苦痛に、あくまで一般人のビーデルは一瞬で意識が消えかかっていたが、

それでも必死に秘かに想う青年の名を呼ぶ。

もうビーデルにはそれしか出来なかった。

トランクスは電撃に焼かれ、

悟天はドーレから執拗にスタンピングを受けて地に埋没しつつある。

 

クウラとブロリーは互い以外、眼中になく、

悟飯、トランクス、悟天、ビーデル達にはもう味方はいない。

もはや絶体絶命であり、クウラ機甲戦隊にとっては揺るぎなき勝利……そう思われた、

その時。

 

 

「汚い手を離しやがれぇーーーー!!!」

 

トランクスにしこたま電撃を浴びせていたネイズが突如ぶっ飛び、

同じタイミングでサウザー、ドーレもまた遥か彼方の岩山に叩きつけられていた。

 

後5秒も電撃を受けていれば死んだであろうトランクスが、

体中から黒い煙を上げながら力なく地面に落下……、

する前に彼を優しく抱きとめる者。

 

「おとう、さん……」

 

嗅ぎ慣れた匂い。

優しい温もり。

いつも見ていた仏頂面。

安心しきったトランクスは、彼を見ると笑顔になってそのまま意識を失った。

 

既の所で助けられた悟天とビーデルも意識を失っていて、

悟天を禿げ頭…ではない黒髪豊かな男が優しく抱きかかえるとそのまま岩陰に寝かせてやり、

ビーデルを抱えた金髪の女も禿げ頭に倣ってやはり岩陰に彼女を寝かせてやる。

 

「悟天…悟天…大丈夫か? しっかりしろ、仙豆だ……食えるか?」

 

「あ…クリ、リン…さん………18号さんも…、

 ビーデルおねえちゃん……よかった…ぶじ、だったんだ……ごふっ。

 お、おにい、ちゃん、が…あぶない……」

 

「悟飯は大丈夫だ。 ベジータの次に強い奴が助っ人に来てくれたからな。

 安心して仙豆食えって。 まだ仙豆はあるから心配すんな」

 

そう言ってやるとようやく悟天は豆粒を口に受け入れた。

それを確認すると、

 

「ベジータ! トランクスにも!」

 

クリリンは空に向かって仙豆を投げてやり、トランクスを抱える男・ベジータは無言でキャッチ。

やや乱暴にトランクスの口に豆を捩じ込む。

 

カリッ、カリ…、

 

息子の口が動いたのを見てベジータはようやく人心地ついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟飯目指して殺到する赤い光線。

 

(だめだ…避けられない……)

 

悟飯が覚悟を決めた時、

 

「爆力魔波っ!!」

 

横合いから大きな気の奔流が割って入りザンギャの赤い気弾を飲み込んで大爆発を起こした。

 

「なにっ!?」

 

「う、うわああああ!!」

 

間合いを遠くに開いていたザンギャはともかく、

至近距離で大爆発を受けた悟飯をそのまま後方に飛ばされて、

ガッシリと厚い胸板に受け止められた。

悟飯はこの人を間違いなく知っている。

そう確信しながら、

 

「はは…ひ、酷いですよピッコロさん……あんな距離で爆力魔波は…」

 

文句を言いつつも心底安堵して笑うのだった。

 

「…ぶつくさ言うな。 あの場合仕方ないだろう」

 

「おいおいピッコロ……無茶するなよ。 悟飯、大丈夫か?」

 

「危なかったな、悟飯。

 巨大な気が2つ膨れ上がった時点で、俺達全員駆け出していたみたいでな。

 皆、合流したのはついさっきだ」

 

声の方を向けば、右にヤムチャ。 左には天津飯。

悟飯の笑顔がより輝いたものになって、

 

「ヤムチャさん、天津飯さん! 皆来てくれたんですね!」

 

「クリリンも18号も、ベジータもいるぞ。 ほら」

 

ヤムチャが指差すとビーデル達を救出してくれたらしい彼らがいた。

仙豆によって傷も治り体力も戻ったビーデル達も

ベジータらと一緒に御飯の元へ駆け寄ってきたのだった。

 

「ベジータさんも来てくれたなんて……これで百人力ですよ!

 あ、ビ、ビーデルさん! 大丈夫でしたか!?」

 

ピッコロからいつの間にか貰った仙豆をカリポリカリポリ食いながら、

悟飯は慌ててビーデルの肩を掴むと彼女の体中を骨を確かめるように触りだしたものだから、

 

「いっ、ちょ、ちょっと…皆いるとこで…! ってそうじゃなくて!!

 いきなり何すんのよ!」

 

顔を真っ赤にしながらビーデルの高速パンチが悟飯の顔面にヒットする。

勿論、ダメージなんてないのだがビーデルのパンチは悟飯には精神的ダメージは与えられる。

 

「あ…ご、ごめんなさい! つ、つい心配で!!」

 

何だからイチャイチャしだしそうになった時、

 

「………気を抜くのは速いぞ悟飯、何をしている!!

 何故ブロリーが地球にいるんだ…!

 ブロリーと戦っているあのフリーザみたいな野郎はなんだ!

 説明しやがれ!」

 

ベジータが、数十m先に立つザンギャを睨みながら気を高める。

ベジータにとっては、空で戦っているあの2人は最悪の相性だろう。

純サイヤ人であるベジータは伝説の超サイヤ人の危険さを本能で感じ取ってしまうし、

彼と戦っているクウラはベジータの心を徹底的に折ったフリーザの実兄。

どう言ったものか迷っているうちに、

 

「おい、どうやらのんびり説明している余裕も無さそうだぜ」

 

天津飯が顎でザンギャを指し示すと、

 

「ぞろぞろと良くもまぁ揃ったもんだ。

 バリエーション豊かじゃないか……サイヤ人に地球人に、ナメック星人」

 

三つ目のアイツと鼻の無いアイツは地球人なのか?

一瞬どうでも良いことで迷ったザンギャの横に、空からゆっくりと降りてくる3人の影。

 

「良くもやってくれたな……。

 たかだか戦闘力10億風情の女に、ここまでダメージを負わされるとは思わなかったぜ」

 

「チビ野郎………てめぇは俺が絞め殺してやる!」

 

「ごふっ、ごふっ、……はぁ、はぁ、はぁ……て、てめぇベジータ……。

 危なく一発で死ぬとこだったぜ………許さねぇ! 嬲り殺しにしてやるぜ…!」

 

クウラ機甲戦隊もまた全員が集結。

空で衝撃波を放ち続けているクウラとブロリーを尻目に、

機甲戦隊とZ戦士達の戦いが始まろうとした……その時である。

 

「……カカロット…! カカロットぉぉ………カカロットォォォォ…!!

 うおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!!」

 

天空から狂獣の咆哮が響き渡り、そして世界の全てが一瞬その色を失う。

そして次にブロリーの翡翠のような美しい気が世界の全てを一瞬にして塗り潰し、

その超常現象が明滅するかのように繰り返されて、

 

「っ!!? こ、これは……で、伝説の超サイヤ人……か! ……ク、クソッタレぇ……!」

 

忘れたくても忘れられない力の波動を感じたベジータは、憎まれ口を叩いて己を奮い立たせる。

そうでもしなければ純サイヤ人の本能が、トランクスの前でも醜態を晒させようとするのだ。

ブロリーの引き起こした現象と、増大していく気に

悟飯達は勿論……初めて見るビーデルや悟天、トランクスも…

そしてザンギャ達までも唖然として目を奪われていた。

 

「グゥゥゥゥゥゥゥッッ!!! 虫けらめ…、今…血祭りに上げてやる!!!!」

 

「戦闘力……3000億!!! まだ上がって――ごはッッ!!!?」

 

ブロリーが更なる変身を遂げ伝説の超サイヤ人となり、

クウラの土手っ腹に重たい一撃を見舞ったのは丁度そのタイミングであった。

 

そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フ、フフフ……ハッハッハッハッ…! 超サイヤ人……!!!」

 

口から血を流したクウラは、

腹を殴られ体をくの字に折ったままの姿で気を爆発させるとブロリーの目を眩ます。

間髪を容れず即座に一気に後方へ跳躍。 

空気がピンッ、と張り詰め、やがてビリビリと震えだし……

 

「このままでは勝てんな……。

 良いだろう……今度は俺の変身を見せてやる!

 光栄に思うが良い!! この俺の変身を見た時……それが貴様らの最後だァァァァ!!」

 

際限なく高まり続けるのでは、と思えるブロリーにすら劣らぬ気。

クウラの重々しい声は大気を振動させ、肥大する気に地球が怯えているかのように揺れる。

肉体が急激に進化し筋肉が膨張……白い外殻が異常発達し、瞳の全てが真紅に染まっていく。

 

「……!」

 

己に負けず劣らずの変身っぷりにブロリーが無言の驚きを示し、

そして地上のZ戦士達は……

 

「あ、あぁ……! あ、あ…あ…!」

 

「フ、フリーザの兄貴って野郎は……フリーザ以上の……化け物だぁ…!!!」

 

言葉を失ってただただ畏怖してしまう。

特にベジータである。

ベジータはショックだった……ブロリーとクウラの余りの力に対してでもあったが、

それ以上に自分の不甲斐なさにショックを受け…そして腹が立った。

 

(お、俺は…この7年でカカロットよりも強くなった筈だった!

 悟飯の野郎が腑抜けた今、俺こそが最強だと………、だが!!

 俺がようやく辿り着いた高みを、あの化け物どもは…あっさりと!! ち、畜生ォォ…!!)

 

やや小柄だったクウラの体は今ではブロリーとほぼ同等にまで成長し、

それを見つめるブロリーの表情からは油断と慢心が消え去っていて笑みは一切ない。

 

「さぁ……始めようか!!」

 

機械的な音と共にクウラの口をプロテクターが覆い隠し…

クウラ最終形態が完成した瞬間を合図としてブロリーとクウラは同時に駆け出していた。

 


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