殺人犯は救世主   作:薬売り

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第八話 『殺人犯と同じだろう』

「ハァ……ハァ……」

「あんた、すごい芸を持ってるのね。マジシャンかなんか?」

「ハァ…ウッ!!……ウゥ…」

 

 私は今、負けそうです。目の前にいる巫女が恐ろしく強い。

 申し遅れました。私はこの紅魔館のメイド長を勤めております。『十六夜咲夜』という者です。能力は『時を操る程度の能力』です。以後、お見知りおきを。

 さて、こんな冷静に自己紹介する暇は本当はなく、勝つ方法を脳が焼けるぐらい考えなければならない。

 尤も、本当に焼けてしまっては勝つもなにもないですが……

 

「そろそろ魔理沙や玄龍も来るかしらねぇ。」

「クッ!!」

 

 私は背中に隠し持っていた懐中時計で時を止め、その場からできるだけ離れ、身を隠す。

 そして時は動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ。」

「ん?」

 

 パチュリーとの対戦で清々しい顔をしている魔理沙と、逆に何故か不思議そうにそして何か嫌そうに顔をしかめっ面にする玄龍が、長い廊下を歩いていた。

 

「さっきからどうした?眉間にシワなんか寄せやがって。」

「と言うことは、俺だけか。」

「え?」

「いや、こっちの話だ。気にするな。」

 

 気にするな、という要望は聞くはずもなく質問を続ける。

 

「いや、無理無理。気にするなって言われて気にしないのは無理だぜ?」

「まぁ、確かにそうだが気にするな。」

「えぇ……」

 

 強引だな。そろそろだろうか。霊夢の霊圧を感じてきた。

 私が、霊夢は誰と戦っているのかを気になり始めたら、次は玄龍が質問をしてきた。

 

「なぁ、魔理沙。」

「なんだ?恋人になりたいとかは勘弁だぜ?」

「いや、別に興味ないけど。」

「殴るぜ?」

「……すまん。それで…聞きたいんだが、時が止まったらなにがしたい?」

「……はぁ?」

 

 アホな質問をしてきた。とは言え、質問されたからには答えよう。

 

「イタズラをしまくるぜ。」

「なるほど……」

「お前は?人でも殺す?」

 

 冗談に言った言葉。苦笑いするコイツの顔が思い浮かんだが、相反して奇妙な笑みを魅せた。

 

「よく分かったな?」

「え……」

 

 次の瞬間。玄龍はその場に居なかった。何事もなかったかのように、そこに誰も居なかったかのように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ……痛いわねぇ……ナイフか…」

 

 まだ……死なないのか。

 ナイフを投げても投げても彼女には、かする程度だ。時が動き出した瞬間に、彼女は攻撃を避ける。

何者なのだろう。こんな苦戦をしているのは初めてと言って良いだろう。

 だが、もう終わらせましょう…

 

「もう、終わらせます。」

「……」

 

 懐中時計を取り出し、時を止める。

 モノクロの世界。そこに動くメイドは巫女に向かい無数のナイフを投げる。

 これで死ぬだろう。この数は、避けようがない。

 

 そして……

 

「そして時は動きだ……」

「オッラァッ!!」

「なッ!?ぐふッ!!」

 

 唐突な蹴り。予想もできるわけもない。何故なら、時は止まっているのだから。私以外、動けるはずもないのに。この男は動いている。

 蹴りにより、私は壁にぶち当たる。

 

「う、動けェェェェェェッ!!」

 

 訳がわからないが、時を動かせば彼女は死ぬはず。取り合えず時を動かせばならない。

 それなのに……

 

「う、動きなさいよ!!動けって!!」

「今、時は俺の支配下だ。」

「ッ!?」

 

 男は霊夢を移動させ、呟いた。

 

「能力を『解く』」

 

 その瞬間。時が動いた。世界に色が付き、スピードを持ち始める世界に私は驚いた。

 

「え?なんでアンタ倒れて……あ、玄龍じゃん。」

「よっ!!さっきぶり。」

 

 玄龍と呼ばれた男。さっきまで霊夢が立っていた場所を指差し、沢山のナイフが刺さっている壁を見た霊夢の驚いた反応を見て笑っている。

 何者なのだ。この人達は…恐怖を感じさせる。

 

「さぁて、メイドさん。Shall we dance?(踊りませんか?)時間を『解く』。」

「なに……それ……」

「貴方がしていたことですよ。」

 

 また、世界は色みをなくし、速さを失う。この男は何者なのだろう。

 

「ウラァ!!」

「ハッ!!」

 

 パンチを繰り出してきた男にガードで受け入れる。今の攻撃の仕方で分かった、彼は戦闘能力自体は低いと。

 

「私のナイフで、死を体験しなさい。」

「気分が向いたら今度体験してやるよ。」

 

 ナイフの避け方も、まるで一般人。辛うじて刺さっていない感じだ。運のいいやつ。

 大口叩いて結局はこれ。多分、たまたま幻想入りしてきた、異変への野次馬か、俺なら解決できると勘違いした奴か。確かに、能力はきっとスゴいものなのでしょう。ただ、技術が無さすぎる。

 技術がなければ、勝算は無いに等しいはずでしょう。

 

 そして……

 

「う、うわぁぁぁぁぁッ!?」

「五月蝿いわね……」

 

 右手が刺さった。たったそれだけ。たったそれだけで大声を叫ぶ。滑稽とでも言っておこう。

 しかし、なにか引っ掛かる。

 

「どうしてくれんだ……」

「…え?」

 

 そして気付く。出血がない。

 

「能力を『解く』ッ!!」

「えッ!?」

 

 驚くべきことが起きた。高速に移動する玄龍がそこにいた。追い付けないほどに速い。ラッシュを繰り広げてきた。

 

「ウラァァァァアアアッ!!」

「ウグゥ!?」

 

 人間が出せる速さじゃあない。徐々に速さがなくなってゆき、一言だけ…私に言い放った。

 

「義手を直すのに時間かかんだぞッ!?」

「……」

「……」

 

えぇぇぇぇ……?

 

 この人、頭がおかしい。視界が薄れる中、私は思った。

 

「マジ許さん。」

「あ、あの玄龍?あのスピードは……」

「ん?ああ、俺の能力に関係するんだよ。説明するとな………」

 

~少年説明中~

 

「つまり、時間を『解いていた』間の反動が来たわけね。」

「あぁ。驚いてたから分からんかったかも知れないが、お前自身も速くなっていたはずだぜ。」

「はぁ…」

 

 理解したような…してないような。ま、なんか勝ったからいいや。

 すると、魔理沙が奥からやって来た。

 

「な、なあなあ!!今、高速で移動が出来たんだけど、あれは何だったんだ!?」

「さあ?魔理沙が成長しすぎた結果じゃない?」

「そ、そうなのか?なんか違うような……あ、て言うか、勝手に居なくなるなよな。」

「すまない。」

「仲が良いのね。」

「弟子だからな。」

「…ん?」

 

 などと、緊張のない話をしながら、主である、あの吸血鬼の部屋へと歩むのであった。




薬売り「『世かi(ザ・ワールd)……

玄龍「やめろッ!!」

薬売り「痛てッ!!」

玄龍「それをやるなら、タグに元ネタを書いてからだ」

薬売り「はいはい。それじゃあ、今回のゲストは『十六夜咲夜』さんでーす!!」

咲夜「皆様、ごきげんよう。十六夜咲夜です」

玄龍「相変わらず堅いな。俺嫌いだぜ?そう言うの」

咲夜「あら、奇遇ですね。私もあなたが嫌いです」

玄龍「やったぁ」

薬売り「頭がおかしいだろ。お前ら。さて、今回は玄龍君が時を止めた訳なんですが」

玄龍「最早チーターだな、俺」

薬売り「そう言うの大好きさ。ただ、『解く』ことしかできない。創ることは出来ないのさ」

玄龍「せやな、そう考えたら貴様の他作品の主人公の方がチーターだな」

咲夜「何の話よ」

薬売り「おっとっと、ゲストを置いてきぼりにするところだった。咲夜さんは今回どうだった?」

咲夜「義手ごときで怒るんじゃあないわよ」

玄龍「直したばっかなのに壊したからだろうが!!」

咲夜「知らないわよそんなの」

玄龍「ナニィィ!?」

薬売り「ハァ……もういいよ、終わろう。はい、と言うわけで今回は終わりたいと思います」

玄龍「次回も見なくていいよ」

咲夜「誰も見てないわよきっと」

薬売り「そんなこと……」

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