殺人犯は救世主   作:薬売り

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第七話 『殺人犯と魔法使い』

 努力と言うのは哀しいモノだ。

 『塵も積もれば山となる』との言葉。塵という努力を積んで、山という結果が出る。だが才能のあるやつらはいきなり山を出してくる。そんなやつ極僅かの存在だが、いや、だからこそ憧れた。

 

私も才能が欲しい

 

 勿論、無理だ。だから、気付かれないように努力した。

 人の前で『努力した結果』を出せば努力家と言われるが、いきなり『結果』を出せば才能持つ者とされるはず。そう思い、努力した。でもダメだった。あいつらに届かない。

 才能を持つ者を追い掛けようと手を伸べるが、あいつらは結果に辿り着くスピードが違う。

 どうせ私は、所詮……

努力家だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光るレーザーが顔の横を過ぎる。危なかった。もう少しで被弾するところだった。

 

「すばしっこいわね…!」

「だろう?人間も捨てたもんじゃあないぜ?」

「どうかしらッ!!」

 

 紅魔館の図書館。私はそこに住む魔女『パチュリー・ノーレッジ』と戦っている。本物の魔法使い。私のような中途半端じゃない。

 勝たなければ。そしたら、私は才能のある者だ。

 

「もうそろそろ危ないんじゃあないか?敗けを認めりゃなにもしないぜ。」

「余計なお世話よ!!」

 

 咳き込むパチュリーに追い討ちをかけるように弾幕を撃つ。案の定、パチュリーは被弾して、なかなかのピンチだろう。勝ったも当然、なんて余所見をしていたらフラグ立てて負けになるだろうから、そんなことはしない。

 

「おーい、弾幕が弱まってきてるぞ?」

「そんなことないわッ!!」

 

 いや、明らかに弾幕が弱くなっている。効いてる、私の力が!!これで決めるか……

 私はミニ八卦炉を出し、アレをする。

 

「恋符『マスタースパーク』ッ!!」

「え、ちょ…」

 

 魔理沙の放った大きなレーザーがパチュリーを覆う。ふぅ…と一息つき、まだ戦闘可能な状態かを確認するべく、登りゆく煙が薄まるのを待つ。

 人影。どうやら、まだ戦えるような状態だ。

 

「おっと!!」

「クッ!!」

 

 いきなり出てきた弾幕を避け定位置に戻る。

 

「卑怯じゃあないか。いきなり弾幕を撃つなんて。」

「貴方のスペルカードの方が卑怯よ!!ッゴホ!!ゴホ!!」

「よせよ、照れるぜ。」

「……いいわ、人間相手だから手加減をしてたけど本気を出すわ。この際喘息とか気にしないわ!!」

 

 喘息なのか。にしても、脅しだろうか?本気だろうか?本気、かなぁ?ま、このままいけば勝てそうだし、大丈夫だ。っと、余所見は禁止だな。

 

「火水木金土符『賢者の石』!!やった最後まで言えた!!」

 

 いや、最後まで言えるだろう。って言うかすごい名前だな。長い長い。感覚的にExtraっぽい名前だな。

 喜ぶパチュリーは、ハッ!!っと我にかえる。

「食らいなさい!!」

「やなこった………えぇ…」

 

 思わずドン引き、あり得ない弾幕の数。更に、種類の異なった弾幕が流れてくる。上手く避けれず、被弾しそうになる。

 久しぶりに辛いのが来た。

 

「うッ!!あっぶねぇ!!」

「ク~~当たりなさい!!」

 

 まるで競馬で「前の馬を抜けッ!!」と、叫んでるオッサンみたく見てるだけのパチュリー。

 今のところ避けているが、微かに触れているとかバランスを崩しそうだとかの連続。

 

「うくッ…ボムが少ねぇ……」 ※『ボム』とはスペルカードのこと

「当たれ~……」

 

 そしてついに……

 

「うわぁッ!?」

 

 バランスを崩したッ!!そして、運悪くそこに弾幕が攻め混んでくるッ!!パチュリーは勝ったも同然と既に喜んでいる。魔理沙は、思わず目をつぶる。

 終わった……絶望感が襲う。結局、努力家止まりか……

 

「あぶねぇあぶねぇ」

 

 急な浮遊感。そして、どっかで聞いた声。

 目を開けると、口を大きく開けて驚いているパチュリーと……奇妙に笑い、私と私の箒を抱っこしている玄龍が居た。

 

「いやいや、すごい弾幕だな!!」

「あ、貴方なにしてんのよ!?」

「人助け」

「ハァ!?」

 

 明らかに怒っている。折角並べていたドミノを倒されたかのように、やっと倒しそうになった魔理沙を助けやがったのだから、当たり前と言えば当たり前。

 

「にしても、ここの図書館広いねぇ。俺の好きな本とかありそうだな。」

「え、そうかしら?まぁ、伊達に私が管理してる図書館じゃないからね。じゃなかった……折角倒せそうだったのに!!」

「日本書紀とかある?」

「レプリカならって、おい!?」

 

 なにやってんのコイツら。

 

「いや、すまんね。なんとなく助けちゃった。」

「許さない。」

「なぁ、魔理沙」

「どうした人助け」

 

 パチュリーを無視して私に話しかける。

 

「今度さ、スペルカードルールっての?やり方教えてくれない?」

「え?このタイミング?」

「いやさ、お前の弾幕の避け方とかさ、才能の固まりに見えるしさ。」

「……なに言って…」

「だから師匠になってくれないかなぁっとか思ったりして。」

 

 才能ね………負けかけた私を見たはずだろう?そんなもんない。お前が居たから被弾しないで済んだが、結果的には負け同然。

 

「イヤだね」

「そっか、じゃあ明日から宜しく。」

「おい!?」

「まさか、今ので負け同然だから師匠になんてなれっこないと思ってる?」

 

 ………こいつは一体何だ?私の心の隅から隅まで見透されている感じは、なんなんだ。

 

「……その通りだろ。」

「だが、当たってない。」

「結果論だ。」

「良いじゃあないか結果論。ほら、まだ弾幕は終わってない。空気読んでじっとしているアイツの身にもなってみろ。」

「そういうこと言うなよッ!?」

 

 ……なんだかバカバカしくなってきた。だが、悪くない。良いぜ。

 

「やってやるさ!!Come on(来いよ)…パチュリー・ノーレッジさんよ。」

「あの男嫌いだわぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果から言おう。勝ったぜ。パチュリーの喘息が再発してね。なんか、勝った気がしないぜ……

 

「今年で一番最悪な日よ……」

「やったぜ。」

「お前普通に嫌な奴だよな。」

「フッ、よせよ…」

 

 とは言え、勝ったことは勝った。才能がある証明にはならなかったが……ま、良いだろう。

 

「さ、霊夢のところに行こうぜ。」

「わかった。えっと、パチュリー。」

「なによ。」

「また来るからな。」

「来るな!!ゴホッゴホッ!!」

 

 なんとも変わり者の男。だが、悪いやつじゃなさそうで何よりだ。




薬売り「魔理ちゃんに、こんな悩みがあったなんて!!気付いてあげれなくてゴメンね!!」

魔理沙「お前は私の何だ」

玄龍「勝手にやらせとけ。じゃあ始まったぜ」

薬売り「今回のゲストは『霧雨魔理沙』さんです!!」

魔理沙「よッ!!私だぜ!!」

薬売り「さぁ、玄龍に抱っこされた感想はッ!?」

魔理沙「うぇ!?い、いきなり聞かれてもなぁ……うーん…何も感じなかったぜ」

薬売り「え~…つまんね」

魔理沙「なッ!?…んだとォッ!?」

玄龍「うるさい」

薬売り「全くだぜ」

玄龍「いや、お前もだよ」

薬売り「さて、今回は魔理沙の心を少しだけ開いた回になりますね。恋愛に発展させるかどうかは未定」

玄龍「そう言うこと本人達の前で言うか?普通」

薬売り「大丈夫大丈夫、君は俺が作ったキャラクターだから、実際には存在しないから」

魔理沙「そう言うことを言うんじゃあない!!」

玄龍「なるほど、納得した」

魔理沙「ここにはバカしか居ないのか!?」

薬売り「んじゃあ、もう終わろうかな?」

玄龍「それじゃあ、次回も見なくていいぜ」

魔理沙「なんだよ、その終わり方。次回もお楽しみに~とかだろ」

玄龍「じゃあ、次回もお楽しみに」

魔理沙「えぇ…」

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