殺人犯は救世主   作:薬売り

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第四話 『殺人犯は冷たい男(物理)』

 吐き気が無くなったので、そのまま異変解決に行くことにした。

 気付けば、大きな湖がある。辺りは異常に寒く、身を震わせながら移動していた。

 

「アガガガガ…寒いなぁ…」

 

 まるで壊れたロボットのように震えて、歯をガチガチならしている。暖をとりたい。

 

「いくらなんでも寒すぎねぇか?まるで冬だ。」

「そうかなぁ?」

 

 またこのパターン。本日二回目。

 後ろに女の子が立っていた。幻想郷では人の後ろから話しかけるのが礼儀なのか?

 

「ごきげんよう。寒くないのか?」

「うん、全く。人間は弱いわねぇ。」

「つまり君は妖怪?」

「最強の妖精」

 

『最強の要請』?なんか強そう(小並感)。え?違う?なるほど、『最強の妖精』か。

 これは失礼。

 

「んで、その最強の妖精サマが俺に何の用さ?」

「え~と…ン?なんだっけ。」

「覚えてろよ。たまにそういうのあるけどさ。」

「あ、そうそう。戦いたいから戦って。」

「なんじゃそりゃ」

 

 戦闘狂かよ。治安が悪いな、幻想郷。こんな子供が戦闘狂なんて。

 

「鬼島玄龍だ。君の名前は?」

「『チルノ』だ。」

「…苗字は?」

「え?」

「え?」

 

 苗字を聞いて「え?」って答えられたのは初めての経験。

 

「ま、まぁ…いいや。すまないが今、忙しいんだ。今度にしてくれないか?」

「フン、怖じ気づいたのね。」

「う~ん…ま、それでいいや。今度でいいかい?」

「ふむふむ…そうねぇ。人間にも事情ってものがあるし、また今度って言うことだからねぇ…」

 

 お、交渉成功の予感。

 

「じゃあ、そう言うことで…」

「だが断る。」

 

 おいこら、どこの漫画家だよお前。衝撃的すぎるぞ。

 瞬間、足元に氷柱が刺さった。いつの間にか、チルノは空中に居た。

 

「Oh…」

「人間って言うのはねぇ…すぐ嘘をつく生物なの。信じないよーだ。」

 

 子供らしく挑発。それは置いといて、氷柱なんて何処にもなかったはず。足元の氷柱は何だ?

 だが、これで攻撃したのは確かだ。辺りが寒いのはこいつのせいか?

 

「そいつぁ残念だ。殺さない程度に終わらせるからな。」

「甘い甘い。あんこに蜂蜜と砂糖と生クリームがかかった物ぐらい甘いね。」

「うわ、クドッ!!クドイッ!!」

「殺す気であんたと戦うわ。」

 

 そう言い放った。そしたら、徐々に氷の塊がチルノの近くの空気中にできてくる。

 氷柱状になった氷は俺の方へと向かってくる。

 

「おっとっと。」

 

 美味しいよね。

 さて、どうしたものか。推測だがあいつは、氷の妖精だ。ならば、あれを『解く』か…。

 俺はあれを『解いた』瞬間、後ろに退いた。丁度氷柱も来たしね。

 

「避けるだけ?面白くないわねぇ。」

「降りてこいよ。飛べない俺にとって不利だろ。最強なんだろ?ハンデぐらい欲しい。」

 

 さぁ、あからさまな誘導だが、引っ掛かってくれるだろうか。

 

「はぁ?」

 

 流石にダメか。こんなので引っ掛かるバカは居るわけ……

 

「仕方がないわねぇ……」

 

 居たよ……このバカチンがぁ!!3年B組は置いといて、引っ掛かったので実行しようと思う。

 

「ありがとう。」

「まぁ、弱者に優しくするのが強者の勤めよ。」

「そっか。」

「にしても急に涼しくなったわねぇ……なにかした?」

 

 警戒するチルノ。そこまでバカじゃないか。

 

「俺の能力さ。空気中の分子の振動を『解いた』んだ。」

「……ン?」

「それによって、温度が極限まで下がった訳さ。君は氷の妖精だろう?だから、涼しいってだけで済むけど、俺達人間は死ぬね。」

「へ、へぇ~。」

 

 知ったかぶりで分かったような素振りをするチルノがなんとなく面白い。

 

「その状態を解除したら、『解いている』間の反動が出てくるわけさ。」

「?」

「今、能力を解いたら初夏ぐらいの気温になる。」

「ッ!?」

 

 急いでその場から離れようとする。だが…

 

「もう遅いッ!!能力を『解く』ッ!!」

 

 その瞬間、熱エネルギーが発生したッ!!俺は普通に耐えれる温度だが、チルノは……

 

「ううッ!!」

 

 一気に汗が出てきて、今にも脱水症状が起きそうな、否、もう起きている。

 次第に温度は平温になったが、チルノはそこに倒れている。

 

「ハァ……ハァ……」

「う~む、また罪悪感。」

 

 生きるためとはいえ、やり過ぎた。勝ち方もセコいなとも思った。自分がやった事なので、責任は俺にある。

 何処か近くに建物はないだろうか。そこまで運ぼう。

 

「おや?あそこに紅い館があるなぁ。入れてもらおう。」

 

 湖の向こう側にある館に向かうことにした。チルノをおんぶして、猛ダッシュで運んだ。




薬売り「始まりました。後書き」

玄龍「今回のゲストは『チルノ』だ」

チルノ「まさに最強」

薬売り「うん、黙れ」

チルノ「ゲストなのに?」

薬売り「さぁて、玄龍君。チルノを倒した感想は?」

玄龍「罪悪感しかねぇよ」

薬売り「だろうな!!ハッハッハッハッハッ!!」

チルノ「なんと言う悪ッ!!」

玄龍「まさに外道ッ!!」

薬売り「嬉しくないッ!!」

チルノ「このコーナーって感想を言うコーナーでしょ?」

玄龍「あぁ、そうだ」

薬売り「チルノ、なにか感想ある?」

チルノ「出番増やして!!」

薬売り「なるほど、やられ役の出番……」

チルノ「ちがぁぁぁうッ!?」

玄龍「て言うか、感想じゃあねぇだろ。それって」

薬売り「んじゃ、今回もパパッと終わらせますか。こんな茶番を見ている人に可哀想。早く終われって思ってるね」

玄龍「だったら見ねぇだろ」

薬売り「確かに」

チルノ「はよ、やれや」

薬売り「うい、今回は玄龍の能力がよくわかる回にした筈です」

チルノ「筈ってなによ?」

薬売り「キニスルナッ!!」

チルノ「えぇ……」

薬売り「なあんか、もう書くことねぇや」

玄龍「ネタ切れか」

薬売り「黙れ小僧ッ!!」

玄龍「ン?小僧?おいおい、設定上お前より俺の方が年上だぞ?」

薬売り「きっと気のせい」

玄龍「おい」

チルノ「ねーねー、帰りたいんだけど」

薬売り「あぁ?そんなこと言って帰れると思ってんの?可愛いから良いよ?」

玄龍「もしかして…ロリ…」

薬売り「おい、それ以上先の言葉を言ったらフックを食らわす。てか、ちげぇし」

チルノ「アタイはあんたのこと嫌いよ」

薬売り「いや、ちげぇからッ!?つか、玄龍に言われたくねぇし!!」

玄龍「ハイハイ黙れ。早く締めろ」

薬売り「ハァ…それでは、ありがとうございました!!」

玄龍「また、来週な」

チルノ「妖精王に私はなるっ!!」

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