殺人犯は救世主   作:薬売り

3 / 19
第三話 『殺人犯は幻想郷の子供が好き』

 あれから、数日経った。住む場所が無いため人里で家を買い、呑気に過ごしていた。平和すぎて暇だと思って、筋トレをしていたら初めて『異変』が起きた。

 

「これは……異変だよな?」

 

 空一面、紅い雲に覆われ、ほぼ毎日俺を照らしてくれていた太陽は消えていた。

 返せ。寒いじゃねぇか。暖かい太陽を返せ。

 

「ハァ……博麗神社に行くか。」

 

 太陽を取り戻すため、せっせと足を運ばせた。暫くすると神社が見え、巫女が見えた。

 

「おはよー。生憎の天気ね。」

「そうだな」

 

 呑気に座りながら、空を眺める霊夢はため息をついていた。

 

「さぁ、異変解決にでも行こうか。」

「待って、まだよ。」

「え、だが……何故?」

「呼んでもない奴がもう一人来る。」

 

 そういった瞬間、ドンガラガッシャンと何かが神社に突っ込んできた。霊夢は手を顔にあて、やれやれと疲れはてた顔をした。

 

「おーい霊夢!!異変だぜ。早く行こう。」

「修理してよね。」

「いつかな。」

 

 魔女のような格好をしていて、金髪の若い女性がいた。服をパンパンとはらい、ニッコリと登場してきた。

 

「こいつは?」

「殺人鬼。」

「珍しい名前だな。」

「違う。オレの名前は鬼島玄龍だ。」

「『霧雨魔理沙』だ!!宜しく!」

 

 と、これまたニッコリと挨拶。霊夢と違い、フレンドリーな彼女。霊夢の言葉から察するに、彼女も異変解決をする人なんだろう。

 

「じゃあ行きましょう。」

「え、こいつもか?」

「こいつもよ。」

「ふーん。ま、いいや。」

 

 そう言って、彼女は箒をまたぎ、中に浮いた。なるほど、本物の魔女か。

 

「行きましょう。」

「あーすまない。ある事情により、飛べない。」

「え?」

「先に行っててくれ。」

「あら、そう?首謀者は多分アッチにいると思うから。先に行ってるわよ。」

 

 霊夢が西を指し、そのまま飛んでいった。あっという間に彼女らは豆粒ほどの大きさになり、見えなくなった。

 

「じゃあ、行くか。」

 

 一人寂しく歩くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にかまわりは森になっていた。

 この森に入って二十分。気持ち悪くなってきた。吐きそう。この森に何かヤバイ粒子でもあるのだろうか?

 

「ハァ……ハァ……早く帰りたい。」

「お兄さん、どうしたの?」

「えぁ?」

 

 知らぬ間に、女の子が後ろに立っていた。青鬼だったら頭を喰われて死んでただろう。青鬼じゃなかったことを感謝しつつ、質問。

 

「この先に行きたいんだけど、あとどれくらいでこの森をぬけられる?」

「そーだなー……二、三分じゃない?」

 

 あと少しだ!!喜びを覚えた。森を抜けた暁には何をしよう。あ、そういや異変解決中だった。目的を間違え、恥ずかしい。

 

「でも、貴方は永遠ここから出られないわ。」

「え?」

「だって、『私に食べられる』のだもの。」

 

 私に食べられる?どういう意味だ。性的な意味だったら断るが…ここから出られないと言うことを言っている。つまり、俺をランチとして食う訳か。

 

「こんな天気の日に死ぬなんて嫌かもだけど、私のために死んでちょーだい。」

「えぇーやだ~。いや、俺も人を殺してその血液をがぶ飲みしたことはあるから、ヤダとか言う権利無いかもだけどヤダー。」

「結構クレイジーね。」

 

 よく言われるよ。さて、普通に嫌なので抵抗をさせていただこう。その前に…

 

「俺は鬼島玄龍。君、名前は?」

「ルーミアよ。」

「んで、どう殺す?この俺を。」

「暗闇にする。」

「暗闇?」

 

 瞬間、まわりが闇に包まれた!!こいつも能力者か……

 

「え、この程度の闇でもう見えないの?鳥目なの?」

「暗いところは好きさ。」

「うれしーわねー。」

 

 棒読みでパンチをされた。音のする方に耳を傾ける。更に闇が深まった。

 

「じゃあ、夜も好き?」

「大好きだね。」

 

 音のした方に顔を向けたらその顔を殴られた。更に闇が深まった。

 

「冬は夜が長いから好きだよ。」

「あー!!私もー!!」

 

 おかしい。『スペルカードルール』は?これは一方的な戦い。ルールなんてない。

 どう言うことなんだ?そう言えば、能力者は幻想郷の住民全員ではないらしい。これが原因か?ごく一般の人間は弾幕なんて出せないから、妖怪はそれを狙っている?

 なるほど。一人で納得した。更に闇が深まった。

 

「さあ、お話もおしまい。貴方を食べるわ。」

「なあ、闇が好きなんだよな?」

「好きよ?」

「そうかそうか。なら、『完全な闇を君にあげよう』。嬉しいだろう?」

「え?」

「闇を『解く』。」

 

 辺りの闇は消えた。そのひとつの言葉だけで、俺とルーミアが大好きな闇が消えたのだ。アッサリと消えたその闇。だんだん濃くなっていくのに消えるときは一瞬。まるで、「今流行りの人気芸能人」と言われたにも関わらず、半年でTVから消える芸能人みたいに。アッサリと消えた。

 

「なんで!?」

「さて……」

 

 右を見たり左を見たりして焦るルーミアの頭に手を置いて、囁きかけた。

 

「君の視力を『解く』。」

「え!?」

 

 ルーミアの視界には何も写っていない。見えるのは闇。

 

「どこなの?お兄さん…」

「………」

 

 暫く無言で眺めてようか。さていつまで続けよう。俺は木に凭れその光景を眺める。

 そこら辺の木にぶつかり、必死になりながらも俺を探している。暫くして、俺のところまで辿り着いた。

 

「…見つけた。」

 

 ルーミアは俺を殴ろうと右手を振り上げる。

 

「解け。私の視界を返せ。」

「よしよし、すまないな。能力を『解く』。」

 

 ばーか。それが狙いだよ。

 

「うっ…ぐああ!!眩しい!」

 

 ルーミアは目を抑えながら地面で転げ回る。

 

「ずっと光がなかったんだ。いきなり光を得たらそうなるだろ。まぁ、それだけじゃないけど…」

「ぐっ……」

 

 よく考えてみればひどいことをしている気がする。まぁ、生きるためだと言い訳をしておこう。

 

「さて、それそろ行かなくっちゃあな。」

「待て…逃げるなぁ…」

「異変解決しないといけないんでな。それじゃあな。」

 

 そういって、手をふりながら森を抜けた。結局、森を抜けても気持ち悪かったので吐いてしまった。




薬売り「はい、始まりました。後書きコーナー」

玄龍「あ、おい。始まったから膝から降りろ」

ルーミア「はーい」

薬売り「今回のゲストはそーなのかーでお馴染み。『ルーミア』さんでぇぇす」

ルーミア「本作じゃあ一回しか言ってないけどね」

玄龍「メメタァ」

薬売り「さて、玄龍よ。魔法の森はどうだった?」

玄龍「貧血より酷い目眩に、船乗りよりも酷い吐き気がした」

ルーミア「そうね、私もあそこは苦手よ」

薬売り「じゃあなんであそこに?」

ルーミア「作者なのに知らないの?食料探しよ」

玄龍「人間?」

ルーミア「キノコ」

薬売り「どっちの意味?」

玄龍「今すぐ警察に行け」

ルーミア「いやさ、人間が居なくてさ。仕方なく今日はキノコにしようって思ったら、お兄さんがきた」

玄龍「なるほどな」

薬売り「まぁ、その前に霊夢たちにも会ったんだろ?」

ルーミア「うん。案の定負けた」

薬売り「知ってた。さて、今日の感想だね。今日はねぇ……初めての戦闘なんだけど、やっぱスペルカード戦の描写がチョイとめんどくさいから、こういう風になった」

玄龍「この手抜き野郎!!」

ルーミア「サイテーね。私にトラウマを植え付けやがって」

薬売り「すまない……俺はMじゃあないから嬉しくないんだ」

玄龍「お前の趣味など知らん」

ルーミア「私はSよ」

玄龍「おい」

薬売り「因みに玄龍もSです」

玄龍「オイィィィィッ!!」

薬売り「それでは皆さん。ありがとうございました」

玄龍「おいちょ待てよ!!」

薬売り「キムタク?」

ルーミア「そーなのかー」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。