殺人犯は救世主   作:薬売り

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第二話 『殺人犯は能力者』

「良いわよ、目を開けて。」

 

 紫に従い、ゆっくりと目を開ける。なんだろう、緊張なのだろうか。心が落ち着かないこの気持ち。

 新しい世界。新しい時間。新しい……自分。

 

「これは…」

 

 感動した。

 広がる光景はまるで幻想。蒼く壮大な空。涼しく心地よい風が俺の肌を心地良く撫でる。香る華や眩しい太陽。それらが、あっちの世界を忘れさせた。清々しい程の空気が、自分と言う殺人者としての記憶さえも書き消す。

 思った。俺は人間だと。この清い景色に感動する俺も化け物なんかじゃない。そう、思わせてくれた。

 

「綺麗でしょう、私達の幻想郷は。」

「あぁ、素晴らしいね。」

 

 紫の声を聞いて我に返る。

 よく見ればここは神社のようだ。紫がスゴいわねと言っていたのは、きっと俺が選んだ場所と最初に来る場所が一緒だったからだろう。

 

「神社…か。賽銭でも入れるか。」

「この世界の通貨と両替する?」

「助かる。」

 

 自分の全財産を彼女に渡し、彼女は謎の空間から金を出した。

 

「それは…?」

「私の能力で創ったスキマよ。慣れてちょうだいね。」

「そ、そうか。」

「これで良いわよ。あとは自由にして。」

「だが…この世界で何を…。」

「賽銭入れたら解るわよ。」

 

 意味不明な事を言い残して去っていった。スキマに入って。

あれ便利だな。羨ましい。二週間前に来た時もあれで移動していたのか。

 俺は、言われるまま賽銭箱に銭を入れた。そして、カンッと音をたてた。その刹那だ。そう、刹那。神社の戸が破壊した。

 

「金ェェェッ!!」

「元気だね。」

 

 いや、正確に言えば蹴り破られたと言った方が良いだろう。巫女が神社破壊するってどうなのさ、と思いつつ金に執着する巫女に質問。

 

「なぁ、いきなりだが、この世界で何をしたら良い?紫に賽銭を入れたら分かるって言うから入れたが…」

「こんなに銭が!!」

 

 おう、とりあえず話を聞こうぜ。

 

「あのさ…」

「貴方が入れてくれたのね!賽銭を入れてくれたお礼にお茶を淹れるから入って!」

「いや…あの…」

 

 話も聞かず奥の方へ行ってしまった。なんだかなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、外来人って訳ね。しかもアイツ公認の。」

「まぁ、そう言う事だな。」

 

 やっと話を聞いてくれた。彼女はこの『博麗神社』の巫女さんの『博麗霊夢』という名前らしい。見るに、信仰がなくお金に困っているようだ。

 どうやら幻想郷と言うのは、『人間』は勿論、『妖怪』や『幽霊』、『妖精』や『月の民』と言う謎の種族が住まう場所。忘れられた者の世界らしい。住人全員ではないが、俺と同じ能力者も居ると聞いた。霊夢もその内の一人。これは面白い。ついでに、彼女の言う『外来人』は、あっちの世界から来る人間らしい。

 

「んで、どんな能力さ。貴方は。」

「どんな、か……」

「…?」

 

 説明がしづらい。今まで警察の人から習ってきた日本語の言葉を選んで、並べて、揃えてみた。

 これが一番良いだろう。

 

「俺の能力は……『解く程度の能力』とでも言っておこう。」

「解く程度の能力ゥ?」

「ま、そうだろうよ。理解できるわけがない。」

 

 『解く』と言われても「何を?」と言われるのが普通。

 

「そうだな、例えるなら………重力。」

「うん。」

「重力が俺らを地に立たせてくれてるだろう?それを『解く』と、無重力になるんだ。」

「……?」

「視力を解けば失明する。」

「つまり…物理的なものを解く?」

「それもある。」

 

 頭の回転が良いようで。別に、スタンドを使っている訳じゃあないぞ。サイコキネシスっていうのか?生まれつきそういうのが出来た。皆もこれで殺した。

 

「へぇ…強いじゃない。紫が招待した理由が分かったわ。」

「なぁ、紫は俺の事を『救世主』なんて馬鹿げた事を言っていたんだ。それは…?」

「何も教えてないのね、あいつ。」

「何も教わってないね、オレは。」

 

 実際には教えてもらったが、意味不明なので霊夢に教えてもらうことにした。

 

「ここでは、『異変』って言うものが起こるの。」

「異変?」

「そう、妖怪や幽霊、妖精等々…が起こす異変よ。」

「うわぁ…大変そうだな。」

 

 きっと強い妖怪も居るだろうし、面倒そうだ。

 

「その大変そうなのを解決するのが私なの。」

「へぇ…」

「代々、博麗の巫女は異変の解決を行うことになっているの。」

「妖怪を殺すわけか。」

 

 思わずニヤリと笑う。紫は、俺を殺人犯と知っていて幻想郷に招いたな?能力を知っているんだ、そうに違いない。

 そんなことを考えていたが、霊夢の言葉で消え失せた。

 

「物騒ね?殺人犯だったのかしら?」

「え。」

 

 一瞬ドキッっとした。勘が良い子だ。取り合えず、得意の嘘を言っておこう。

 

「んなわけねえだろう?」

「私から見て目が左に向いてる。」

「へ?」

「人は嘘をつくとき右脳を使うの。私から見て目が左に寄ったら嘘。逆に右は真実。」

 

 頭の良い子だ。すぐ嘘がバレた。

 

「ま、どうでも良いわ。」

「良いんだ…」

「それより解決の仕方だけど『スペルカードルール』で解決よ。」

「それは?」

 

 スペルカード?ゲームかなにかかな?この世界はゲームで物事を解決するのか。

 

「これを見て。」

 

 そう言って、霊夢は手を前に出した。不思議に思いながらも、言われた通りに見た。すると…

 

「これは…!?」

「弾幕よ。」

 

 弾幕と言われた物。それは光輝き、まるで太陽のように眩しい球型のなにか。

 

「これを使って、相手に当てるのよ。触ってみる?」

「あぁ…」

 

 当てる?ドッチボールかなにかか?それなら得意だぜ。警察のやつらと年に一度だがドッチボールをやった。その時についたアダ名は「回避王」だ。

 俺はそろりとその球を触った。すると…

 

「イッタァァッ!?」

 

 激痛が走った。身体中を駆け巡る。まるで血液のように、いや、それより早い。一秒に身体を三周はしている。

 

「こう言うことよ。」

「なるほど…それはそれは……オレに不向きなものだな。」

「あらそう、なら帰る?」

「世界が俺を忘れた。戸籍がねぇからロクに生きられねぇよ。」

「じゃあ頑張るのね、殺人鬼さん。」

 

 腹立つな。ま、どうでもいいや。そう思いながら霊夢は入れた茶を飲んだ。ぬるい。




薬売り「はい、始まりました。『無駄』な後書き」

玄龍「前回の『無駄』を引きずるなアホ」

薬売り「さて、今回のゲストは『博麗霊夢』さんでぇぇす」

霊夢「この後書きに出たくないんだけど」

薬売り「貴様に拒否権はない」

霊夢「死んでくれる?」

薬売り「それはアリスが言うべき台詞で、お前の台詞じゃあない」

玄龍「悪魔に謝れ」

薬売り「紅ま…」

玄龍「小悪魔のことじゃあないし、ネタバレやめろ」

薬売り「そんな九割の人は知ってるでしょう?」

玄龍「残り一割の人に謝れ」

薬売り「断る」

霊夢「目的から遠ざかる」

薬売り「はいはい、固く言うと御意御意」

玄龍「元ネタのコメディアンに陳謝してこい」

霊夢「オマエモナー」

薬売り「さて、今回ですがねぇ。描写をしっかり書こうと思って頑張ってみたんですよ」

霊夢「結果はアレだがな」

薬売り「うるせぇ。ネットで脇とか言われてる巫女がッ!!賽銭なくて餓死しろ!!」

霊夢「残念ながら、そこまで貧乏じゃあないのよ。賽銭がないのは確かだけど妖怪が住み着いてるから入り知恵で生きてこれてますわ」

薬売り「巫女の仕事はどうした?だから賽銭がないんだ!!」

霊夢「餓死よりマシね」

玄龍「……ハァ、あいつらの代わりに俺が話を進めるよ。薬売りは今回の話を書いているとき、小説っぽい言い回しをしたくて色々試していたんだ。で、アレさ。まぁ、この『殺人犯は救世主』は、試す為に書いていると言っても良いだろう。だから、感想欄にアドバイスを書いてくれたら、薬売りも喜ぶよ。俺も助かるし、嬉しいよ。厳しい言葉も受け入れる覚悟さ。気遣いなく、どんどん言ってくれ」

霊夢「だから、スーパーマ○オブラザーズは関係ないでしょ!?」

薬売り「いいや、関係あるね。だって、お前はさっきゼ○ダの伝説の話を持ち込んだ」

玄龍「やれやれ、なにからそんな話になったんだ。おい、しめるぞ」

薬売り「お、おう。わかった。それでは、ありがとうございました」

玄龍「来週も見なくて良いぜ」

霊夢「もし、貴方達が幻想入りすることがあるのなら、賽銭入れてね♪」

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