「おはよう。」
食卓にはレミリアとパチュリー以外の人が揃っていた。
「おはようございます。」
「おはよ!」
「ちょっと美鈴!!敬語で喋りなさい。」
「あぁ、良いんだよ。俺が止めるように言ったんだ。」
「え?い、いやでも……仕事ですし、やはりお客人には丁寧でいないと。」
やはり堅い。こう言うの好きじゃあないんだよ。殺人鬼が…こう……丁寧に扱われるって異常じゃん。
だからあまり好かない。
「私達メイドは、お嬢様やそのお客人の命令を聞いて、丁寧に接する事が仕事なのです。」
「それじゃあ、その客人の命令で敬語を止めるように言った。ほら、筋が通っている。」
「………」
「怒ったら握り拳を強く握る癖があるね。こんなムカつく奴に敬語なんて馬鹿馬鹿しいだろ?」
「まぁ、いいんじゃない?咲夜さんの生き甲斐がこの仕事だから。」
「フゥン…そう。まぁ、好きにしてくれ。」
そういや、他の人がいないな。
「他のみんなは?」
「あーえぇっと、レミリアお嬢様は博麗神社に行かれてるわ。」
「一人でか?」
「まぁ、そうね。霧を消した報告に行くとか。」
「見りゃわかるだろ。」
「そうなんだけどねぇ。」
律儀な奴だな。まぁ、俺の知ったこっちゃねぇや。
ここで一つ、館の異変に気付く。
「さっきから、微少な地震が起きているな。」
「え?あ、本当ですね…。」
「……まさか。」
「ン?『まさか』とは?なにか心当たりがあるのか?」
「…いや、なんでもないわ。」
これは何かある。絶対何かある。
美鈴の下手な嘘を見れば誰でもわかる。咲夜は相変わらずの真顔だが。
「……ちょっとトイレに行ってくる。」
「そう、右を奥よ。」
「サンキュー。」
そういって扉を開けた。
まぁ、ちょっと見ていくだけだからな。震源は……地下かな?
地下に通じる階段を探そう。
と、思ったら行き止まりだ。
あいつ、俺が地下に行くのを防ぐために行き止まりのトイレを差したな。
だが、どうってことはない。トイレと言うことは下水道に行ける場所があるはず。
えぇっと、あったあった。鍵など俺には効かぬ。
「鍵を『解く』。」
カチッという音が、トイレの中に響いた。
「んじゃあ、出発だな。」
下水道を降りると、更に下に続く扉があった。こんな近くにあるもんなんだな。偶然。
扉を開けて階段を降りてみると……
「廊下?多分、地下のだな。妖精メイドが慌てるように飛んでいる。」
何を慌てているのか。
そのまま、廊下に出て奥に進んでみると、妖精達は俺に気付き攻撃してくる。
「ウオッ!?あぶねぇな……ここは、100m先までの距離を『解く』。」
景色は変わっていないが、妖精達の位置が変わった。俺は一歩前に進み、指を鳴らす。
「能力を『解く』。」
反動で多分150mは進んだはず。すると、目の前にパチュリーがいた。
「な、なんであんたがいるのよ!?」
「どうも野次馬です。」
「あぁ、あんたと言い、あの娘と言い今日は厄日だわ!」
「残念ながら俺はあんたと戦いたくてここに来ているんじゃあないんだ。さようなら。」
俺はまた距離を『解いて』、一歩進む。能力を『解き』、パチュリーは見えなくなった。
戦いは避けたい。下手くそだから。
しばらく進むと、一人の影が奥に見えてきた。子供か?背丈は小さい。その少女もこちらに気付き、こちらを見つめる。
「おまたせ」
「誰だ?」
「人に名前を聞くときは…」
「あぁ、俺?俺はジョン・スミス」
「『フランドール・スカーレット』よ。鬼島・ジョーン・玄龍さん」
流石に分かるわよ。と、言わんばかりの呆れ顔をしている。ま、それも間違っているけどな。
「フランドル地方のご出身?」
「違うわ。」
「ああそうかい。」
「植物の名前なんでしょ?」
「………」
くそ、レミリアの奴め。こやつに教えやがったな。
「私はここにずっといるわ。貴方がここに泊まっている時も。」
「いたか?」
覚えがない。
「495年間。ずっと地下でおねんねしてたわ。」
「ああそうかい。」
「その事だけど、お姉様から聞いていたの。」
「…お姉様ね。」
アイツに妹がいるとは、知らなかった。まぁ、知ろうともしてなかったしな。知ったところで…って感じだな。
「一度でも人間を見てみたかったわ。」
「咲夜は?」
「人間なの?」
「人間なの。」
咲夜よ。妖怪と間違われているぞ。可哀想に。帰ったら慰めてあげよう。
「遊んでくれる?」
「すまない、ゲーム機は家にあるんだ」
「弾幕で。」
「何を賭ける?」
「コインいっこ。」
「んじゃ、俺は命」
「コンテニューは出来ないのよ?」
ゲーム感覚ってか?全く、教育がなっておらん。人殺しをゲーム感覚でなんて。俺はゲーム感覚じゃない。食事感覚だったからな。
だが、戦闘が始まってしまった。避けなければならない戦闘を。ま、しゃーなしだな。思う存分あばれる君。
今回は後書きをお休みさせていただきます。ご理解お願いします。