「こちらのお部屋です。」
「ありがとう。」
「いえ、客人を丁寧に扱えとお嬢様から言われただけですので。お礼をされるような事ではありません。」
堅苦しいなぁ。従者は堅苦しいのが基本なのか?だとしたら、金持ちになっても従者は雇えないな、俺は。
「ふぅん……そう。んじゃ、また明日。」
「その前に、お嬢様から伝言です。」
伝言?なんだろうか。明日のご飯は貴方の血液だから今のうちに自殺してなさい、とかかな?
「『朝には紅い霧は消えているわ』…と、仰っておりました。」
「へぇ…」
「では、失礼します。」
深々とお辞儀をし、丁寧に去って行く咲夜さん。ドアを最低限静かに閉めて、多分ドアの前で礼をしているであろう。俺なら中指を立てる。見習った方がいいな。
「さて……」
一人だ。考え事のしやすい空間。
まず、何故かこの紅魔館の敷地に入ってから、虚無感と絶望感を感じる。俺に似た何かを感じる。
なんだろうか?今まで会った人物一人一人からは感じられなかった。
……まぁ、只の勘だ。きっと気のせいだ。
次に、俺の能力の問題。
奇跡的に生きてるが、能力がなかったら御臨終は間違いない。能力に頼りすぎた。このままじゃ何時か本当に地獄行き。あぁ、霊夢や魔理沙が「ご愁傷様です」と言っている光景が見える。修行だな。魔理沙には修行の練習に付き合ってもらうことになったから、これは良しとしよう。
後は……
等と考えていると「コンコンコンッ」と、音が響いた。
「失礼します。」
「あーい、どうぞー。」
ドアが開いた。そこには、大量の本を持った赤髪で黒い羽が生えている女性がいた。
「失礼します。『小悪魔』と言います。どうぞ宜しくお願いします。」
「……ン?それが、名前なのか?」
「まさかそんなわけないですよ。そんなの異常じゃないですか。名前がないだけです。」
「それはそれで異常だよ。」
一体どういう事だよ。
まぁ、いいや。ここは元々非常識な世界だし。
「んで?何のようさ。そんなに本を持ってきて。」
小「パチュリー様が『暇だろうから』って、何冊か本を持っていくように言われてきました。」
中々、気が利く魔女っ娘だ。素晴らしいね。
「これは私のチョイスですが、この幻想郷に住む能力者について書かれた本などを持ってきました。玄龍様が幻想郷に来たばかりと聞きましたから。」
この娘、出来る娘だ。
「ありがとう。すごく助かる。」
「はい!」
飛び切りの笑顔。思わず、こちらも笑顔になる。笑顔が移ったって感じかな。
咲夜さんもこのぐらい軽くしていけばいいのになぁ。
「失礼しました。」
「ほーい。」
ガチャンとドアが閉まる音。さてさて、持ってきてくれた本でも読むか。
著者は…『稗田阿求』か。
「ふう、面白かった。素晴らしいね。この稗田阿求って人。」
本を閉じ、なんとなく窓を見た。紅い霧は無かった。そして太陽がちらりと見える。
「俺としたことが、夜更かしをしてしまうとは……」
手に持つ本の著者紹介を見る。
「稗田阿求、ねぇ…」
俺はそう呟き、部屋のドアを開けた。
薬売り「あとがきぃぃぃぃぃぃッ!!」
玄龍「ハイハイ黙れ」
薬売り「今回のゲストは小悪魔ちゃんでーす」
小悪魔「皆さんこんばんは!!……あれ?こんにちはですかね?おはよう?」
薬売り「どれでもいいよ」
玄龍「どうでもいいよ」
薬売り「はい、と言うわけで今回はただ玄龍が咲夜さんにイチャモンつけて小悪魔を褒める下剋上回でした」
玄龍「いや、今回の話の振り返り可笑しいだろ」
薬売り「玄龍は小悪魔ちゃんのことを話しやすい娘と思っているらしいのですが、どう思いますか?」
小悪魔「嬉しいです!!」
薬売り「小悪魔じゃなくてむしろ天使だぁぁぁッ!!解答が天使だぁぁッ!!」
玄龍「お前、今日どうした?」
薬売り「いや、今日はこう言うキャラでいこうかなって」
玄龍「急に真顔になるな!!怖いわ!!」
小悪魔「いやそのコメント、文字だから分かりづらいですよ。多分」
玄龍「う、う~ん……」
薬売り「全く、玄龍は何に関してもダメダメだなぁ!!」
玄龍「………」
薬売り「が、顔面つかむのヤメテ……」
小悪魔「ま、今のは仕方ないですね」
薬売り「た、助けてぇぇぇ」
小悪魔「え?助けてほしいのですか?」
薬売り「YES!!YES!!」
小悪魔「う~ん、ヤダ☆」
薬売り「やっぱり悪魔だぁぁぁぁぁぁぁッ!!!ゴフゥッ!!」
小悪魔「うわ!!鳩尾に……」
玄龍「ふぅ……さて、終わろうか」
小悪魔「そうですね」
玄龍「えー今回のゲストは小悪魔さんでした」
小悪魔「また次回も見ていってくださいね!!幻想郷に来たら、お話ししましょう?」