殺人犯は救世主   作:薬売り

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第十話 『殺人犯は何者で』

「弱いわねッ!!もっと私を楽しませてちょうだいッ!!」

「クッ!?…ハァ…ハァ…まさか…本当に…弱いなんてね…」

 

 霊夢は乱れた呼吸を整えながら俺の事を罵倒する。

 

「だから、最初に言ったじゃねぇかよ。」

「そ…その代わり…私達みたいに…疲れねぇようだな…」

「うん。生まれつきなんか、疲労が溜まらないんだよね~。」

「羨ましい…ぜッ!!」

 

 レミリアの弾幕を避け続けること、三十分が経過。

 霊夢達は頑張ってレミリアに挑むが、時に連れて動けなくなっている。

 レミリアは、被弾したにも関わらずに弾幕を撃ち続ける。

 

「フフフ…ちょっと、仕掛けようかしら。」

「…?」

 

 苦しそうな表情をしながら不思議に思う二人。レミリアの悪い顔。

 

「食らいなさいッ!![紅符『スカーレットシュート』]ッ!!」

「ウッ!?ヤバイッ!!」

 

 俺達の危機。霊夢は一か八か、自分の力に賭けた。

 

「うおおお!![霊符『夢想封印』]ッ!!」

「ッ!!……ほう………良いだろう。流石、ここ世界を護ってきた人間だ…」

 

 互いの弾幕がぶつかり合う。見るに、霊夢が優勢か?

 

「だがッ!!これだけではこれからの世界は護れないッ!!世界の運命を見ろッ!!世界に回ってきた星を見ろッ!!これらより辛いものを味わうぞッ!!」

 

 レミリアはスペルカードを中断して、霊夢の弾幕を受け止める。

 

「ッ!?」

「おいおい、マジかよ…」

「自分を知れ。そして感じろ。全ての運命をッ!!」

 

 否、掻き消したのだ、あの槍で。

 

「[神槍『スペア・ザ・グングニル』]……Go to hell(地獄へ行け).」

 

 その紅く光輝く槍の先は、俺らの方を向いている。美しい。思わず口に出してしまいそうだった。

 

You too(あんたもな).俺が連れてってやるよ。」

「なに?愛の告白?」

「だとしたらロマンチック。」

「フッ…やってみろッ!!」

 

 槍が俺達を目掛けて流れてくる。

 霊夢や魔理沙は即座に逃げたが、俺はそのまま手をつき出した。

 流石のレミリアも首を傾げる。そして…

 

「速さを『解く』。」

「なッ!?」

 

 それには周囲が驚いた。玄龍の手に触れた瞬間、落ちたのだ。床に。

 

「いてて…触れただけでも痛いのかよ。力を『解く』。」

 

 紅い妖気が消え、残ったのはただの槍。

 

「な、何をしたの!?私の妖力を、一瞬で!?」

「私でも時間は掛かるわ…」

「フゥーッ……これでよし。」

 

 玄龍はそのまま持ち上げ、レミリアに向ける。

 

「いくぜ!!用心しておくことだ…」

「……」

 

 そして、投げた。

 だが、明らかに届かない。槍投げの選手でない限り、届かせるのは無理だろう。レミリアは、警戒心を解かない。

 

「能力を『解く』。」

 

 いきなり、槍は物凄い妖力を放ち、勢いもレミリアが投げた時の二倍。

 

「ウグッ!?」

 

 かすった。惜しくも当たらず、槍は館の外へと飛んでいった。

 

「ハァ……ハァ……」

 

 いきなり、汗が大量に出てきた。

 不思議な感覚だ。彼は今、殺す気で槍を投げた。しかも、その殺気は今までの人間よりも遥かに強い。きっと、私を集中的に放った殺気であるために、濃く、私しか感じれなかったのだと思う。

 

「アイツ、いきなり汗をダラダラ出しているぜ。」

「本当ね…」

 

 ご覧の通りだ。やはり、彼は生まれもっての殺人鬼だ。

 人を殺すためだけに生まれたのではと、疑問にも思い始めてきた。

 

「クッ!!……ウォラッ!!」

 

 急接近し、彼を殴ることにする。

 気が収まらない。あろうことか、この私が人間に怖じ気ついているのだから。

 

「時を『解く』。」

 

 時間停止。ゆっくりと避ける。レミリアの頭を触り、ニヤリと笑う。

 

「……もう少し待とう。」

 

 三十秒…四十秒…五十秒…一分経過。やっと、玄龍が動いた。

 

「『時間の』能力を『解く』。」

 

 時間は進み始める。そして…

 

「うッ!?」

 

 レミリアは超高速で壁に衝突した。

 

「カハッ!!……ハァ…ハァ…ハァ…時が加速している?」

「そう言うことだ。」

 

 次第にスピードは普通になり、高速化は終了した。

 

「死になさい。貴方が迎える運命はそれしかないッ!!」

「と、時の加速化って終わったはずじゃ…?」

「元の速さよ」

 

 スピードが速い。一瞬で玄龍の首元に爪を立てた。

 

「あまり調子に乗るなよ。」

「あんたが楽しませてって言ったんじゃん。」

「……死ね。最期に言い残したことはあるか?」

「言い残したこと…そうだ、高い壺を買う人に聞きたいんだけど、買って意味あんの?」

「……は?それだけか?」

 

 やっぱこいつ頭おかしい。

 

「ああ、そうそう。最後にレミリア君に言いたいことがあるんだけど…」

「なんだ。」

「俺に集中しすぎ。」

「ッ!!」

 

 レミリアの後ろには、女が二人。

 

霊符『夢想封印』

恋符『マスタースパーク』

 

「………泣けるわ…」

「あれ、この状態じゃあ俺も巻き込まれるんじゃ……」

 

 レミリアと玄龍は、弾幕の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、完敗よ。完敗。」

「レミリアの完敗に乾杯したいわね。」

「ここでダジャレ!?嘘だろ霊夢!!」

「う、嘘だろって言いたいのは俺だぞぉ……」

 

 完全に俺に気づいていたにも関わらず弾幕を放つという、くそったれ行為に腹が立った。

 

「ゴメンゴメンゴ☆」

「このッ!!」

「…にしても、傷が治らないわ。このぐらい時間がたってれば、擦り傷はなおっているはずだけど……」

「あぁ、忘れてたよ……能力を『解く』。」

 

 すると、レミリアの傷が一瞬で治ったした。しかも、さっきより良くなっている。体が軽くなり、今ならもう一回霊夢達と戦えるほどに。

 

「時を止めてた時、あんたの治癒能力を『解いて』た。吸血鬼だからきっと回復は早いんだろうな~って、勝つ為にね。」

「そこまでじゃないわ。確かに人間よりは早いけど、そこまで変わらないわ。傷が付きにくいってだけ。」

 

 結果、彼女を助けたこのになったと言うわけか。一瞬で敵の傷を治すという結果。ま、いいか。

 

「さ、紅い霧を消してくれ。」

「あー…うん。少し時間がかかる。家に帰ってくれたまえ。」

「そう言って消さないかもしれないじゃない。」

 

 霊夢って意外と疑り深いな。

 

「んじゃ、俺はここに残るよ。見張りとしてね。」

「え!?」

「なにか困ることでも?」

「……わ、分かったわ。そうしましょう」

「んじゃ、宜しく」

 

 そう言って、手を前に出す。

 

「宜しく」

 

 レミリアも、小さな手で俺の手を握った。




レミリア「前回の後書き出番が少なかったからまた私よォォォォ!!」

玄龍「本編とのギャップをどうにかしろ!!」

薬売り「どうも、今回も始まりました後書き。最早ここ後書きに価値があるのか、ナァァ!?」

玄龍「作者御乱心」

レミリア「全く、前回の後書き短いのよ。第一話に比べて、なにあれ?『You Suffer』?」

玄龍「そこまでじゃねぇだろ」

レミリア「だから、今回もゲストになったわ!!」

玄龍「なにそのワガママ。ワガママスタイル?」

レミリア「使い方違う。別にワガママじゃあないわよ。だってお嬢様だもん」

薬売り「そうだぞ、レミリアは我儘じゃないぞ。ゲスト誰にしようか迷ってたら「しょうがないわね、私がやるわよ」って前回イジられまくったのに快く引き受けてくれる物凄い良い子…」

レミリア「ワーワーワー!!私我儘よ!!お嬢様だから我儘なの!!良い子じゃないわよ!!」

玄龍「私我儘よってなんやねん」

レミリア「う、うるさいわね」

薬売り「さて、今回の玄龍君はスゴかったねぇ」

玄龍「あいつら……許さん」

レミリア「まぁ、そう怒んないの」

玄龍「あーレミリアに言われると怒りが収まった。やっぱ良い子ちゃんだからか……」

レミリア「キサマァァァァアアアッ!!!」

薬売り「……もうレミリア後書きのレギュラーにしようかな……」

玄龍「ハハハ。さて、前回短かったのは事実だし、もうちょい長くしようか」

薬売り「んじゃ、レミリア君」

レミリア「あん?なんなの?」

薬売り「そうグレるなよ良い子ちゃん」

レミリア「…………」

薬売り「すいません調子に乗りました胸ぐらつかむのやめてくださいお願いします」

レミリア「ハァ……で、なに?」

薬売り「今回の話はどうだった?感想をヨロシク」

レミリア「そうねぇ……まぁ、私が負けるのには納得いかないけど、よかったんじゃない?」

薬売り「具体的にどこが?」

レミリア「ンー、主人公だからって、なんでも一人でできる的な感じじゃなかった所かしら」

玄龍「うん?どういうことさ」

レミリア「最終的な決め手は霊夢とジョンでしょ」

玄龍「ジョン?あぁ…そういえば」

レミリア「なによ?」

玄龍「なんでもない」

薬売り「と言うわけで、今回も後書き見てくれてありがとうございました!!」

玄龍「来週も見れくれよ」

レミリア「もし幻想入りしたら紅魔館に来なさい。歓迎するわ」

薬売り「お願いします」

レミリア「お前は出禁」

薬売り「来てもないのに!?」

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