島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~ 作:伊吹恋
・・・まあ、世代的には世代なんだが、そこまで詳しいわけでもないから説明を省きたい。
今俺の目の前にはジェダイのようなローブを着て店に来ているアイドル達と、ストームトルーパーの白い戦闘アーマーを来た客たちがいる。
あっ、さっき入ってきたストームトルーパーの格好の客店入る時頭ぶつけたぞ完成度たけえなおい。
・・・なぜこうなっているのかわからんが、これは何なのだ?
俺か?なぜか俺は若かりし頃のオビ=ワンの格好をさせられている。
腰には青色に光るライトセーバーを持たされ、ベルトに付けている。
さて何故ここまでこの有名な名作映画のコスプレをさせられているのか、それは、近くのアイドル事務所346プロジェクトである企画が飛んでいる。それは、バーチャルリアリティー 通称VRプロジェクトだ。
このVR機能を使い346プロはあの名作映画のジェダイたちの戦いを追体験できるようにするという一大プロジェクト。更に驚くことにこれは既に商品化が進んでおり、今日がその発売日。しかも発売日に会場イベントまであるというのだ。そして、俺はそのオファーを受けており、数十分後には店を出て346プロに行かなくてはならない。
だから俺もコスプレしている(というかさせられた)。
まあ、スピンオフ作品含めて10作以上出してる映画だ。しかも昔から、今の世代まで知ってる人は多い。知らない方が少ないと思うが。だがまさか卯月も知っているとは思わなかった…確かに昔一緒に見てた記憶はあるが、まさかハマッていたなんて予想外だ。
俺はEP1~8までしか見てないからスピンオフ作品は全然分からんが、それなりに知識はある方だ。
しかし、ジェダイとストームトルーパーが肩を並べて喋ったり飲み物飲んでる姿はシュールだな…
やっぱり平和はいいね。
「どうかしましたか?オビ=ワンさん」
「誰がオビ=ワンだベイダー卿」
俺の隣に立っているのはこの映画のラスボス位置にいるキャラのコスプレをしている武内さん。隣にいるだけでもコーホーコーホーと音を立てて正直うるさい。
オビ=ワンの隣にベイダーが立っているというのも珍しい話だな。何?俺たち今から殺し合いでもするの?
等と言っていたら俺たちの携帯にアラームがかかる。それと同時に客達は次々と店を出ていくではないか。
そう、時間だ。俺とベイダー卿の格好の武内さんはお互い見合い、頷くと俺はローブを、ベイダー卿はマントを羽織り共に店を後にした。
346プロ内は既に人で溢れている。少なくても1万は居るであろう人の数。しかも346プロの入口にも人がいるので大型モニターを付けてイベントを間近で中継するという配慮までしてる…。金掛かってんだろうなぁとゲスい事を考えながら楽屋で待機する俺とシンデレラプロジェクトメンバー。
もちろんみんなコスプレしており俺以外にも、卯月はルーク。凛はハン・ソロ。未央は何故かC3PO。みくちゃんは…杖とか持っていて、緑色の耳からしてヨーダか?その他にも各々ジェダイの格好をして更に腰にライトセイバーを持っている。
なんでもありかこの事務所…。
そして遂に会場入りする事になった俺たち。
ドアが開きスタッフが「出番です」と一言伝えて来た。
…胃が痛い
俺は緊張で傷んでしまったのか、腹を押さえながら楽屋を出る。
案の定イベント会場は満員だ。
たかがゲームなんですけど…と思いながら俺は舞台に入ることにした。
アイドル達に並んで何故俺みたいなただのプロボクサーが呼ばれたのか不思議でならない。
「ここでスペシャルゲストの登場です!シンデレラプロジェクトメンバーと、フェザー級プロボクサーの島村一樹さんでーす!」
わああああ!!!!
会場の客達の黄色い声と共に会場入りする俺たち。前にシンデレラプロジェクトメンバーが入り、最後尾に俺が出る。
俺、今どんな顔をしてんだろう…引きつってそうだけど…。
とりあえず順番に自己紹介が始まった。
卯月は腰につけてるライトセイバーを両手に持ち緑色の光を放ち
「フォースと共にあらんことを!島村卯月です!よろしくお願いします!」
えっ?キャラのセリフ言わないといけないの!?聞いてねえけど!?
そして凛は腰につけてる拳銃形のブラスターを片手に持ち
「知ってたさ…渋谷凛です。よろしくお願いします!」
いや、それ帝国軍に捕まった時レイヤに放ったセリフだろうが!あの時ブラスター持ってなかったわ!
「R2D2!R2D2どこだい!?本田未央でーす!よろしくお願いしまーす!」
お前はツッコミどころ満載だわ!何故その格好を選んだ!というかどうやって金ピカのあの格好再現した!?その衣装何処で売ってた!?
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
なんで会場は盛り上がってんだ!?笑いどこじゃねえの!?こいつお笑い番組で満点取れるようなボケ披露してっぞ!C3POだぞ!?動きにくそうなあのお笑い担当だぞ!?
「ヨーダ?ヨーダを探しておるのか!?前川みくです!よろしくにゃ!」
もう少しいい台詞無かったんかい!!なんでルークがヨーダと出会った台詞にした!しかも古い方のセリフチョイスしたなぁ!
というかお前らどんだけ映画見返したんだぁ!
等と全員が自己紹介が終わると遂に俺の出番がやってくる。
ええい、ここまで来れば毒を食らわば皿までよ!全力でやってやらあ!
腰に付けているライトセイバーを手に取り、青い閃光を放ち、俺はオビ=ワンのライトセイバー構えソレスの構えを取った。
「お前は選ばれしものだった!!島村一樹です!」
やけくそ気味の自己紹介をやってやったぞこんチクショウ!顔が熱い!自分の顔が真っ赤になってるのがわかる程恥ずかしい!
「こんな素敵なゲストを紹介したところで、今回の目玉であるゲームを説明いたしまーす!」
司会の人がイベントを進行してくれたことにより俺の羞恥が増したがそんなのを気にせずに俺たちは椅子に座ることにした。
「今回紹介するゲームはあの有名SF映画を題材にしたゲーム!「スター〇ォーズバトルウォー」です!」
タイトルはそのまんまかよ…
「このゲームはブラスターを持った兵士にもなれます!敵を倒すとポイントが貰え、そのポイントに応じて映画に登場したヒーローキャラになれるという物になります!」
…ん?どっかで聞いたことあるゲームシステムだな…
「まあ、行ってしまえばバトルフロントのVR版です」
言うのかよ!わざわざ名前変えた意味ねえじゃねえか!
「じゃあさっそくゲストさんたちにやってもらいましょう!」
早いなぁ!プレイ動画とか流さねえのかよ!
俺たちの前に現れたのは何やら大きなソファーのようなもの。何やらソファーから怪しい配線やらが引かれており、頭を置く部分にヘッドギアのようなものがある。
…これを被るってことか?とりあえず、これを被って…
「これを被ると脳内電波を仮想世界にダイブさせ、身体は機能停止状態になりますが、意識はゲームの中に入ります」
「オイ!!何か危ないワードがチラチラ出てるぞ!!」
大丈夫だよな!?人体に影響ないよな!?
「人体への影響は…さあ始めましょう!」
「保障しろよ!そこは保障してくれよ!!」
などと言っていたら、俺の意識は切れた。
身体に力は入らず、視界がぼやけていく…。
「はっ!」
気が付くと俺は知らない砂漠のようなところにいた。辺りは岩、岩、岩、横を向くと白いアーマーを付けたクローントルーパーが近くにいる。そして正面には……ドロイドが隊列を組んで並んでいた。
「ジオノーシスかよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
その言葉が開戦の引き金になったのか、ドロイド軍は俺たちに向かって一斉にブラスターを放ってきた。
赤い閃光が俺の横にいたクローン兵を倒した。
問答無用かよ!!
「何してるんだ!武器を構えろ!」
別のクローン兵が俺に向かってしゃべりかけてくる。なんだこのAIすげえ!
「でも、武器が無い!」
「もう持ってるだろ!」
クローン兵が俺の手に握られているものを見せる。それは、小さな筒のような…剣の柄のような…
「ってこれライトセイバーじゃねえかあああああ!!!!!」
ボタンのようなものがあり、それを指で押し込むと柄から青色に光る光の剣が目の前に出てくる。そしてそれを手元でくるくるよ回す。
「マジかよ…」
俺、ジオノーシスの戦いに入っちゃいました。
~後編に続く~