島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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りあむちゃんファンの方々ごめんなさい。

りあむちゃんを最初に見た時アスフォルトちゃんにしか見えなかった…。

恐らくこれはりあむちゃんじゃない!って言われるかもしれませんが、どうかお許しください!


サブストーリー「アイドル達の出会い」その2

一樹が営んでいるカフェ「島村喫茶」その喫茶店にはアイドルがやって来ることもある。だがそれを知っているのは極わずかな人間だ。

 

ドラマ出演という大きなことを成し遂げた(本人の意思ではない)一樹の喫茶店は以前の数倍の客を手に入れていた。誰かが日本のノー〇ン・リー〇スが営んでいる店があるという書き込みがSNSに投稿されたらしく、瞬く間に店は繁盛していった。

一樹としては店の売り上げやリピーターの客が増えるのは大変ありがたいが、あのパクリにも等しいドラマのおかげであることは認めたくなかった。

 

そんな繁盛している店を一人で切り盛りしている一樹の目の前にまた飲んだくれている未成年がいた。

 

彼女はサイダーを注いでいたジョッキを片手に持ち、机に突っ伏している。

 

「はぁぁ~~……やむ」

 

「………(帰ってくんねえかな…)」

 

アホ毛が立っているピンク色のボブカットで青のインナーカラーも入れている巨乳少女をめんどくさそうな顔をしながら見つめる一樹に少女はジョッキを少し上にあげた。

 

「まだ飲むのかよ…」

 

意味を受け取った一樹はジョッキにサイダーを注いであげることにする。

おまけで出したピーナッツのおつまみを一粒口に入れてサイダーを飲む。

 

「…(オッサンだ…)」

 

「ノー〇ンさ~ん…おつまみ無くなりました~…はぁ…やむ」

 

心底面倒になったのだろう、一樹は面倒臭くなりさっきまでおつまみが入っていた小皿を下げて先ほど厨房で焼いた餃子を山盛りに盛った皿をりあむの前にだした。

 

「え~っと…夢見りあむ…で良かったよな…あのさあ…一応聞くんだが、何があった?」

 

実は彼女と一樹は面識がある。それは一樹がドラマの撮影中にこの夢見りあむと島村一樹は出会っている。最もりあむはエキストラとしての役だったので一樹としては印象はすっごく薄い。というか名前しか知らない。アイドルだっていうのはわかるがそれ以外のことは全くというほど知らないのだ。

何事もなく帰ってほしいのだが、このままでは帰ってくれないだろうと踏んだ一樹はとりあえずりあむという少女の話を聞くことにした。こういう輩に限ってアイドル仕事がうまくいかなかったとかで悩む連中が多い。今やここはそういう人間の集まりにもなりかけているのも事実だ。

 

それを証拠にあるアイドルがお酒を飲みながら女子会をして朝の8:00まで居座ったことにより出禁になったエピソードがあるが…これはまた別の機会に話そう。

 

今は眼前の19歳の未成年の飲んだくれをどうにかするのが先決である。

 

「聞いてよぉ~ノ〇マンさん…」

 

「まずそのノー〇ンさん呼ばわりをやめろ恐れ多いわ」

 

「せっかくアイドルになったのにぃ~…アイドルって尊い存在だと思わない」

 

「……」

 

「なのにさぁ…せっかくSNSにぼくがアイドルになったことを上げたら…炎上した」

 

「……」

 

「アイドルは尊いんだよぉ~…なのにボクがそのことを書き込んだだけで炎上…これどう思う!?ひどくない!?やまない!?」

 

「割とどうでもいい」

 

きっぱりと切り捨てた一樹にりあむは食い下がる。

 

「なんでさぁ~!!アイドルだよ!?尊い存在だよ!?ふつうもっとちやほやするでしょ普通!!」

 

「どうでもいい」

 

「他のアイドルはみんなキラキラしてるのに…なんかボクだけこんな風だから…」

 

「迷惑かけてるってか?なら自分が足引っ張らないように努力するしかないだろう」

 

「ボクの嫌いな言葉は一番が努力で二番が頑張るなんだよ」

 

「はっ倒すぞテメェ」

 

「ボクはちやほやしてほしいだけなんだよぉ~!」

 

彼女の要点はこうだ。アイドルとは尊い。自分もそんなアイドルのみんなみたいなイメージを持たれたい。でも努力するのは面倒くさい。でもちやほやされたいんです。心が病みそう。以上。

 

ここまでの話を聞いた一樹の行動は勿論。

 

「ああ~そうだなぁ~ちやほやねぇ~まあ頑張れや『ヤムチャ』」

 

これ以上話を聞いてらんなくなった一樹は逃げるように厨房に戻ろうとするが、ガシッ!と何かが一樹の服を掴んだ。後ろを見るとそこにはテーブルからカウンターに身を乗り出し一樹の服を掴んだりあむの姿があった。

 

「店主さんまでボクを見捨てないでよぉ~!!」

 

ついには泣き出す事態に発展。

 

「えぇ~い!離せこのヤロー!大体、ちやほやされたい以前にお前目立った実績も出演も何もしてねえだろう!今日だってゾンビ役で出てたじゃねえか!そういうことはもっと出演回数を上げてから言うもんだ!ぱっと出のお前がいきなりちやほやされるわけねえだろうが!」

 

「で~も~!ちやほやされたいんだよぉぉ~!!」

 

ここまでのくだりを見て客はこう思ったそうだ。

 

「「「(店主さん可哀そう…)」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間がたち店じまいになった喫茶店のかたずけをしていた一樹はすっかり泣き疲れたりあむをしり目に閉店の準備に取り掛かっていた。皿洗いも済ませてテーブルを雑巾がけして掃除を終わらせた頃、まだりあむは寝ていた。

 

「オイ…夢見起きろ…」

 

ゆさゆさと肩に手を置き身体を揺さぶってみるが、彼女は起きようとしない。完全に場酔いにより全てをぶちまけたことにより泣き疲れた状態だ。

 

「…しょうがねえな…」

 

今の時間は夜23:48。もう帰りの電車もないであろうこの時間に一樹が車を出すにしてもりあむの住所がわからない。だからと言いこのまま寝ている彼女をおいて置いておくのも気が引ける。一樹は彼女の身体をお姫様抱っこをするような感じで抱き上げて自室のベットに寝かせてあげた。

 

「まったく…俺は面倒な娘を持つ父親かっつの…」

 

などと愚痴をこぼしながらエプロンを取り机に置いてソファに座る。

 

「あぁ~疲れた…やむ…ハッ!」

 

いつの間にか彼女の口癖が移ってしまったのか言葉を口に出した瞬間しまったという顔をする一樹。

 

「イカンイカン…落ち着け…」

 

電子タバコを手に取りそれを口に付ける。

 

ふとベットに寝ているりあむを見てみる。

一見普通の美少女。アイドルとして選ばれるのもわかる容姿はしている。背も小さく、胸が大きい。マニアックな人がいれば大ウケ間違いなしだろう。因みに一樹はこのシチュエーションになんのときめきもなければやましい気持ちも起きなかった。

 

「ん?」

 

ふと一樹は彼女の手に付けているリストバンドを見た。そこから覗いている切り傷のようなものを発見したのだ。

一樹はそれが気になってしまい、そのリストバンドをめくってみた。

 

「…これは…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。

 

「…ん…?」

 

時間は朝7:00に目を覚ましたりあむ。辺りを見てみるとそこは自分の部屋ではなく知らない部屋。りあむは戸惑っていたが、すぐに昨日のことを思い出す。

 

「そうだ…ボク、昨日店主さんに…」

 

「おはよう…夢見…」

 

横のソファーに座っていた一樹がりあむに声をかける。その声色は低く、怒りを隠しているような感じがした。

そんな声を聴いたりあむはビクッと震えた。

 

「起きてすぐで申し訳ないんだが…お前自殺しようとしたか?」

 

「えっ?」

 

「リストバンド…」

 

自分の手首に付けていたリストバンドを見てみると、そこから小さく見える白い布。包帯が巻かれていたのだ。彼女の手首には薄くではあったがリストカットの後があったのだ。一樹はそれに包帯を巻いてあげたのだ。

 

「あっ…こ、これは!ふざけてリストカットしてSNSに乗せてさ!案の定炎上…」

 

「ふざけんなぁ!!」

 

ついに怒りの頂点を突破した一樹の怒鳴り声が部屋に響き渡った。一樹はソファーから立ち上がりりあむの正面を向いてさらに怒鳴る。

 

「『ふざけてやった』?『炎上した』?お前ふざけんじゃねえぞ!もしものことがあったらどうするつもりだった!?ちやほやされたいからの理由でそこまでするなんて…馬鹿なのか!!!?」

 

一樹の本気の怒鳴り声。赤の他人であるりあむに向けられた怒鳴り声はりあむは言葉を発せなかった。

 

「ぁ…ぅ…」

 

「…二度とすんじゃねえ…絶対にすんな…」

 

怒りの言葉に混じった心配の言葉。りあむは小さくやっと言葉を発した。

 

「ご…め……なさ……い……」

 

目から流れる涙を見て一樹は手を頭に置き髪をかき上げた。

 

「はぁ…」

 

そしてりあむの目の前まで来て、中腰でりあむの目線で一樹は言葉を口にする。

 

「りあむ…お前…ここに仮住まいするか?」

 

「…ふぇ?」

 

「…正直お前を放っておくのは心配だ。身近にいてくれた方が監視しやすい。お節介なのもわかる。俺が口出しするのも間違ってるのもわかる。だが、俺はお前みたいに孤独だった頃もあったから気持ちは痛いほど知ってる。認めてほしい…自分という存在を証明したい。だからバカなことをして目立ちたがる。心の底ではいけないことだとわかっていてもやってしまう…りあむ…俺はお前の味方になってやりたい。親御さんにも連絡するし、お前がその気ならここに住んでもいい」

 

「でも、迷惑じゃ…」

 

「最近喫茶店を移転してなぁ、なんの気を利かせたのか空き部屋がたくさんあるんだよここ。だから空き部屋でよければ使っていいぞ。まあ強制しない。お前次第だ。その代わり、ここに住まう以上店のことを手伝ってもらうぜ。『働かぬもの食うべからず』だ」

 

「ボ…ク…は…ボク…は…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄さん!オーダー!日替わり定食2つ!」

 

「あいよ!りあむ、そこのハンバーグ定食を3番テーブルに」

 

「えぇ~…やむぅ…けどわかったよ!」

 

そこにいたのはメイド風の制服を着て働くりあむの姿が確認された。一樹の説得により親御さんは納得。一樹の家に仮住まいすることになった。

 

「りあむさん、いきいきしてますね…」

 

お昼のランチに来た武内にカツカレーを前に出す一樹。

 

「そうでしょう…俺の罠にかかったことも知らずに…キッヒッヒッ…」

 

「わ、…罠?」

 

そう、一樹は罠をりあむにしかけた。そもそも一樹がりあむの親御さんどう説得したか…というと、今のりあむの怠け癖は一朝一夕には治らない。だから長い時間をかけて直して社会適合させるようにする。それが一樹が提案した内容だった。勿論このことについて親御さんは即座にOK。りあむは晴れて一樹の店のアルバイトを得て尚且つ理解者の家に住むという資格を獲得していた。

 

「…鬼ですね…」

 

「あれも半人前とはいえアイドルだ。怠け癖さえなくせばアイドルとして頑張るはずだ…プロデューサーとしてはその方がいいだろう」

 

「ええ…まあ」

 

「まあ、長い目に見ましょうや…俺はあいつを見捨てる気もないですし、信頼を裏切る気もないです。だから見守ってやってくださいよ」

 

そういいながら一樹がりあむに向ける眼差しはまるで卯月に向けるのと同じような眼差しだった。

 

「お兄さん、料理運んできました!」

 

「OKだ!そろそろ休憩に入れ。まかないのハンバーグ作ってやったからそれ食いな」

 

「やったぁー!お兄さんマジ神!…あっそうだ!お兄さん!」

 

「なんだ?」

 

りあむは少し頬を赤くしながら一樹に笑顔で答えた。

 

「…すこ!」

 

それだけを言うとりあむは厨房の奥に姿を消したのだった。

 

「すこ…?武内さん、すこってなんだ?」

 

「す、すいません…私もわかりかねます…」

 

恋する乙女はただ前に突き進んでいく。だがそれに気が付くのはさらに先になりそうだった…。

 

一樹が営んでいるカフェ「島村喫茶」その喫茶店にはアイドルがやって来ることもある。だがそれを知っているのは極わずかな人間だ。

 

今日も喫茶店にアイドルが来店する。




今回の話は最近実装された新規アイドル夢見りあむちゃん!(遅い)

今回こんな話にするに至ったのはりあむちゃんを色々調べていくにつれてりあむちゃんには暗い過去があるんじゃないか?と考えてしまいました。

恐らくりあむちゃんのことだからリストカットしてSNSに投稿してーとかもやりそうだったからです。

口調に関しては正直調べてもそんなに詳しいところまでなかったのでこのような口調になりました。

今回の加入で本編にもちゃんと出していく予定です!

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