島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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友人「・・・何してたんだ?」
作者「・・・仕事してました」
友人「そうか・・・そう言えば、COD:WWⅡストーリーどうだった?」
作者「まさなあんな展開になるとは思わなかったぜ!主人公の友の思いが強く、戦場にもどるところなんて感動もの・・・あ」
友人「覚悟は良いか?俺は出来てる・・・」

後書きにつづく


Round.9

一樹の後輩である木崎京介の初試合が始まり、状況は京介が押されてしまい劣勢であった。開幕オープニングヒットからのダウン。さらに相手猛攻に為す術も無く、第1Rが終了してしまった。

だが一樹は唯一京介が優勢になるものを見つけ出した。

 

卯月「えっ、京介君が勝てるかもしれない!?それは本当ですかお兄ちゃん!」

 

一樹「まあ、京介がそれに気がついたらの話だ。頭が冷静で物事を考えれる状態でいる事を祈るのみだ」

 

一樹は京介のいるコーナーを見つめる。

 

凛「お兄さん、後輩君が勝てる方法って?」

 

一樹「川中を見てみろ。後数秒でゴングが鳴るのにまだ息が整ってねえ。奴は焦ったんだ、だから1Rから全力で潰しにかかった。お前らも動きすぎたら息切れぐらいするはずだ・・・ダンスするさいに必要な条件、技術もそうだがもう一つ大事な事があるはずだ」

 

「『セコンドアウト!』」

 

ついに第2Rが始まる。セコンド陣はリング外に出て行きそれぞれ選手を見つめる。

 

一樹「その答えは、すぐに分かるハズだ・・・」

 

カァァーン!!

 

ゴングの音と共に動いたのは川中だった。川中は一気にケリを付ける為に京介に向かってダッシュ。その間合いを一気に詰め込み先ほどのラウンドのように拳を京介に叩きつける。

京介もガードをしてなんとか耐える。だがその打撃はガード越しに伝わってダメージになっていく。

 

一樹「チッ・・・やはり逆転は難しいのか・・・さっきのラウンドでダメージは抜けてない。しかもあの連打の押収だ。俺の・・・いや、俺以上の力を持ったボクサーの力だ。おまけにダッシュ力もあるから簡単に逃してくれない・・・。こいつぁまずいな・・・」

 

武内「・・・いつかの試合を思い出しますね」

 

一樹「俺の初試合か?確かに見せれたもんじゃ無かったな・・・あれは・・・ドロドロの泥試合だったなあれは・・・だが逆転を掴む一手ではあった」

 

京介「(そう、このままではじり貧・・・打つ手なし、逃げることも出来ない・・・檻の中に閉じ込められたようなこの感覚・・・俺は勘違いしていた。あの人の背中を追いかけてきたからこそ、この試合は・・・この戦いは・・・一樹さんを追うためだけの戦いじゃない・・・俺の為の戦いだ!!)」

 

ガードを解き、川中に向かって抱きつく。

 

川中「なっ・・・!?」

 

CPメンバー「「「えっ?」」」

 

一樹「ッ!(クリンチ!京介のやつ、気がついたな)」

 

京介は全く離す気配を見せない。川中もなんとか突き放そうと試みてはいるがなかなか京介が離す気配を見せない。ついにはレフェリーが割って入ろうとする。

 

レフェリー「ブレイクだ、離れて!木崎!!」

 

だが京介は粘る。出来るだけ相手を自分の身体に引き寄せ密着して動こうとしなかった。

そんな場面を見せられ、観客からは非難の声が上がり出す。

 

「何やってんだ!」

「抱き合ってたら勝負にならねえだろうが!」

「もっと殴り合えよ!」

 

一樹「いや、そのまま行け!周りの声なんて気にするんじゃねえ!」

 

「何だと!?」

「テメーあの卑怯者の味方すんのかよ!」

 

一樹の声援を聞いた観客は一樹を睨み付けながら一樹にも非難の声を浴びせる。それは一ボクシングファンとしての言葉なのだろうが、一樹からしたらそんなのはどうでも良かった。

 

一樹「あ゛ぁ゛?」

 

凄まじくドスの入った声が観客にまるで右ストレートのように降りかかる。観客からしたら一樹の顔は悪鬼羅刹のように見えるだろう。「「ヒッ」」と小さな悲鳴を上げるとそれ以上何も言わずリングに視線をゆっくりと戻した。

 

卯月「お、お兄ちゃん・・・怖いです」

 

凛「ボクシングの事になると頭いっぱいになるんだね・・・」

 

未央「お兄さんの前ではボクシングの知識無しで話しは禁止だね・・・」

 

CPメンバー「「「そうだね・・・」」」

 

 

 

その頃のリングではついに川中は強引に京介の腕を離そうとする。力を込めてついに京介の腕を振りほどいた。そこからなんとか距離を取ろうとするが京介は逃がそうとしない。再び距離を詰め、腕を川中の身体に回しクリンチする。

 

川中「(この・・・!)」

 

レフェリー「ブレイクだ!離れて木崎!減点するぞ!」

 

その時、

 

カァーンカァーンカァーン!!

 

ゴングが鳴った。

 

一樹「よしよしよし!それでいい。疲労しきった身体で最大の一撃を撃つには相当のリスクが伴う。だが試合中に疲労を回復する方法はいくらでもある。一つは破壊力のある拳を放ち威嚇させ簡単に近づけさせないようにし牽制し合う状況を作る。そうすれば放った相手は動くことをせず体力を回復することが出来る。さらに威嚇により相手はいつ来るかという精神的不安により肩に力が入りっぱなしになりそのまま疲労蓄積が続く・・・そしてもう一つが・・・クリンチによる疲労回復・・・。一見したらただクリンチして悪あがきをしているように見えるがこれもボクシングのテクニックだ・・・特に京介には今のような作戦が一番良い。力負けしてしまった今の状況で威嚇をしたとしても1ラウンドでのあの様子で相手には京介に力が無いと言うことはもうバレているはずだ・・・」

 

武内「では、先ほどのクリンチは体力を回復するための・・・」

 

一樹「ああ、プラスαクリンチして川中は突き放そうとあの手この手を使うハズだが、それでも京介は根性を見せた。一度離されたにもかかわらず再度クリンチして時間を稼ぎ2ラウンド目を乗り越えた。押せ押せだった川中からしたら面食らっただろうよ。それにより精神的ダメージと疲労によりぐったりだ。なんせ無駄な体力を使っちまったんだからな」

 

凛「無駄な体力?もしかして、後輩君が勝てる方法って・・・」

 

一樹「凛は察しがいいな。そう、京介が勝てるただ一つの方法は・・・カウンターだ。川中は決定的にスタミナが少ないんだ。今までの試合が1ラウンドでKO勝ちしていたのはスタミナが無かったため、だから1ラウンド目に一気にケリを付けようとした。奴の心の中では『早く倒れろ、早く倒れろ』と焦りながら思ってただろうな。だが1ラウンド目にケリがつけれなかったのがイタい。後は京介の体力が戻っていることを祈ろう」

 

一樹は腕を組み静かにリングに視線を戻す。次が3ラウンド目になる。この時、一樹は確信していた。

 

 

このラウンドで全てが決まることを。

 

 

「『セコンドアウト!』」

 

 

両選手がリング中央に戻り拳を構える。さっきまで満身創痍だった京介の息は整っている。対しての川中は疲労が顔から出ている。息は荒くなり、構えた腕は重そうに小さく小刻みに揺れていた。

 

レフェリー「ボックス!」

 

カァァーン!!

 

運命のラウンドが動き出した。

 

動き出したのは、京介だった。

 

京介「シッ!」

 

軽く放ったジャブ。そのジャブが、川中の顔にバシィン!と命中した。

 

川中は避けようともしない。いや、避けようとしないのではない。避けれないのだ。

 

京介「(やはり体力は無くなって動きが鈍くなったか!このままジワジワ行かせて貰う!)シッ!シシッ!」

 

次々と放つ京介のジャブが面白いように当たる。当たる。当たる。今までは押せ押せだった川中の身体はまるで20㎏の重りを体中に付けているような感覚が襲いかかっていた。京介のジャブをかわせることも出来る。頭では分かっている。避けなければいけないという思考と身体が追いつかない。

 

一樹「今の川中では思考と身体の動きが追いついてない。急速にスタミナを使ったことにより疲労が莫大な借金のようにのし掛かってきた。スタミナが無いという欠点をダッシュ力や試合結果でごまかしていたが、中身を見たら玉手箱を開けた浦島太郎だ・・・」

 

美波「上手い例えですが、それでも油断はできないんじゃ・・・」

 

一樹「果たしてそうかな。確かに京介のダメージは抜けてない、どんなにクリンチで体力を回復する時間稼ぎをしたとしても試合を見てた通り、京介を一撃でマットに沈めるようなハードパンチャーの一撃を食らったんだ。数分でダメージは抜けきらない。だがそれは川中も同じだ。現在進行形で川中はスタミナ切れという自体を起してんだ。肉体的疲労と1ラウンド目で勝負を決められなかったこととあれこれしてクリンチ居続けて2ラウンド目に無駄な体力を使ったという精神的疲労。自慢の力任せの一撃に頼りたいが、それよりも先に身体が追いつかねえ。表情から見てもあからさまに疲れが見え見えだ。京介もそれを感じてるハズだ」

 

未央「な、何だかボクシングって奥深いね」

 

一方的に京介のパンチが川中の顔をとらえる。精神的追い詰められた川中は最後の悪あがきと言わんばかりに

 

川中「ぬぁああ!!」

 

雄叫びを上げながらついに川中はスピードでは刃が立たないと思い大ぶりのパンチを放ち出す。その一振り一振りがブゥン!ブゥン!と大きな風切り音が鳴る。

 

武内「あれは怖いですね」

 

一樹「あれしかねえんだ。今の川中と京介じゃあスピード差が有りすぎる。だから大振りのまぐれ当たりしか手がねえんだ。(そして、あれ(・・)を打つチャンスだ。大振りで振り回すということはモーションは大きく動きが読みやすい。そこに打ち込めば相手に二倍のダメージを与えられる。一発で形勢逆転!京介、後はお前の度胸次第だ!)」

 

京介「(そう言えば、一樹さんにこんなこと言われたな・・・「カウンターを上手く打つコツは度胸だ」って・・・俺は正直、一樹さんに憧れこの世界に入った・・・その背中に追いつきたい。肩を並べたいって。だから同じ階級で、同じスタイルで行けばその差は縮まると思い込んでいた。でも違う。これはそれだけの戦いじゃねえんだ!これはその為の第一歩なんだ!)」

 

シュッ!

 

川中のパンチの勢いを利用してタイミングを見てパンチを出す。そのパンチは川中の顔面に吸い込まれるようにたたき込まれた。

 

バシィン!

 

もはやパンチと呼べる代物の音ではない異音を放ち、京介はそのまま殴り抜けた。カウンターをたたき込まれた川中の身体はまるで一瞬だけ重力が働いていないように宙に浮き、マットに背中から倒れ込んだ。

 

それを見ていたCPメンバー。開いた口がふさがらないとはまさにこの事だ。武内を含めた全員が口を開けたままリングを見ていた。

 

レフェリーが川中に近づき状態を確認する。川中の身体は小刻みに痙攣を起している。それもそうだ。疲れていたとはいえ自分の力任せのパンチの威力がそのまま2倍の力で自分に跳ね返ってきたのだ。これで倒れなかったらそれは相当な打たれ強い怪物だ。

レフェリーは試合を続行出来るような状態ではないことを悟ったのだろう、上空高く腕を上げ振る。

 

カァーンカァーンカァーン!!

 

試合は終了した。そして京介は最初何が起きたのか分からなかったのだろう。惚けた顔でじっと川中を見ていた。

 

勝ったのだ。それは紛れもない事実だ。

 

京介「・・・っ・・・よっしゃああああああ!!!」

 

喜びのあまりに京介は両腕を上げ歓喜の雄叫びを上げる。

 

「よくやったぞ!木崎!!」

「大逆転だったなぁ!燃えたぜ!!」

「今度の試合も見に行ってやるぜ!」

 

観客からの拍手がまるで雨のように降り注いだ。そう、京介は勝ったのだ。

 

未央「やったね、後輩君勝ったよ!」

 

卯月「はいっ!」

 

李衣菜「最高にロックな試合だったよ!」

 

CPメンバーも歓喜の声を出し、拍手を送る。だがその中で一樹は苦い顔をし腕を組んだまま京介を見ていた。それにいち早く気づいたのは横に居た武内だった。

 

武内「どうしました?せっかく後輩さんが勝ったというのに」

 

一樹「・・・あ、あぁ・・・うん。嬉しいさ。後輩が初試合で勝ったんだ。嬉しくないはずない(言えねえ・・・まさか賭けに京介が負ける方に賭けてたなんて、こいつらの前では絶対に言えねえ・・・こいつらが居るから勝ってもらわないとって言ったが、まさか勝つとは思わねえよなぁ・・・スタイルも分からない奴の初試合だもんなぁ・・・まあ、それはともあれ・・・おめでとう、と言うところだな。良くやったな。京介)」

 

智絵里「卯月ちゃんのお兄さん?」

 

一樹「えっ何!?」

 

かな子「どうしたんですか?暗い顔して・・・」

 

凛「・・・まさかお兄さん・・・」

 

一樹「いや!何でも無いよ!?何もないでもざいまするですことよ!?」

 

みく「まさか、トトカルチョの件じゃ・・・」

 

一樹「違う違う!負けたとかねえから!決して京介が負ける方に賭けたわけじゃねえから!!」

 

未央「まだ何も言ってないのに慌ててるのがまた怪しい・・・」

 

みりあ・莉嘉「あやしー!」

 

きらり「あやしいにー!☆」

 

一樹「だから違ぇんだってばよぉぉぉぉ!!」

 

KOタイム:3R2分17秒

木崎京介

1戦1勝

1KO

 

フェザー級初試合 初勝利




友人「さあ、選びな・・・バスターソードか、日本刀か・・・」
作者「ひ、ひと思いに重いバスターソードで・・・」
友人「(NONONO!)」
作者「日本刀・・・?」
友人「(NONONO!)」
作者「りょ、両方!?」
友人「(NONONO!)」
作者「刃物全部!?」
友人「(YesYesYes!)」
作者「もしかして無限の剣製ですかぁぁぁ!?」

友人(エ○ヤ)「YesYesYes!Unlimited Blade Works!!」

作者「ぷぎゃぁぁぁぁ!!!?」



・・・・・・次回もよろしく、ボックス!!

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