島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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さてさて、自分なりに面白い展開に出来たはず・・・。


Round.8

遂に始まった京介の初試合。一樹達一行は京介の試合を見る為に観客席で見守っていた。京介の相手は一樹と同じインファイター、華麗なウィービングで相手の攻撃を避けていき、左アッパーをかまそうとした時、京介の拳は空を切り、逆に相手にオープニングヒットを許してしまう。

 

一樹「畜生!最悪な展開だ!!」

 

拳を自分の膝に叩きつけ悪態をつく一樹。

 

一樹「(オープニングヒットを許してしまってしかもダウンした。始まってまだ数秒しか経っていないのに…!このダウンは精神的にも来るぞ…)」

 

会場の表示板を見ると時計にはまだ2分32秒という文字が映し出されていた。

 

レフェリー「1!」

 

レフェリーがカウントをとりだす。京介は肘をリングにつけたまま動かない。

 

一樹「京介立ち上がれ!まだお前の実力を見せてもらってないぞォ!!」

 

観客席から立ち上がり大声を出す一樹。それほどまでに今のダウンはきつい。まだ始まって十数秒しか経っていないのに1度目のダウン。次ダウンすれば京介は負けてしまう。このままではそのダウンによるプレッシャーにより押し負けてしまう恐れがある。

 

未央「後輩君立って!」

 

美波「頑張って下さい!」

 

みりあ、莉嘉「「頑張って-!」」

 

その言葉が届いたのか京介のグローブがぴくりと動く。そしてそのまま体を起こそうと足が動き出す。

 

レフェリー「7!」

 

京介「く...うぐ...!」

 

グググと体を動かし何とか立ち上がりファイテングポーズを取る。

その姿を見てレフェリーは京介を見る。肩で息をして足もまだ震えている。だが、

 

レフェリー「ボックス!」

 

試合を続行させた。

 

卯月「やった!京介君立ちました!」

 

かな子「うん!」

 

未央「今度はこっちが攻める番だよぉー、行けぇ後輩くーん!!」

 

一樹「行けるなら苦労ない!」

 

未央「えっ...?」

 

一樹「何とか立ち上がったがそれでも一撃でダウンするようなパンチ力だ、足を見ろ、まだ震えてる。相当重い一撃だったんだろう。その上、1Rの時間は3分なのにまだ30秒しか経ってねえ。そんな短時間でダウンしてしまったんだ。身体にダメージは残ってるし加えて早々ダウンしてしまったことにより精神的ダメージも大きい。次ダウンすれば強制的に試合は終了する...あいつは今、色んなプレッシャーがのしかかってる状態なんだ」

 

みく「じ、じゃあもう勝てないにゃ?」

 

一樹は腕を組み目を閉じる。そしてしばらくすると目を開き口を開けた。

 

一樹「あるにはある。その方法は...カウンターだ」

 

武内「ですが、あの状態でカウンターは...」

 

一樹「確かに並のボクサーならまず打てないだろう。足にきてる時点でそんなこと考えれないだろうな。だがカウンターは相手の力を利用して打つ。数学的に言うと相手に2倍のダメージを負わせることが出来る。ところがどっこい、この技は下手すればがら空き状態で相手の攻撃を受ける。諸刃の剣なんだよ、カウンターは。さらに言えばあいつはまだ自分の型が分かっちゃいねえ。カウンターで逆転を取るという発送を頭で考えられるかが不安でならねえ。だが相手より力の差が有る場合相手の力を利用するしかないし、京介にはここぞという時の爆発力を持っている。それは俺とのスパーで確認済みだ。後は京介次第だ・・・」

 

一樹の解説を静かに聞くシンデレラプロジェクトメンバー。みんな不安の表情でリングに視線を送る。

 

京介「(クソッ足が・・・震えやがる!だが、ここでおめおめと一撃も与えられず帰れるか・・・何より、シンデレラプロジェクトのみんなが、卯月が、そして尊敬する先輩が見に来てくれてるんだから!かっこ悪いところなんて見せられるか!)シッ!!)」

 

颯爽と身体を前に出して打ち合いの構えを取り、ジャブを放つ。しかしその拳は空を切る。川中のウィービングも冴える。

 

京介「(避けるのも上手いじゃねえか。走り込んでる証拠だ!)」

 

ひたすらとジャブを放ち続ける。しかし、川中は京介のジャブをダッキングでかいくぐり、リバーブローを京介に放つ。

 

京介「おぐぅ!!」

 

リングに足を付けたまま京介の動きが止まる。しかしガードをあげたまま負けまいと踏ん張る。とどめをささんばかりにそこから川中の両拳の連打をガード越しに放つ。

 

バシッ!バシッ!

 

いくらガードをしていてもその上から伝わる衝撃に京介はなんとか耐える。だが、このままではじり貧なのは変わらない。

 

京介「クソッ!」

 

京介はバックステップをして距離を取ろうとするが、バックステップをしたとたん川中もダッシュ、京介との距離を詰めた。

 

京介「(なにっ!)」

 

一樹「ダッシュ力もある。本当にCライセンス持ちの新人なのか!?」

 

再びはじまる川中の連打の応酬。その攻撃に京介はジリジリと後ろに下がる。再び距離を取ろうとバックステップをするがそれでも川中のダッシュですぐに間合いを詰められ連打の雨が降り注ぐ。

 

一樹「おかしい・・・」

 

一樹の言葉に武内が反応する。

 

武内「何がですか?」

 

一樹「京介は悪く言えば虫の息だ。だが川中はカウンターを恐れているのかわからんがラッシュで京介を倒そうとしている。だが、俺から見たら川中が焦ってるように見える・・・」

 

凛「言ってる場合!?大切な後輩が負けそうなんだよ!」

 

一樹「いいか凛、試合で勝つという意思は確かに必要だ、だが時には相手を観察するのも必要だ。ただ見るんじゃない。よく観ることだ(・・・・・・・)。よく見ろ。押されてるのは京介だ。だが何で押してる奴があんな苦しい顔をしてるんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」

 

凛は言われたとおりに川中の表情を見る。連打で押しているハズの川中の表情は険しくなっていた。苦しそうにしている。

 

凛「い、言われてみれば確かに・・・」

 

一樹「(まさか・・・!)」

 

カァーン!カァーン!カァーン!

 

会場に鳴り響くゴング音。二人の間にレフェリーが入る。

 

レフェリー「ストップ!1R終了だ!」

 

二人を引き離すと既に満身創痍の京介。意識がしっかりしているのか分からないがコーナーに戻る京介。

 

一樹「長い3分間だったな・・・」

 

蘭子「ぴぃ!?」

 

蘭子の奇声に一樹はびっくりしながら横を見る。すると横では卯月がシュ~という音を出しながら頭から湯気を、口から魂のようなものが出ていた。

 

美波「た、大変!卯月ちゃんの口から魂が!」

 

きらり「卯月ちゃ~ん!しっかりするにぃ~!!」

 

みく「卯月ちゃ~ん!」

 

卯月「きゅ~・・・」

 

一樹「何やってんだが・・・。(だが京介の劣勢には変わりないにしろ、ある意味逆転の糸口が見えてきた。京介がそれに気づけばの話だが・・・)」

 

未央「ああ!お兄さんしまむーの魂がどんどん離れて行ってる-!!?」

 

凛「しっかりして!卯月!!」

 

卯月「きゅ~・・・」

 

一樹「オイバカ、少し見ない間になんかやばい事になってんじゃねえか!戻せ!早く魂を戻せ!と言うか戻ってこい、卯月ぃぃぃ!!?」

 

観客席でドンチャン騒ぎをしている一樹を見ながら京介はリングで息を整えようとしていた。

 

京介「ハァ・・・ハァ・・・何やってんだあの人達・・・(畜生・・・結局打たれっぱなしで1R終わっちまった・・・やっぱり俺、一樹さんみたいになれねえのかな・・・)」

 

里中「大丈夫か?」

 

京介「さ、里中会長・・・」

 

京介の前に現れたのは50代そこそこの男性。里中はタオルを取りそれで京介の身体に付いている汗を拭き取っていきながら耳打ちをする。

 

里中「こんなに打たれやがって・・・」

 

京介「すいません・・・」

 

里中「お前を見てると一樹を思い出すよ・・・あいつもこんな風に初試合をしたっけな・・・」

 

京介「か、一樹さんが?」

 

里中「お前の目標は一樹だっていうのは十分分かっている。だがな、戦い方まで一樹と一緒にする必要がどこにある?自分のスタイルで行け。そして相手をよく見ろ。あいつはボロボロになりながらも相手を観察していたぞ」

 

京介「観察・・・」

 

そう言われると京介は正面にいる川中を見る。川中の表情は、苦しそうだった(・・・・・・・)。息は荒く、なんとか息を整えようと必死な表情をしていたのだ。

 

京介「ッ!(そういうことか!だとしたら次は打って出る!!)」

 

波乱が巻き起こる京介初試合。その2R目が始まろうとしていた。その会場を一樹達はただ静かに見守っていた。

 




昔の漫画感出したらこうなってしまった・・・。

さて、京介VS川中戦は次回で決着!どちらが勝つか、是非期待してください!!

では・・・

ボックス!!

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