島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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自分「あ~・・・どう試合を作ろうか・・・」←はじめの一歩一話から見直し中




Round.7

京介のプロボクサー初試合。その時がついに来た。

 

「『ただいまより、フェザー級第三試合を行います!!』」

 

会場の観客が『ウォォォォォ!!!』と盛り上がりを見せる。たかが新人の試合だと思っていたら大違いだ。これは正真正銘プロの試合だ。

 

凛「盛り上がってるね。こっちまで熱気が伝わってくるよ」

 

一樹「そうだな・・・」

 

熱気は確かに伝わる。ビリビリと身体の芯までしびれるみたいな感覚が身体に伝わってくる。だが他に一樹が気になっていることがある。それは京介の対戦相手だった。

 

武内「気になりますか、対戦相手が・・・」

 

横にいるプロデューサーである武内が一樹に話しかける。

 

一樹「ええ、対戦相手・・・川中猛。俺と同じガチガチのインファイター。京介がどこまでいけるか不安でね」

 

武内「試合成績は、二戦やって1勝1敗でしたっけ?」

 

一樹「軽いフットワークや足取り、素早い連打で相手をロープまで追いやり重い一撃を連打で相手を倒す。まさに古典的なハードパンチボクサー」

 

武内「しかし、京介さんも素早さではひけを取らないと前に聞きましたが・・・相手がパワーのごり押しで行くなら、京介さんのアウトボクシングならいけるのでは?」

 

一樹「果たしてそう簡単に上手くいくものかな・・・」

 

武内「どういうことですか?」

 

武内の質問はその場にいる全員のシンデレラプロジェクトメンバーの疑問でもあった。だが一樹には不安の原因である決定的なものがあった。

 

一樹「京介が自分のスタイルが分かっていればの話だ。あの時のスパーで分かった。アイツのボクサースタイルは足を使い相手を翻弄して打ち込むアウトボクサー・・・しかもカウンター特化のな。だがアイツは俺とのスパーの時自分自身のボクシングの型を持ってなかった。自分のスタイルを分かっているのかが不安だ」

 

未央「でも相手はインファイターなんだよね?なら前にお兄さんとのスパーでやったカウンターで・・・」

 

一樹「打てるならな・・・」

 

本来カウンターは相手のパワーを利用した技だ。だがそれを打てるシーンがあるかどうかが問題だ。

 

一樹「川中は、初試合試合で1RでKO勝ちしている」

 

李衣菜「それって・・・つまり・・・」

 

一樹「カウンターを打つ前に力でねじ伏せられたら終わりだ・・・!」

 

一樹の不安を余所に試合の準備は着々と進んでいた。いつの間にか両者リング上に出ていた。一樹からしたら「ついに始まってしまったか」というところだ。だが、プロは何が起きるか分からない。それがプロだ・・・。

 

「『赤コーナー佐枝島ジム所属、125ポンド四分の一、川中猛!!』」

 

川中猛。ゴツゴツとした筋肉質の身体をしている。とてもフェザー級とは思えない身体をしている。身長も177以上あるだろう。それで125ポンドだ。異例と言われてもおかしくないだろう。一樹も身長は170センチ以上ある。それでもフェザー級の階級を乗り越えたのは全て減量をしてきたからだ。だが、それでなんとかなるような身体をしてるようには見えなかった。恐らくひどい減量量であっただろう。どう見ても四階級上の体つきだ。もっと言えばそんな体つきをしているということは、パンチの破壊力はフェザー級にとっては破格でしか無い。一樹が異例の例だ。一樹はフェザー級の中でも異例なハードパンチャーだ。その一撃一撃は岩を壊せるのでは無いかと思わせるパンチだ。ジャブ一つでも攻撃力は強い。その一撃はミドル級のパンチ力を誇っていた。つまり、それと同じだ。それとあの身長だ。身長が高いと言うことはパンチを繰り出す時のリーチが長いため身長の短い際にパンチを撃つ際のリーチが短い際に川中のパンチが先に京介を襲う。カウンターを打つのも容易ではないはずだ。

 

一樹「減量苦でへばってて欲しいな・・・」

 

美波「卯月ちゃんのお兄さん、難しい顔してるね・・・」

 

みく「あの一言だとトトカルチョに負けるのを恐れてるようにしか聞こえないにゃ・・・」

 

智絵理「み、みくちゃん、そんなこと言っちゃ・・・」

 

実際の一樹の心情は・・・。

 

一樹「確かにトトカルチョに負けるのも嫌だ・・・だが、目の前で後輩がたこ殴りにされていくのも嫌だ・・・だが・・・正直どっちも嫌だ・・・」

 

その言葉にシンデレラプロジェクトのメンバーは全員はため息をついた。

 

「『青コーナー、里中ジム所属、125ポンド丁度、木崎京介!!』」

 

一方京介は万全のコンディションだ。元々体重が軽い方の彼だからか、減量苦を感じさせないでいる。

その表情を見て一樹はほっとしていた。しかも先ほどの緊張の顔をしていない。激励の効果があったようにリラックスしていた。

 

一樹「よしっ!(初試合は緊張で身体がガチガチになって動けねえなんてこともある奴は居るが、京介は大丈夫だ。これなら十分勝機はあるはずだ!)」

 

未央「いい表情してるよ後輩君!」

 

卯月「うん、京介君なら大丈夫です!」

 

未央と卯月は京介に向かって手を振る。するとそれに気づいたのか、京介は右腕をあげてそれに答える。

 

武内「今回の試合は4回戦。4ラウンドまで続きダウンは2回したら負けのルール・・・でしたよね」

 

一樹「へえ、詳しいな武内さんボクシング好きなんですか?」

 

武内「えっ?ま、まあ・・・それなりに」

 

武内は手を後ろに回し、首を押さえる。

 

莉嘉「ちなみに、P君はボクサーで誰を応援してるの?」

 

隣にいる莉嘉が武内に問いかける。

 

武内「あ、それは・・・」

 

武内は言葉を止めて一樹の方をじっとみる。ジュース片手に持ってストローを咥えている一樹はその視線に気づく。

 

一樹「あ?俺??」

 

武内「ま、まあ・・・デビュー当時から・・・」

 

一樹「マジかよ・・・」

 

武内「日本タイトル試合、見に行きました」

 

一樹「マジかよ!?」

 

武内「後で、サイン貰えませんでしょうか」

 

武内はどこから出したのかわからない色紙とサインペンを一樹に差し出す。そんな無表情ながらもキラキラさせている武内に一樹は苦笑いするしかなかった。

 

「『セコンドアウト!』」

 

一樹「あ、ああ!ホラ、試合始まります。サインは後で書きますからとりあえず・・・」

 

武内「む・・・そうですね。大事な後輩さんの試合ですし」

 

一樹「ハァ・・・(横にアイドルが居るのにそれを横目でサインするのはお門違いも良いところだ・・・。武内さんには悪いが、ここは我慢してもらおう・・・)」

 

一方の京介はというと、リングの中心で相手の顔を見ていた。もう迷いはない。尊敬する人から言葉を貰った。しかも自分の大好きなアイドルグループが見ている。良いところを見せたいというのもある。だからこそ、気合いが入っていた。

 

「『ラウンド1!』」

 

アナウンスの言葉を聞き京介は拳を構える。一方の川中も拳を構える。

 

京介「(・・・は?)」

 

その川中の構えを見て京介は驚いた。そして観客席にいた一樹たちも驚いていた。

 

凛「あれは!」

 

未央「お兄さんと同じ・・・!」

 

そう、その構えは、両拳を顎の下を隠すように構え、相手をのぞき込む。

 

 

 

そう――――――

 

 

 

ピーカブースタイルだった。

 

 

その構えに京介は驚いた。まさか自分の初試合で一樹と同じスタイルの相手だと言うことに。だが、京介は笑みを浮かべた。

 

何故なら、京介は既に似た相手と戦っているからだ。

 

レフェリー「ボックス!!」

 

カァーン!

 

 

ゴングと共に動いたのは、川中だった。こっちのことはお構いなしにジャブ、ジャブ、ジャブ!

 

ブォン!ブォン!ブォン!

 

その音はまるでハンマーを振っている様な風切り音がした。音がそのジャブの一撃一撃が重いということを物語っている。だが、

 

京介のフットワークがそれを勝っていた。そのジャブを頭を降り避けきっている。

 

京介「(遅い!一樹さんに比べるとこんなの、スローモーションだ!)」

 

ジャブを全て避けていき、ついに京介の拳が降り注ぐ。川中のジャブを低い姿勢でかいくぐり左拳がしたから降り上がる。

 

一樹「ジャブを避けつつ相手のリズムを読み、さらに身体をしたから前にだして下からのアッパー・・・タイミングもばっちりだ!」

 

だが、予想は一樹の思っているような事は起こらなかった。

川中はその攻撃を読んでいたようにアッパーを避けた。

 

京介「(なにっ!?)」

 

一樹「(避けた!?)」

 

モーションが大きなアッパーから体勢を立て直すまで京介の身体はがら空き。そこから川中の拳がまっすぐ京介のボディーにめり込んだ。

 

京介「おぐぅ!?」

 

その一撃で、京介の膝はリングに着いた。

 

一樹「畜生!最悪な展開だ!!」

 

一樹の悪態が響く。このオープニングヒットにより、さらなる波乱が起こるのを今の一樹を含むシンデレラプロジェクトメンバーや京介にも分からなかった。

 

 




と言う訳で京介VS川中戦開始です。ここからどうするかははじめの一歩の試合を参考にしていきたいと思います。あと試合の時今回の一樹の解説のように誰が何を言っているのか分からないので喋るキャラの名前を付けて喋らせます。その方がわかりやすいと思いますので。

長い目で見ていってください。それでは・・・


ボックス!!

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