島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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今回は急いで書きました。グダグダ感は許してください。
許してくれないならあなた達の好きなアイマスキャラにお好きな技を私にかましてください。頭の中で
今回ははじめの一歩のBGMを聴きながら書きました。


Round.1

俺の朝はいつも早い。喫茶店を経営しているため、前の日と朝には仕込みをしておかないといけない。だが、俺はそれ以外にも日課にしている事があった。

 

それは『ロードワーク』だ。

 

ロードワーク、つまりは走り込みだ。朝は決まって動きやすいジャージに着替えて外に出てロードする。

引退した身で今更しなくて言いと思うだろうが、いつもしていた習慣のようなもの。やめたら逆に違和感を覚えてしまう。

 

しかし、俺がこのロードをするに至って悪い癖がある。それは・・・

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

無意識に全速力を出してしまうことだ。本来ロードワークは基本体力と足腰を鍛えるもの。それを全速力で走るということは心臓に負担を掛けるということになる。そうすることによって体力は自ずと付くし、足腰も鍛えられる。

 

今更だと思うんだが

 

 

「何やってんだ俺・・・」

 

 

 

 

 

 

 

昼のラッシュが過ぎた頃、今日もここにアイドルが三人いた。

一人は俺の義妹『島村卯月』。もう一人は黒いロングの髪と凜々しいクールな感じなのが特徴の『渋谷凛』。もう一人は短髪でハキハキとした一言で言えば・・・パッションという感じの『本田未央』

この三人は今話題の人気アイドル『ニュージェネレーション』というユニットだ。そんな人気アイドルたちとなぜ俺がお近づきになっているかというと、卯月の紹介だった。

 

今俺達は昼食を挟みながら俺が当時まだ現役のプロボクサーだったころのビデオを三人に見せていた。あまりこういうのを見せたくは無かったのだが、未央がどうしてもとせがんできたので仕方なく見せてやっている。というか見せないと帰ってくれなさそうだったし・・・。

 

そんな当時の映像を見て三人は興味津々という感じだった。

 

映像に映っている俺は両腕を顔の前に揃えるあのマイク・タイソンが使っていたスタイル『ピーカブースタイル』で相手選手が左ジャブを繰り出した瞬間相手の懐に入り込み左アッパーカットをかます。拳はそのまま相手選手の顎に向かって当たると画面越しの嫌な音が鳴る。そこを追い打ちを決めるようにチョッピングライトを放った。

相手はバタリと倒れて動かない。レフェリーが倒れた選手をのぞき込むが両腕を大きくあげて腕を振る。試合終了の合図と共にゴングが鳴る。

 

『試合終了~!!なんという幕切れ、なんという早さ!なんという強さ!たった2ラウンドで王座を守り切った日本チャンピオン!!もう国内で彼にかなう者はいないのだろうか!!遂に、遂に彼は世界に飛び出そうとしているのだろうか、島村一樹、5度目の防衛成功!!!』

 

「へぇー、しまむーのお兄さん凄い!」

 

「もう3年も前の話だ。今は喫茶店の店主だ」

 

「じゃあ、そんなお兄さんに質問。今の選手で期待出来る選手はいますか!?」

 

まるでインタビューの為マイクを近づける記者のように未央はなのも持っていない右腕を俺の目の前に出して言う。

 

「そうだな…」

 

正直今のボクシングは華がある。だがボクシングはそんなスポーツじゃないのは明白。拳と拳を、互いの練習の成果を発揮させる場所である。だからボクシングに華なんてものはいらない。力と力のぶつかる泥臭く、昔のような古風な文化のようなものなのだから。

 

…と言っても、引退した俺の言っていいセリフじゃないな。

 

「やめだやめ、引退した身だ、他人をとやかく言うつもりは無い」

 

3人の前にロールケーキを出してやる。こいつらはデザート出さないと帰らねえからな…主に未央は

 

今回は生地から何から何まで手作りで作った俺特製ロールケーキだ。甘さ控えめだから後味さっぱりするだろうしおまけに置いたコーヒーとも相性はいいハズ。反応がいいならメニューに載せてみよう。

 

「でも、何だか勿体ないな」

 

ふと凛の言葉が聞こえる。

確かに女客に受けを狙って可愛らしく作ってみたが…

 

「食うために出してんだから勿体ないも何もないだろ」

 

「え、いやケーキじゃなくて、お兄さん試合だと輝いて見えるけど、今は何かもったいないなって…」

 

……

 

「……いいからさっさと食っちまいな」

 

 

 

食事を済ませニュージェネの3人は歩いて先程の一樹の事について話していた。

 

「ねえ、私何か不味い事言っちゃったかな」

 

凛が2人に向かって言うと卯月は首を傾げる。

 

「不味い事って?」

 

「ほら、さっきお兄さんさっき私が勿体ないなって言ったら表情変えたから…怒らせたかなって…」

 

「あー確かにしぶりんが言ったら眉間にシワが寄ってたね」

 

「いえいえ、凛ちゃん。お兄ちゃんは怒ってないですよ。ただ、確かに思い当たる所があったんだと思います。お兄ちゃんはボクシングが全てでしたから」

 

「しまむーはお兄さんの事何でも知ってるね」

 

「はい!義理とは言え、一緒に育った兄妹ですから」

 

その卯月の一言に凛と未央の2人は驚く。

 

「えっ、しまむーとお兄さん血が繋がってないの!?」

 

卯月は首を縦に降る

 

「はい、お兄ちゃんはボクシングジムに泊まりがけだったんですが、私のパパとジムの会長さんが昔の知り合いらしくて、行く宛のないお兄ちゃんを引き取ったらしいです。もう10年も前の話ですね」

 

「ふぅーん、人に歴史ありってよく言ったものだよね」

 

ニュージェネの3人はそのまま一樹の話をしながら事務所に戻った。

 

 

 

 

正直言うと、俺はプロボクサーを引退してなおも刺激を欲している。今日凛が言った事を思い出し、俺はそう思った。

俺は今でももう1度リングに上がりたいと思ってる。だが俺はあの時の卯月の表情が忘れられない。俺がWBCタイトルに上がり敗北したあの時、卯月の泣きじゃくるあの表情、家族を悲しませてしまったあの時、俺は引退を決意した。

俺は怖い。敗北してまた泣いてしまう卯月の姿を見るのが怖い。全くもって情けない男だと思うよ。

 

「全く…」

 

泣きたいのは俺の方だっつーの…。




次に出すキャラ誰にしよう……迷うな……

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