島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~ 作:伊吹恋
伊吹香恋です!
今回はあの事件を島村一樹で再現しています!
それは休日の買い物の時だった。
島村一樹は彼のお店の食材買い出しに出ていた。何時もは業者に頼んだりするものだが、彼の食事に関しては話は別である。彼は今は復活したプロボクサー。食事には気を付け、バランス良い食材で調理することを心掛けている。
そんな商店街の道端にあるものが落ちていた。
「ん?」
一樹はそれに気が付く。ぬいぐるみの様な丸い玉型の物に一樹は興味本意にそれを覗き込む。
「なんだ?」
近づくと八朔の皮のような模様をしており、頭の所には丼がくっ付いている。そして正面には顔のような目と口があった。
それを見て一樹は驚き持っていた買い物の紙袋を落としそうになる。
「うおっ!?何だこれは…!?」
目を見てみると目線は左上をさしており、笑ってるのかよくわからないが口が半分ほど空いている。一言で言うと、気色悪いに近い。
「あ、こんな所にあった。ミチオくんの頭」
そこに現れたのはスーツを来た男だった。男はミチオくんという頭だけのぬいぐるみに近づく。
「こんな所に捨てて行きやがって、あのクソバイトめ」
「おい、何なんだこれは?」
一樹はぬいぐるみに対し男に文句を言う。
「あ、すいません。なんか迷惑かけたみたいで。これはですね、広島のゆるキャラ『小野ミチオ』くんの頭です」
「小野ミチオくん?」
「はい!広島の尾道の新マスコットとして売り出そうとしているゆるキャラになります」
「ゆるキャラ…」
本人があまり聞かない言葉に一樹は首を傾げる。
「あれ?ゆるキャラをご存知でない?」
「いや、聞いたことはある。こんな感じのゆるーいキャラの事だろ?」
「はい、近年では地域活性のためにこういうキャラを作ってPRする所が多いんですよ
しかし困ったな〜…中身が居ないんじゃな~」
「中身?」
「はい、実はこのぬいぐるみに入るバイトの子が逃げ出しちゃったんですよ。ちょっと言葉使いを説教しただけで、全く最近の若者はたるんでますね」
「ほう…」
「でも、実はこの後イベントがあって、そこにミチオくんを登場させなきゃいけないんです。困ったなぁ…中の人がいないと、出られないしなぁ」
「あんたが入ればいいじゃないか」
「いやいや、私は取り仕切る側ですから、私がいないとイベント自体がまわらないんですよ。それにミチオくんってゆるキャラとしては結構でかくて、しかも重いんですよね。だからある程度背が高くてガタイのいい人じゃないと長時間イベントには耐えれないんです。でも、そんな背がある程度高くて屈強そうで暇そうな男の人なんて、今から簡単に見つかるわけ………んん……?」
男は一樹をじっと見つめる。
「むう……」
「んんん!?」
一樹に悪寒が走り、冷や汗が流れ始めた。
「……嫌な予感がする」
「いたあああ!」
一樹の予感はすぐさま的中する。司会の男は大声をだし、一樹を指さす。
「ちなみに俺は入らないぞ」
すぐさま一樹は二言返事で「NO」と答えるも、イベント自体が直ぐに始まりそうで焦っている男からしたらどうでもよかった。何とか一樹に出てもらうために頭を下げる。
「いやいやいや、そこを何とかお願いしますよ!ミチオくんの中に入れそうなある程度でかくて屈強で暇そうな人なんて、もはやあなたくらいしかいない!」
「あんた失礼だな……」
「お願いしますよお!ちゃんと相応のお礼を出させていただきますから!それに、イベントを楽しみにしている子供たちもたくさんいるんです!彼らの顔をガッカリ顔にさせない為にも、お願いします!」
一樹はあからさまに嫌な顔をするが、悩んでしまっていた。
確かにこれは一樹には関係ない話だ。だが、1%でもミチオくんの登場を楽しみにしている子供たちのことを考えていた。彼もボクサー。一樹の試合目当てに来てくれたファンはいっぱいいた。もしそのファンがお目当ての試合を見れずに帰るという事をしてしまえば、一樹はファン期待を裏切るという事になる。
ゆるキャラの中には入りたくない。だが、ファンのガッカリ顔を見たくもないのも確かだ。
一樹は悩み続ける。
そして、その答えは……後編に続く。
というわけで四代目の黒歴史?を再現しました。
こちら2本立てにしています。後編近日公開予定です!
それでは、ボックス!!