東方恋華想《完結》   作:室賀小史郎

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ページを開いて頂きありがとうございます。
初めての東方物で勉強中ですが、甘いお話が書けるよう頑張ります!
因みにタイトルは東方恋華想(れんげそう)です。
理由は語呂が良かったから!

では第一回目をどうぞ♪

恋人は博麗霊夢。

デれいむです。


主人公
霊夢の恋華想


 

 博麗神社ーー

 

「ん〜、到着〜。いつもより少し遅くなったけど……」

 

 博麗神社の鳥居の前に着いた俺は、目的の人物を探して境内をキョロキョロと見渡した。

 

 すると、

 

「あ〜! やっと来た〜!」

 

 聞き慣れた声が奥の方から聞こえてきた。

 

 彼女は俺を見つけると箒を持ったまま、パタパタと俺の方へ駆け寄って、

 

「遅かったじゃない、今日は来てくれないのかと思った……」

 

 そう言って俺の胸に飛び込んできたのは、恋人である、博麗霊夢だ。

 

「ごめんごめん。今朝の田んぼの仕事が長引いちゃったからさ」

「むぅ、むぅむぅ!」

 

 理由を聞いても霊夢は頬をプックリと膨らませている。霊夢がこうなるのは『理由は分かったけど納得していない』という証拠だ。

 俺はそれが分かっていたので、透かさず霊夢の頭をポンポンと優しく撫でてやった。

 

「ほら、機嫌直して。な?」

「もっと撫でなさい」

 

 霊夢はそう言うと俺の胸に顔をグリグリと埋めてきた。どうやら機嫌は直ったようだ。

 

「霊夢……」

「何よ? まだ撫でるのやめちゃダメだからね?」

「好きだよ」

「っ」

 

 霊夢の愛らしさに耐え切れずに、俺は素直な気持ちを伝えた。霊夢は顔をボンッと耳まで真っ赤にする。

 

 そして、

 

「わ、私だって……大好きなん、だからぁ、ね♡」

 

 目を反らし、消え入りそうな声でそう告げてくれた。

 

「はは、霊夢はやっぱり可愛いな」

「う、うるさいうるさい♡」

 

 口ではそう言うものの、霊夢は蕩けた顔をしていて、声も弾んでるから全く説得力がない。

 

「さて、じゃあ今日も神様にご挨拶するかな♪」

「そ、そうね……」

 

 霊夢としてはまだ名残惜しかったのか、俺が離れると表情が少し曇った。

 そんな霊夢の頭をもう一度ポンッと一撫でした俺は、お社の前に立ち、お賽銭を入れ、いつも通りにご挨拶と豊作を祈願した。

 

 

 縁側ーー

 

 お参りが終わると、霊夢が「まだ帰っちゃダメ」と言わんばかりに俺の着物の袖を引き、お社の隣にある霊夢の家の縁側に通された。

 

「はい、お茶」

「ありがとう」

「今日は曇りだから田んぼの心配は無いわよね? 夕方まで帰らないわよね?」

「それまでお邪魔させてもらうよ」

「うん♡」

 

 それから俺は霊夢が淹れてくれたお茶をズズッとすすり、はぁ〜とまったりした息をこぼした。一方、俺の左隣に座る霊夢はニコニコと俺の顔を眺めていた。

 

「今日のお茶も美味しいよ」

「あんたにしか淹れないお茶っ葉だもの。あったり前でしょう♪ 魔理沙やアリスにだって出さないんだから♪」

「そんないいお茶を……なんか申し訳ないな〜」

()()()だから淹れてるの。遠慮なく飲みなさいよ」

「でも……」

 

 すると霊夢ははぁ〜と大きなため息を吐いた。それから「だ、だって」と口籠り、何やら顔を赤くして、モジモジし出した。

 

「?」

「だ、だから……あ、あんたは……」

「俺は?」

「わ、私の大切な人なんだから特別なの!」

 

 そう言い放った霊夢は俺の腰に両手を回し、二の腕に顔を埋めた。余程恥ずかしかったようだ。

 かく言う俺も突然の告白にエクステンドがグングン上がっている。

 こんなに可愛い生き物が居るのだろうか。

 居るよ、今、俺の目の前に!

 

「霊夢好きだよ」

「……好きじゃなきゃ許さないんだから♡」

「本当に好きだよ。霊夢」

(そんなの知ってるわよ、バカ♡)

 

 俺がちゃんと霊夢の目を見てそう言うと、霊夢は一瞬だけ目を反らし、またすぐに俺の目をしっかり見つめ、

 

「私も♡」

 

 と満面の笑みで返してくれた。

 

「霊夢!」

「わぷっ」

 

 その可愛さのあまり、俺は霊夢のことをこれでもかと抱きしめた。

 最初は驚いていた霊夢だったが、途中からは霊夢もキュッと俺のことを抱きしめてくれた。

 

(こんな娘が恋人だなんて……俺は幸せだな〜)

(好き……好き好き……好き好き好き好き好きーー♡)

 

 そのまま俺達は言葉をお互いに発しないまま、暫くの間抱きしめ合った。

 

 それからお日様も高くなり、お昼の時刻を告げてきた頃。

 

「お〜っす、お二人さん。今日も磁石みたいにくっついちゃって〜、お熱いな〜」

 

 霊夢の親友である魔理沙が箒に乗ってやって来た。霊夢は魔理沙の顔を見るなり「うわっ」と声をあげて明らかに嫌そうな声を出す。

 

「人の顔見るなり「うわっ」は無いだろ〜? 魔理沙ちゃん泣いちゃうぜ?」

「あんたがそんな軟な神経してるはずないでしょ?」

「おいおい〜、私だって乙女だぜ?」

「乙女が「だぜ」なんて口走るはずないじゃない」

「うわ〜ん、酷いよ〜! 霊夢がいじめるよ〜!」

 

 そう言って魔理沙は俺の膝に嘘泣きしながらすがりついた。

 

「魔理沙! 何してるのよ! 離れなさい!」

「まぁまぁ、俺は大丈夫だから……」

「私が嫌なの! 魔理沙!」

「え〜ん、怖いよ〜!」

 

 悪ふざけを続ける魔理沙だったが、霊夢が般若みたいな形相で御札を取り出した瞬間、魔理沙は嘘泣きを止めて急いで俺から離れた。

 魔理沙が離れると、霊夢は先程まで魔理沙がすがりついていた膝に頭を乗せた。

 

「どうした、霊夢?」

「あんたの膝を清めてるの。魔理沙に汚されたから」

「そこまで言わなくてもいいだろ〜? 私は毎晩ちゃんと風呂に入ってるぜ?」

「私の気が済まないの!」

 

 霊夢はそう言うと鼻をフンッと鳴らして、俺の膝に頭を預けてゴロゴロし出した。

 

「ところで魔理沙は霊夢に何か用事があって来たのか?」

「昼飯時だからな!」

「な〜る〜」

「魔理沙にあげる食べ物なんて無いわよ」

「貧乏だから無いのか?」

「魔〜理〜沙〜!」

「ほらほら、ケンカしない」

 

 俺が仲裁に入って霊夢をなだめるように頭を優しく撫でると、

 

「む、むぅ……」

 

 不満そうな声をあげつつも大人しくなった。可愛い。

 

「彼氏の前では鬼巫女も形無しだな〜」

「うるさいわね……いいでしょ」

「はいはい、ご馳走様……で、マジで何も食わない気か?」

「食べるわよ……お腹空いてきたし……」

「お〜、何だよ何だよ〜。なら早く作れよ〜」

「ならせめて、お賽銭入れなさいよ」

「友情はお金じゃ買えないんだぜ?」

「食べ物はお金が無きゃ買えないの!」

 

 そんなこんなで霊夢は炊事を始め、俺と魔理沙は適当な雑談をしながら霊夢を待った。

 

 ーー

 

「はい、魔理沙の分ね」

「…………」

「こっちはあんたのね♡」

「あ、ありがとう……」

「じゃあ、食べましょ♡」

「う、うん」

 

 霊夢が俺に出してくれたのはおにぎり三個とお味噌汁、大根のお漬物に焼き魚。対する魔理沙はおにぎり二個とお味噌汁のみだった。

 

「これが恋人と親友の差か……おにぎりの塩が身に沁みるぜ」

「三円で食べられるんだから感謝なさい」

「へ〜い……」

「何なら魔理沙、この焼き魚半分食bーー」

「それはあんたの分よ? 出されたら残さず食べなさい♪」

「アッハイ」

 

 笑顔の圧力に負けた俺は魔理沙に心で謝りながら昼飯を食べた。

 文句を言いつつも完食した魔理沙は食器を台所へ片付け「ごっそさ〜ん」と言って、箒に跨り空の彼方へと飛んで行った。

 

「本っ当にご飯目当てだったのね……」

「まぁまぁ、それが魔理沙の長所で短所でしょ?」

「知ってるからムカつくの!」

「はいはい、怒らな〜い怒らな〜い」

 

 俺は霊夢の頭を撫でながらなだめると、霊夢は「分かった……」と恥ずかしそうに言って俺の肩に頭を乗せた。

 

「洗い物は俺がするよ」

「悪いわよ。私が……」

「なら一緒にやるか?」

「うん♡」

 

 

 台所ーー

 

「何かこうしてると夫婦みたいだよな〜」

「そ、そうね……」

「もしそうなら幸せだな♪」

 

 すると霊夢がふと俺の隣から離れた。霊夢は俺の背後に回るとトンッと背中に頭を押し付けてきた。

 

「霊夢?」

「こっち見ないで……このまま聞いて……」

「分かった」

 

 それから霊夢は深呼吸し「よし」と小さくつぶやいてから、口を開いた。

 

「私ね……あんたが……あなたが好き! 愛してるの! お願い、ずっと私と一緒にいて!」

「霊夢……」

「唐突にごめんね……でも、それくらい、好きなの……あなたとの時間が、もっとほしいの……離れたく、ないの……」

 

 掠れた声で告白する霊夢。俺は手を止めてゆっくりと振り返って、霊夢の顔を見た。

 

「こっち見ないでって言ったのに……っ」

「こういうことは目を見て答えなきゃいけないから」

 

 霊夢は薄っすらと涙を浮かべている。それだけ勇気を振り絞ったのだろう。

 そして俺はーー

 

「ごめん」

「っ!?」

「霊夢から言わせてごめん。俺も霊夢を愛してる! 俺と結婚してください!」

「ば、バカ! バカバカバカバカ!」

「ちょ、叩くなよ、痛いって」

「もぉ〜! バカ! 愛してる! バカ!」

 

 そして霊夢はギュッと俺の胸に飛び込んできた。

 

「ごめんから始まるプロポーズなんて聞いたこと無いわよ、もう♡」

「も、申し訳ない」

「やだ」

「えぇ〜」

 

 霊夢は俺から顔をプイッと逸らし、すぐにまた俺の方を向いて、

 

「一生あんたの隣でこの事言い続けてやるだから、覚悟なさい♡」

 

 満面の笑みで言ってきた。

 思わず俺は霊夢を抱き寄せ、霊夢の唇に自分の唇を重ねた。

 

「んっ……っ……ん〜っ……ぷはぁ……♡」

「愛してる、霊夢」

「私の方が愛してるわよ♡」

 

 笑顔でそう言った霊夢から今度は俺が唇を奪われた。

 

「んふふ、私からしちゃった♡ 神様に怒られちゃうかも♡」

「お社の前じゃないから見えてないさ♪」

「じゃあ、もう一回♡」

「あぁ、何度でもしよう」

「うん♡」

 

 その後、紫さんや藍さんが突如として現れ、紫さんに俺と霊夢の結婚を反対された。

 霊夢が本気でキレそうになった瞬間、紫さんは慌てて結婚を認めてくれた。

 紫さん曰く『娘はやらんって一度は言いたいじゃない?♪』とのこと。藍さんは苦笑いしか浮かべられなかったが『お幸せに』と俺と霊夢に言葉をかけてくれたーー。




博麗霊夢編終わりです!

こんな感じのお話を書いていこうと思います!
思い付いたらなのでバンバン更新は出来ないと思いますが、頑張って書いていきます!
二人の馴れ初めとか、付き合ってどれくらいとか、主人公に能力があるかとか、細かいところは未設定です。
ご了承お願い致します。

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