旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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早く病んでもらわないとネタに走れないだろ!!

皆んなヤンデレだけど、タイプが違うから。見解の相違とかは、ありますねぇ!

今回は短かったので、急遽、おまけに「山風とわんわんらんど」を後半にくっ付けたぞ。よろしくな!


97話 黒井鎮守府ふたぐん!

「……山風は、大丈夫なのか?」

 

「ええ、時雨姉さんに任せたわ。……時雨姉さんも、僕達は道具なんかじゃないよって、慰めてくれて……。普段はちょっと過激だけど、ああ見えて私達のことを想ってくれているのよ」

 

「そうか……。海風は、そのまま山風に付いていてやってくれ。流石に、心配だからな……」

 

「ええ、それじゃ……」

 

「クソッ、この鎮守府、ヤバいんじゃないか……?」

 

はっきり言って黒井鎮守府は異常だ。

 

戦闘能力はもちろんだが、それ以上に、所属する艦娘の気性が、な。

 

確かに、司令は尊敬に値する素晴らしい人、って奴だ。

 

上官としても、人間としても、ああなりたいと思えるような、そんな男だ。

 

しかし、それでも、あんなに崇拝されるのは、おかしい。あれじゃ、司令自体も迷惑に思うんじゃないか?

 

「それじゃ、次はどうする……?」

 

初月が聞いてくる。……実は、前から、行くべきだと思ってる所が一つだけあるんだ。

 

「……地下だ」

 

「地下?」

 

そう、地下……。

 

どこでも出入り可能な黒井鎮守府の中で、唯一立ち入り禁止の場所……。

 

「あそこに何が隠されているか……、それで、司令の真意が分かるんじゃないか……?」

 

「……確かに。不誠実な事かもしれないが、あの人の隠している事が、もしも、もしも悪い事ならば……」

 

そうだ。

 

この鎮守府の記録は全部見た。司令の人となりも大体は分かった。

 

結果、司令はとてつもない善人だと、俺は分かった。

 

でも、隠されているところがただ一つ。

 

地下室だ。

 

……俺は、司令のことを信じている。だから、これは、最後の確認だ。

 

もしも、これで、何も出てこなければ、俺はこれから司令の為に命を賭して戦う。萩も、同じ意見だ。確かに、ここの艦娘は過激なところはあるが、俺だって、司令に笑顔でいてもらえるなら、なんだってしてやりたいと、そう思えるようになってきた。

 

だって、あの人は、司令は、本当の正義だから。

 

助けても見返りのない俺達に手を差し伸べてくれた、本当の正義だ。

 

だから……。

 

 

 

「……で、地下室前に来た訳だが」

 

「……開いてるな」

 

なんか、もう、怪しい。

 

「……ほ、本当に入るの?」

 

照月、恐れるな!これは、試練だ……!

 

「そ、それじゃ、行くぞ!!」

 

「ああ!!」

 

鋼鉄のドアを、開けっ、

 

『テケリ・リ、テケリ・リ……』

 

閉める。

 

……………………。

 

「な、なんかいたー!!!なんかヤバいのいたーーー!!!」

 

「な、ななななな!なんだ今の?!!!何だ今のー!!!」

 

「あわわ、あわわわわ!!!!」

 

はー、はー、お、落ち着け!落ち着け俺!!そう、そうだ、見間違いだ!!黒いスライム状の何かなんていなかった、良いね?

 

「も、もう一度だ!!」

 

「や、やめておかないか?」

 

「あわわ……、お、お化け?お化けなの?」

 

大丈夫、次は大丈夫……。

 

ドアを、開けっ、

 

「畜生!まーた湧きやがった!!死ねっ!オラオラ!!アグニ!魔力の集積!ブレイズキャノン!!」

 

ッし、閉めるッ!!!

 

……………………。

 

「戦ってたーーー!!!司令が戦ってたーーー!!!!」

 

「何やってるんだあの人はーーー!!!」

 

「も、もういやーーー!!!」

 

落ち着け!落ち着け落ち着け落ち着け!!良く考えろ、鎮守府の中に化け物が湧いて出て、しかも、それと司令が戦うなんてこと、あり得るか?いや、無い!!!

 

きっと、幻覚とか、なんかそういうのだ!!!大丈夫だ、問題ない!!!

 

「げ、幻覚だ!見間違いだ!!」

 

「いや無理だろ!それは通らない!!だって、もう、さっきから爆発音とか聞こえてくるんだぞ?!!」

 

「ひいいいいい!!な、なんか、変な鳴き声が聞こえてくるうううう!!!」

 

う、うるさい!これは、そう、局地的に地震でも起きてるんだ!そもそも、あんなおかしな化け物がこの世にいるか?司令がなんか良くわからない魔法を使うか?そんな訳ないだろ!!!

 

よ、よし、三度目の正直だ!!

 

ドアを、開けるッ!!!

 

「あー、アメフラシに近いなー。ちょっと神話生物臭さが強いけど。醤油で煮てみたけど、結構アリか?毒腺とか取れば意外と……」

 

「「「………………食べてるー?!!!」」」

 

「えっ、何?ここ、立ち入り禁止なんだけど」

 

「司令ーーー!!駄目だ!それ駄目なやつだーーー!!!」

 

「は、吐き出せ!!今すぐ吐き出せ!!!」

 

「て、提督?身体は平気?!お腹痛くない?!!」

 

「はい?何?なんなの?」

 

 

 

「……なるほど、立ち入り禁止の地下室が気になって、見に来た、と?」

 

「「「……はい」」」

 

うう、やっぱり、怒られるかな?

 

「全く……、駄目だよ?ここ、危ないから立ち入り禁止なの」

 

まあ、そりゃ、あんな化け物を見たら、な。

 

「なんで、こんな危険な部屋が鎮守府に……?」

 

「いやー、俺の持ち物がなー。色々と危険なものばっかりでなー。常人では見ただけでアウト、触ったら確実にお終い、みたいなもんもあるから。ここに厳重にしまっておかなきゃ大変だろ?」

 

……つまり、司令は、人々の平和の為に、危険なものを管理している……?

 

「俺、死んだり戦闘不能になったりすると、その場に持ち物を落としちゃうからさ?危険物は極力どこかに保管しときたい訳よ」

 

そうか、そういうことか……!

 

「じゃ、じゃあ、やっぱり、司令は正義の味方なんだなっ!!」

 

「はあ?」

 

「俺、この鎮守府の記録を読んだんだ!司令、あんたは凄い人だ!!大本営に邪魔されながらも、艦娘を助けて、人々を助けて、海の平和の為に戦っている、そうだろ?!」

 

憧れ、なんだ。誰かの笑顔を守りたい。ずっと、そう思ってた。

 

司令は、俺の憧れの体現だ。

 

俺の目指す、正義そのものだ。

 

でも……、

 

 

 

「んー?俺は、正義の味方なんかじゃないよ?ただ、自分のやりたいことをやっただけ。……好き勝手やってる分、むしろ悪党だよ?」

 

 

 

「な、なんでだ?どう考えたって、大本営が悪いだろ?なんで、自分を悪く言うんだ?謙遜、ってやつか?」

 

悪党?司令が?そんなはず、ないだろ!

 

「……大本営には、大本営の正義があるんだろ。もちろん、俺には俺の正義がある……。人は常に、自分の正義を貫いて生きているんだよ」

 

「自分の、正義……」

 

……そっか、自分だけが絶対に正しい、なんて、そんな訳ないか。

 

皆んな、自分が正しいって、そう思って生きているんだもんな。

 

「じゃあ、やっぱり、自分の正義を貫くって、悪いことなのか?」

 

「そうかもな。自分の正義を貫くってことは、好き勝手やるってことだし。それは、一般的には悪いことなのかもしれない。でもな、他人になんと言われようと気にするなよ!例え他人に悪と呼ばれても、自分のやりたいことをやらない方がずっと駄目だからな!」

 

「……司令……!」

 

そうだ!司令の言う通りだ!!

 

正義とか、悪とか、言葉に惑わされちゃ駄目だ!!

 

「……ま、自分の正義が間違いだった、なんてこともある。そんな時は、俺が、仲間達が止めてやるさ。……だから、自分の正義を信じて、真っ直ぐ突き進むんだ!」

 

「…………おう!!」

 

……そっか、正義は、俺の中にずっとあったんだ……。

 

もしも、俺が道を違えても、あの人が、司令が俺に正義を示してくれる……、そう言うことか。

 

だったら、だったら司令は……。

 

 

 

絶対の、正義…………。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

道具、あたしは、提督の、道具……。

 

役立たずは、いらない子……。

 

「明石達も酷いね、僕達を道具だなんて……。確かに、提督には恩義があるけど、だからと言って道具になるなんて間違いだよ」

 

「そ、そうよね、時雨姉さんの言う通りよ!良い、山風、貴女は道具なんかじゃ……」

 

 

 

「僕達は、提督の犬なんだから」

 

 

 

時雨、姉……?

 

「時雨姉さん、何を?!」

 

い、ぬ……?

 

「だってそうだろう?食事も、住処も用意してもらって、沢山の愛情を注いでもらえる……。でも、何も返すことは出来ない。まるで犬じゃないか」

 

「それ、は……」

 

犬、なの?あたしは、提督の、犬……?

 

「僕達には精々、目一杯提督に尻尾を振って、提督の敵を噛み殺すことしか出来ないだろう?だから、飼い主である提督と対等にはなれない」

 

提督は、偉い?あたしよりも、上……?

 

「そんな、そんな言い方って……!」

 

「何か間違ったこと言ったかな、海風。……君も、本当は気づいているんだろう?僕達の立場ってものを」

 

「それはっ……」

 

そうだ、そう、あたしは、犬。提督の、飼い犬。道具なんかじゃない。沢山、可愛がってもらえる……!!

 

「……別に、強制する訳じゃないさ。提督の妻だと思うのも、恋人だと思うのも、娘だと思うのも……、全部、自分の勝手でいい。ただ、僕達は皆んな、提督には一生かかっても返せない恩があることだけは、忘れちゃ駄目だよ」

 

「…………はい」

 

犬、犬……、飼い犬、かぁ……。

 

えへ、えへへへへへ、ちょっと、可愛いかも……。

 

「さあ、山風?もう分かっただろう?……僕達皆んなで、提督に服従しようじゃないか……❤︎」

 

「……うん、分かった……❤︎」

 

分かった。

 

全部、分かった。

 

そう言うこと、なんだ。

 

 

 

あたし達は飼い犬。

 

一生可愛がってもらえる、構ってもらえる。

 

一生幸せ。ずっと一緒。

 

 

 

だから、あたしは……。

 

 

 

あたし、は……❤︎

 

 





旅人を絶対の正義として信頼するように。例え誰であろうと、旅人の前に立つ邪魔者は悪だ、とか思うように。

山風
旅人を主人として崇拝するように。自分は走狗であると同時に愛玩動物だと考え始めた。捨てられない為にも必死に努力をする。

時雨
旅人に救ってもらった、助けてもらった恩義を返すことは、どんなに頑張っても出来ないと判断し、全身全霊をかけて仕えることにしている。旅人の走狗として戦うこと、雌犬として媚びること、その両方が生き甲斐。

旅人
艦娘には、自身の良識に従って、のびのび生きて欲しいと思っている。また、折角、船ではなく、人間の女の身体で生まれた以上、人間の女としての楽しみや喜びを味わって欲しいとも考えている。

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