鹿島がガリアンなのも、秋月型がエルドランなのも、陽炎型がライダーなのも、俺の趣味です。いけませんか?(逆ギレ)
「白米とは、美味いものだな……」
まるで、士官のような生活だ。
食事は美味い。給金も高い。娯楽も十分過ぎるくらいだ。菓子や酒のような嗜好品もあって、定期的な休みも貰える。
自室は、秋月型と言う枠組みで一部屋。だが、三、四人で丁度くらいの落ち着く部屋だ。あまり広いと掃除が大変だからな。家具は上等なものだったし、テレビや冷蔵庫に空調まである。
鎮守府の中は、基本どこでも出入り可能だ。他の艦娘の自室でもない限り。食堂は、いつ行っても大体は何か食べるものが置いてあるし、休憩室は、本当に、何でも置いてある。鳳翔がやってる居酒屋(何で鎮守府の中に居酒屋があるのか、全くの謎だが)には、酒もつまみも完備。間宮のところにも、美味いものばかり。おまけに、会議室や資料室は分かるが、体育館だの、プールだの……。温泉から農場まである。
一体、ここは何なんだ?
……こんなに、いい生活をしていて良いのか?
あ、いや、訓練は相応に厳しいが。……神通は、本当に厳しい人だ。だが、辛い訓練の一つ一つが、自分の力になっているのが分かる。
……最初、このロック装置とやらを見せられた時は、一体何の冗談かと疑ったものだが、中々どうして……。
「ご飯、相変わらず、美味しいです……!」
……まあ、秋月姉さんは嬉しそうだしな。良い、のかな?
「……でも、やっぱり、未だに信用ができないわね……。流石に、待遇が良過ぎるんじゃない?だって、もうここに来て二週間経つけど、出撃なんて一度もないのよ?それなのにこの待遇って……」
確かに。
照月姉さんの言う通りだ。
僕達は、未だに何も……。
「……照月、初月?失礼ですよ、こんなにも美味しいご飯を食べさせて貰っている相手に、不信感を抱くなんて」
秋月、姉さん……。
「でも……」
「それに!疑って安全を保つよりも、信じて裏切られる方が良い、でしょう?他人を疑いながら生きるなんて、良くないです」
……ふふ、やっぱり、秋月姉さんは、僕の自慢の姉だよ。
さて、訓練だ。内容は応用的なもの。鹿島の基礎訓練とは全く違う。
「やあっ!!!」
そもそも、鹿島もあそこで、僕達と一緒に訓練をしている。
「鹿島さん、確かに、速さで敵わないから間合いに入れないように努力する、と言うのは正常な判断です。しかし」
「えっ?!嘘、消えっ……、ああっ!!」
「……この程度の速度には、ついて来い、と言うことです。違えないで下さい」
……相変わらず、神通には容赦の二文字がまるでない。訓練で辛い思いをすればするほど、実戦で困らない、と言うのは分かるが……。
「予め言っておきますが……、黒井鎮守府の戦場で、尋常な判断など捨て去って下さいね。全ては、提督の為に……」
殆ど、視認することすらできない速度について来い、とは、何の冗談だ?
「……そして、そこ。余所見をするな、とは言いませんけれど……」
「あ、ああ、すまな……、?!」
殺気?!
「気を抜いちゃ駄目だよー?常在戦場!提督の敵は海の上にいるのだけじゃないんだからねっ!」
後ろから、苦無を振るってきたのは、川内だ。どうにか、転がって回避したが。
……常在戦場、それは、分かるが……。敵が海の上以外にもいる、とは?どう言うことなんだ?
「さて、鹿島さん?まだ訓練は終わっていませんよ。さあ、立って?……提督から譲り受けたその剣、飾りではないのでしょう?」
「くっ……!い、行きます!!」
……鹿島は、元から、剣の心得があった。それだけじゃなく、鞭を使うことも多々あった。……そこで、提督が言ったのは、じゃあ、一つにまとめろ、とのことだった。
そうして、出来上がったのは、蛇腹剣。……見るからに、技量を要求される剣だ。
鹿島は、その奇形の剣を巧みに操り、戦闘する。並みの深海棲艦ならば、瞬きする間にバラバラにされるだろう。
……これで、練度不足と言うのだから、黒井鎮守府の底が知れない。
思えば、最初に会った春雨も、その後に会った時雨と夕立も、複数の戦艦や空母の深海棲艦の死体を運んでいたな……。
つまり、黒井鎮守府の最低ラインは、単騎で複数の戦艦や空母を惨殺できるくらい、と言うとこか。……いや、冗談だろう?
「それじゃ、取り敢えずは、刃物で殺すことに慣れようか?はい、そこら辺から捕まえてきたタ級だよ。首を刎ねて、臓物を引き摺り出してごらん?」
「ヒッ……、時雨姉、こんなの、おかしいよ……」
「耳を澄ませてみて……?提督の命令が聞こえるっぽい。殺せって。沢山、沢山、敵を殺せって……」
「夕立姉さん!それは幻聴よ!お願い、正気に戻って!!」
「江風ちゃんも、ほら!早く殺してみて?大丈夫!提督は、殺せば殺す程褒めてくれるんだから❤︎ほら、頑張ってぶっ殺して、提督になでなでして貰おうね❤︎」
「わ、分かった、春雨の姉貴……。う、うおおおお!!!……や、やったぞ……。は、はは、ははははは、大したこと、ねえな……。こ、これで、提督が喜んでくれるンなら、私は……」
……白露型は、何だか大変そうだな。
何でも、白露型独自の訓練があるらしいけど……。聞いた限りでは、まるで、死んで覚えろ、みたいな感じらしい。……よく分からないけど、大変なのは分かったぞ。
「うぉりゃあああああ!!!!」
……対して、陽炎型は、蹴りを中心に様々な武術を習得しているみたいだ。
何故か、助走をつける嵐の足跡が燃えているが……?改造、改修と言うやつだろうか?
謎だ。
さて、僕もごちゃごちゃ考えている暇は無いな。明石から渡されたこの西洋剣?と盾?に一刻も早く慣れて……。
な、慣れて…………。
「……このデザイン、何とかならなかったんだろうか……?」
嫌にテンションの高い明石が、嬉しそうに持ってきたものだから、断りきれなくって……。
……何で、獅子を象っているのだろうか?何で、獅子の口から剣の柄が出てきて、刃が生えるのだろうか。そもそも、素材は何なのか……。謎だらけだ。
明石に聞いても、うちは悪の組織だから、と。悪の組織が技術力に優れるのは当然だ、などと、全く話が通じない。
曰く、使いこなせば絶対無敵だと言ってはいたが……。どうなんだろうな。
だがまあ……、
「ほらほら!その大層な剣はオモチャじゃないでしょ?当ててみなよ!さあ!!」
「くっ、川内、無茶を言う……!」
今は目の前のこと、だな。
「初月、冷静に考えるんだよ!見えなくても、軌跡くらいは読めるようになったんだから!!大丈夫、自信を持って!!」
「秋月姉さん……!!」
姉さんの言う通りだ。人間が、飛来する銃弾が見えないように、僕にも川内の動きは見えない。だが、
「………………こっちだ!!」
どっちから来るか……、それくらいは分かる!!
「…………うん、取り敢えずは合格、かな?二週間でこれなら、上出来かな」
……は、はは、突き出した剣の上に乗る、か。いよいよもって化け物だな。
×××××××××××××××
「……さて、揃ったか?」
「秋月姉さんは呼んでないわ。姉さんは、こう言うこと、あまり得意じゃないから……」
「ええ、全員」
「う、うん、いるよ……」
「よし、では早速、この鎮守府の異常についてだが……」
初月、照月、海風、山風……。なーに、この俺を差し置いて、作戦会議なんてしてるんだ!!
「ちょーっと待った!!」
「ま、待ってってば、嵐!」
「………………嵐、お前は呼んでないぞ」
んなっ?!ひ、酷いな、初月は……。
「お、俺をこんな面白そうなことに呼ばないなんて、酷いぞ!」
「ご、ごめんね、嵐が……」
萩も付いてきてくれた。助かるぜ!
黒井鎮守府の調査だなんて、絶対面白いやつだ……!そもそも、悪の組織とか看板に書いてあったんだ、怪人の一人や二人が出てもおかしくない……。
「さあ!俺と一緒に、この黒井鎮守府に巣食う悪を退治しようじゃないか!!先ずは探検だっ!俺に続け!!」
この鎮守府、めちゃくちゃ広いからな。まだ行ってないところとか、沢山あるんだ。皆んなで探検しようぜ!
「お前、この集まりの趣旨が分かってないだろ?!……良いか?この鎮守府はな、どこかがおかしいんだよ!だから、それを突き止めて、原因をどうにかする!それが目的なんだ!遊びでやってるんじゃないんだよ!!」
お、おお?怒られちまった。初月はいっつも怒ってるなー。
「……ん?でも、調査って言っても、何をするんだ?」
「………………それは」
「なんだ、決まってねえのか?じゃ、足で稼ぐしかねえだろ?」
全く、短気は損気だぜ?
「……はぁ、ま、良いさ。ただし、邪魔だけはしてくれるなよ?」
「おう!!」
あったり前だろ?
「……そう、だな。取り敢えず、工廠に行ってみないか?」
工廠……。俺の艤装を改良してくれたスゲー人、明石さんと夕張さんがいるところだな。そういや、行ったことねえや。
「そう、だね……。この鎮守府の技術力、おかしいもん。あたし達が、前の鎮守府から逃げ出して、鹿島さんに拾ってもらえるまで、それなりに今の日本を見て回ったけどさ、この黒井鎮守府程の技術力は無かったもん……」
確かに、山風の言う通りだ。この鎮守府は兎に角スゲーんだ。ワープ装置とか、ロボットとか……。えすえふ、ってやつだな!
「じゃあ、行ってみるか?」
「そうだな、お邪魔してみよう」
良し!いざ、工廠へ!!
初月
警戒心マシマシ。だが、旅人自体には好意的。今はまだまだだが、やがて絶対無敵になりそう。
照月
現状に満足してはいるが、艦娘の皆んなの態度がちょっとおかしいと思っている。そのうち熱血最強に至る。
嵐
黒井鎮守府が誇るニューヒーローニューレジェンド。あんまりものを考えてないが、サムズアップには謎の説得力がある。
鹿島
機甲界鹿島ン。まあ、群れからはぐれたミッシングチャイルドを保護してた訳やし。
旅人
鹿島と浜風はベタ惚れ、野分も距離が近い。本編に登場せずとも艦娘の好感度を上げる屑。