旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ここたま!


591話 昔話をしてあげる

年末。

 

俺の謹慎(と言う名の監禁)も終わり、年末年始の準備に入った頃。

 

黒井鎮守府は、ワープゲートを繋げ過ぎて時空間がバグってなんか大変なことになっていた……。

 

 

 

「昔話をしてあげる。世界が破滅に向かっていた頃の話よ」

 

「それを言えば現在進行形でそうなんじゃないかな?」

 

うん、まあ、そうね。

 

俺は頷いた。

 

ぐうの音も出ないので……。

 

因みに、俺にそう返したのは、艦娘の時雨である。

 

「そう言えば、新作アニメの主人公だね。おめでとー」

 

「上位世界から観測可能な別軸の並行世界の僕とか、ほぼ他人なんだけど……」

 

「いや、実際、提督はああいうシャキッとしたイケメンが良いんじゃない?今からでも……」

 

その瞬間、この部屋……、居酒屋鳳翔の中にいる艦娘が。酔い潰れて寝ていた艦娘すらもが、俺の方をじっと見ていた。

 

「アッ……、はい」

 

俺は土下座した。

 

 

 

「昔話をしてあげる。世界が破滅に向かっていた頃の話よ」

 

「あ、うん。続けるんだね」

 

「いやだって、君らが聞きたいって言ったんじゃん」

 

「今のタイミングでなのかい?」

 

「うん。最近は清掃ロボットやら洗濯ロボットやらが家事をやっちゃうから、俺の仕事ないんだもん。こうなったら昔話をするしかないじゃない!」

 

「そうだね……、うん」

 

「で、この世界は根源に近いって話はもうしたっけ?」

 

「うん、皆知っているよ。この世界は、数多もの並行世界が重なり合う、『ターミナル』的な世界だと」

 

「そうそう。世の中には並行世界ってのがある!例えば、同じ『艦娘がいる世界』でも、吹雪が主人公だったり、時雨が主人公だったりと様々な並行世界がね!」

 

無論、提督だって色々いるだろう。

 

髭面のおっさん、クソ提督、柴犬、Tヘッドなど、色々な提督がいるはずだ。

 

並行世界は無限大に広がっているのだから。

 

「そして、並行世界は何も、『艦娘世界』だけじゃない。『女神の転生から始まる世界』や『ジョースターの宿命の世界』、『確保収容保護の財団の世界』に『スーパーロボットが大戦する世界』だのといくらでもある」

 

「そして……、その並行世界が、この世界には全て含まれる、と」

 

そう言って、時雨が紅茶のカップを傾ける。

 

そう、その通りなのだ。

 

この世界は、並行世界の塊。

 

数学的に言えば……。

 

艦娘世界を、並行世界含めてAという集合だとする。

 

スタンドバトル世界をBで、女神が転生する世界をCで……、色々な世界がD、E、F……と続いていく。

 

そのAとBとCと……、という世界が円状で一部重なり合って存在しているとしよう。ベン図のアレだ。

 

「つまりこの世界は、それら全ての世界の重なり合う場所、『積集合』の世界なんだ」

 

なので、根底である基本世界とは異なる結末を迎えた集団も多い。

 

「なるほど。つまり、提督の言う『昔話』は、実は基本世界からズレているんだね?」

 

「そうなるね」

 

本来なら死んでた人が生きてるし、本来なら終わっていた世界が続いている。

 

ここはそんな世界なんだ。

 

「確かに、白露型の方でも、星の終焉及び人類種の絶滅……『Kクラスシナリオ』の発生は、週に二、三回ほどのペースで発生していると認識しているよ」

 

「そんな訳で、今日はその『Kクラスシナリオ』の過去の実例をお話しするゾ〜!」

 

そう言って俺は時雨の太ももに挟まった。

 

 

 

パターン1:最終核戦争

 

「最終核戦争だな。これは、腐れ『四文字』の策略で人の世を終わらせようとする系のアレだよ。基本的に神はそういうことしてくる」

 

「ああ、業界でよく聞くよ。かなり拙い話だったらしいね?」

 

「うん。何かね、アメリカ大使に魔神:トールが化けててね。日本でも自衛隊員の後藤とかいう男がクーデターやらかそうとしててね。かなりヤバかったよあれは」

 

「でも、今代のライドウと協力して、滅亡要因を全員倒してきたんだよね?」

 

「俺は何もやってないけどねー。無敵のライドウさんがICBMを輪切りにしてどうにかしたけどね」

 

 

 

パターン2:『天国』に到達した吸血鬼

 

「俺が知り合いの娘さんと一緒にアメリカの刑務所で服役してたら、なんだかんだで色々あって最悪の吸血鬼が復活させられて、そいつが『天国』に到達して大変なことになった」

 

「ああ……、伝説のスタンド使い、空条承太郎だね。そして、宿敵のDIO……。この話、当時はかなり大きな事件だったらしいね」

 

「うん、かなりヤバかったよアレは。超強力な現実改変能力者だからね。当然の如く財団からも確保対象となっていたし、霊的組織も、アメリカのアベンジャーズも、全部大騒ぎ」

 

「アメリカ大陸の三割が吹き飛んだんだったね?」

 

「うん。色々あってアメリカ大陸の三割が崩壊した。戦後復興に五年もかかったよ」

 

 

 

パターン3:大怪球フォーグラー&シズマドライブのあれこれ

 

「死ぬかと思った」

 

「うん」

 

 

 

パターン4:真夜中のサーカスの件

 

「死んだ」

 

「うん」

 

 

 

パターン5:『新しい血族』

 

「四回死んだ」

 

「うん」

 

「内三回はネウロにやられた」

 

「うん」

 

 

 

パターン6:『ブラックゴースト』

パターン7:ヨミ様の件

パターン8:AKIRAの件

パターン9:銃の悪魔の件

パターン10:プログラム・バンダースナッチのやつ

パターン11:『見えざる帝国』

パターン12:『ガミラス帝国』

パターン13:東京受胎の件

パターン14:終末捕食のアレ

パターン15:『エアロゲイター』

パターン16:スフィアのめんどくさいあれこれ

パターン17:『機界31原種』

パターン18:ゲッター線とか言う碌でもないあれ

パターン19:マジンガーZERO

パターン20:ラグナレクの接続

 

「平均死亡回数12回」

 

「うん」

 

 

 

……なお、ここまで俺は時雨の股に挟まれながら会話していた。

 

目の前の時雨の時雨から妖しい香りが……。

 

……ゴクリ。

 

「あと細々としたヤバいパターンはもっと多いかなあ。『闇の書事件』はワンチャン日本沈没の可能性があったし、『白面の者の件』も相当ヤバかったし、『ラストバタリオンの件』はマジでイギリスが滅びかけたし……」

 

「大変だったね」

 

「辞めたくなりますよー、この世界ー!」

 

「よしよし」

 

いやマジでね!!!

 

ちょっと目を離すと滅び始めるんだもん、赤ちゃんより目を離せないんだよ……。

 

まあその辺は誰かが必ず止めるんだけどさ。

 

でも大体、どこかで何かが起きると、世の中の悪い悪の組織(うちは良い悪の組織だ)が便乗してきて大乱闘になるから困る。

 

そのスマッシュブラザーズを収めるの、誰だと思ってるんだい?

 

……うちなんだよ!

 

今までは、俺がコネパワーで引っ張ってきたライドウさん、アサギ、空条教授、黒崎君、蒼月君辺りにゲザる(訳:土下座しまくってお願いする)ことにより、何とかしてきたのだが……。

 

最近はめっきり、うちが担当している。

 

いやそりゃ、某財団とかもさ、「世界で唯一の対滅亡秘密結社」とかならそこを頼る一択なんだけどね?

 

この世界は何でもあるのよ。

 

何でもあると言うことは、「どこか一つが一強になることは決してない」と言うことなんだよね……。

 

だから、誰かが数多くの組織をまとめなきゃならない。

 

その為のフラジール(俺)です。

 

毎回プランBなんだよなあ……。

 

時雨の股で深呼吸をする。

 

ああ、落ち着く……。

 

嫁の股の間に挟まることくらいでしか、最早安息を得られない……。

 

助けてくれ、助けてくれ……。

 

「大丈夫さ、提督」

 

「時雨?」

 

「君は僕が守るから」

 

えっそんな綾波(うちの子じゃない方)みたいなこと言ってOKなの?

 

死亡フラグとかじゃない?

 

……いや、うちの子はみんなギャグキャラみたいなところがあるからな、平気だろう。

 

というか、この世界そのものがタチの悪いジョークみたいなもんなのでセーフみたいなところは多大にあるな!

 

俺は安心して、時雨の股の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ……。

 




旅人
主体にはならないが、世界の危機となると必ずどこかから湧いて出るマンと大評判。

時雨
艦これアニメは鬱っぽいから見ないです(自己防衛)

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