旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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サイバーパンクをやっていたらもうこんな時間。


583話 旅人昔話 その3

ジルさんが、アンブレラ社の特殊部隊に連絡をする為に離脱した。

 

一方で俺達生存者と、S.T.A.R.S.の生き残りは、休憩で仮眠や食事をとるなどして身体を休めた……。

 

我々はジルさんみたいな超人ではない一般人なので、休息がたくさん必要なのである。

 

因みに、ジルさんにもサンドイッチを押しつけておいた。あの人めちゃくちゃ細いのに、どこにあんなパワーとバイタリティがあるんだ?謎である。

 

そして、暫くして……。

 

「おい!誰かいるか?!」

 

男の声が聞こえた。

 

そこには、三人の人影が……。

 

 

 

「レオンだ。ラクーンシティ市警に配属……されたんだが、まあ、今日来たばかりの警官だ」

 

「クレア・レッドフィールドです。兄を探してここへ」

 

「………………」

 

レオンと名乗る金髪の男性、警察官らしい。

 

それと、クレアという赤毛の若い女の人と、黒髪の喋らない女の人。

 

「なあ、お嬢ちゃん、もしかして……」

 

元S.T.A.R.S.メンバーのおじさん達が、クレアさんに話しかける。

 

レッドフィールド、どこかで聞いた名前だもんなあ……。

 

雰囲気や匂いも似ている、確定だろう。

 

「君のお兄さんのクリス・レッドフィールドは、あー、極秘任務みたいなアレで外国に行ってるよ」

 

「……妹の私に、連絡の一つも寄越さずに、ですか?」

 

「それは……」

 

「私達は警察署にいたんですが、そこで色々と情報を手にしました。アンブレラ社……、そしてウイルス兵器……」

 

なるほどね。

 

俺は、ブラッドの方を見たさ。

 

渋顔を作るブラッド、バリー、その他何人か。

 

当たり前だよな、仲間の妹になんて言えばいいんだって話だもん。

 

仕方ない、俺がはっきり言うか。

 

部外者の俺が悪者になればいいでしょこういうのは。

 

「……お察しの通りだよ、ミス・クレア。君のお兄さんは、アンブレラ社と戦う為に異国の地へと足を運んでいる」

 

「そんな……!」

 

「クリスの名誉の為に言っておくが、君に何も伝えなかったのは、君のことを心配して……」

 

「それくらいは分かっています!でも……、一言くらい……!」

 

うーん、その辺って難しいよね。

 

でもまあ、男の人ってそう言うとこあるから仕方ないでしょ。

 

俺も、女の人は守らなきゃなーって無意識に考えちゃうし。そう言うの嫌っていう女の人も最近増えてるけど、こればかりはどうもね……。

 

 

 

とりあえず、三人は武器弾薬の補充と飲食、軽い休憩をしてから出て行った。手持ちのサイドポーチを分けたらめちゃくちゃ喜ばれて笑えたな。

 

何でも、アンブレラ社の不正の証拠を掴みたいらしくて、その為に戦うんだそうだ。

 

俺は生き残れば別にいいかなあ?みたいなテンションなのだが、そういう正義の行いは大変結構なので頑張ってほしい。

 

いや本当に、嫌味とか抜きで。

 

俺はどこまで行っても「正義の味方」本体にはなれなくて。

 

映画で言えば、「何故だか生き残る面白黒人」みたいなポジションなんだよね。

 

巨大な悪の組織とかと戦うのは、ちょっと無理です。

 

この当時はそんな力ないし。

 

俺も、S.T.A.R.Sメンバーと何人かの戦える生存者と共に銃砲店を出発して、大学に辿り着く。

 

大学……、大学ねえ。

 

確かに凄いよ、たくさんのビックリドッキリギミックがたくさんあった。

 

黒幕気取りの変なおじさんもいた。

 

ああ、でも……。

 

「うーん、まあ何とかなるな」

 

何とかなるレベルなんだよね。

 

基本的に、一対一なら、このレベルの敵なら充分に対処できるし。

 

ええと、タナトス、だっけ?

 

二メートルくらいの大男に、鋭い爪が生えてる化け物。

 

「私の最高傑作と遊んでもらお———」

 

「いや無理」

 

背負い投げ。

 

タナトスさんが、凄い勢いで吹っ飛び、壁に上半身が埋まる。

 

「———は、え?」

 

おお、おじさんの間抜けヅラ。

 

「まず、ダメ出しさせてもらうけどさあ」

 

立ち上がったタナトスさんは、雄叫びを上げながら爪を振りかざす!

 

「このサイズだと、筋肉じゃあ、積み込めて精々人間の何十倍か?程度でしょ?それならもっとシンプルに、デカくて強くて丈夫な超大型の方が強いよ。例えば、触手で掴むだけで人間を握りつぶせる、とかさ」

 

俺は爪をいなして、合気道で転ばせる。

 

「知性と両立したかったのもまあ分からないでもないけど、このレベルの知性ならあってもなくても変わんなくない?」

 

大袈裟なフェイントにあっさり引っかかり、右往左往するタナトスさん。

 

「で、これ、フレームが人型なのも良くないね。人体の形してるんなら、こうやって武術で対処できちゃうじゃん。少なくとも、俺の知り合いの拳法家達相手なら、秒で土ペロさせられちゃうよ」

 

関節技……、腕をへし折る。

 

「あと大体にして、これってコストにペイできてんの?こんな中途半端に強い奴一体をポンと置くより、雑魚ゾンビぞろーっと並べた方が厄介だと思うよ俺は。まあ浪漫だと言われたら何も言い返せんけどね」

 

折った腕に弓の矢を刺し込み、治らないように固定する。

 

「総評……、もっと頑張りましょう?」

 

蹴りを入れて再び壁に突っ込ませる。

 

「そ、そんな!馬鹿な!わ、私の最高傑作が!」

 

俺がこのデカブツさんをあやしてやっている隙にワクチンを作っていた生存者達。

 

大量に作られたワクチンを風呂敷にぶち込み、ダッシュで逃げた……。

 

なんかこの後大学が爆発したけど、それは俺知らないやつだね。

 

爆発オチでしょ多分。

 




時雨
「あー……、それはあるね」
「人型だと、大体何やってくるか予想できてしまうから良くないよ」

夕立
「人型をした人類が、人型を壊す方法を有史以来研究し続けてきたんだから、対処の難しい人型以外にする方がアドっぽいー!」

旅人
「はい」

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