申し訳ナス。
……え?
なにこれ?
あ、明石?
えーっと、俺の過去を覗くために、俺の脳を機械に繋げて、過去の光景を映している、と。
どこでやってんの?……大会議場で全艦娘の前で発表中?
うぇあ、恥ずかしいな。
いやそうでもないか。
俺は年がら年中四六時中、当然、現在過去未来並行世界全てでスーパーイケメンハンサム色男だから、恥じる点とか何もないわ。
え?「自信家ですね?」だって?
ははは、何を言ってるんだ?
君達の恋人として、君達に恥じることなんて何もないよ。
君達の愛する俺は、世界で一番カッコいい男だとも!
……えっ?「艦娘達が嬉しさのあまりイキまくってる?」そ、そうですか。
で、俺の過去。
いつ頃?
1998年、九月下旬……?
となると、その頃は……。
『ラクーンシティ』での話か。
その日は確か、俺は知り合いの家を訊ねて……いや女の人だけどそういうんじゃないよ?これはマジ。
その人は、ジル・バレンタインさん。
S.T.A.R.S.って言う、ラクーンシティ市警の特殊部隊の一員だった人なんだが……。
「ジルさーん、生きてるー?」
「……旅人さん、来てたの?」
「来てた来てた。これ、バリーとブラッドから」
「特大ミートピザ、S.T.A.R.S.一同より……?ふふ、ありがとう」
「で、これは俺から」
「……ハンドガン?」
「無限ハンドガンだ。洋館事件Sランククリアのボーナス」
「意味が分からないわ……、でもありがとう?」
あーうん、軽く説明しておこう。
ここは、ラクーンシティ。
アメリカの街だ。
数ヶ月前、俺は、ラクーンシティの山奥にある洋館で雨宿りをしていたところ、「ゾンビ」に襲われている警官隊「S.T.A.R.S.」と出会った。
ゾンビの発生源はアンブレラ社。製薬会社を隠れ蓑にして、人間をゾンビに変えてしまう恐ろしいウイルス兵器を開発する悪の組織だ。
洋館はその、アンブレラ社の研究所だった訳だな。
俺は成り行きでS.T.A.R.S.に協力し、クリスとジルと共に洋館の面白ギミックを解きながらなんか気持ち悪い生物兵器を粉砕し、爆発四散する研究所からヘリに乗って逃げた……。
が、まあ。それでめでたしめでたしとは当然ならないよね。
外様の部外者である俺とは違い、自分の愛する街にそんなヤバい研究所があったと知ったクリスとジルは流石にキレた。
当然、ラクーンシティ市警の所長などにも、アンブレラ社の悪行を訴えたのだが……。
何故か、揉み消されてしまったらしい。
そんな訳で、元S.T.A.R.S.メンバーは皆、アンブレラ社について独自に調査するために行動を開始したって訳だ。
そんな中、ジルさんは、ラクーンシティで調査をしているそうで。
でも、味方がいなくて精神的に追い詰められているらしいのよね。
だから、俺はこうして定期的にジルさんの家を訊ねて、元気付けている訳なんだよ。
珍しくそう言う気持ちはないよ?弱みに漬け込んで口説くとかカッコ悪いじゃん。
「じゃあ俺はこれからレベッカちゃんを口説いてくるから……」
「やめなさい、彼女はまだ未成年よ?」
「俺もメンタルは十八歳なのでセーフ!!!!」
「はぁ、全くもう……」
俺がそうして、しばらくラクーンシティで女の子と遊んでいると……。
『現在、ラクーンシティでは大規模な暴動が発生しております。市民の皆さんは〜……』
「はい、またお決まりのこのパターン」
ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。
飛び交う銃声、死にゆく人々。
ヤバいと思った俺は、ナンパしている女の子と、近くにいる人々を捕まえて大通りに出た。
「ジャニアリーさん、こっちへ!」
「え、ええ」
「あんたらもこっちに来い!逃げるぞ!」
今飲んでいたバー、J'sBARの扉を蹴りでブチ破ると、十数人のメンバーと共に外へ出た。
群がるゾンビ!
だが当然、ただのゾンビに負ける俺ではない。
そもそも、まともな反射神経がある人間ならば、ノロノロゾンビに捕まらないように立ち回れるはずだ。
俺は、懐から鋼鉄の六角棒を取り出して、群がるゾンビの頸椎をバシバシへし折る。
「ヨシ!」
「ヨシじゃない!!!何なんだこれは?!!!」
おーん、ジャニアリーさん。
ハッカーなんだっけ?
パンクでかわいいね。
何なんだ、だって?
「ご覧の通り、ゾンビだよ」
俺は、頚椎をへし折ったゾンビをひっくり返し、見せつける。
禿げた頭、爛れた皮膚、濁った瞳。明らかに尋常ではないその姿を見て、生存者達は悲鳴を上げたりなんだりとする。
「詳しいことは省くが、このゾンビは、とあるウイルスに感染するとこうなる。で、そのウイルスってのが、アンブレラ社が開発していて……」
俺が説明をすると、一人の警官が俺の襟首を掴んできた。
「待てよ!お前は誰なんだ、何でそんなことを知っている?!」
その警官の胸元の名札には、「ケビン・ライマン」と書かれていた。
「あー、ミスターケビン?」
「何だよ?!」
「S.T.A.R.S.はご存じかな?」
「知ってるさ、うちの署にいる特殊部隊だ」
「俺はそのS.T.A.R.S.と秘密裏にアンブレラ社の調査をしている者だ。後で確認してもらっても構わない。表の身分的にはバックパッカーで、パスポートはこれ」
「……マオ・シンダイ?チャイニーズ……には見えんな」
「日本人だ」
「日系人か。偽装の身分証……ではないな」
「とにかく、ここにいれば死ぬぞ。脅しじゃない、本当に死ぬ」
「どうするつもりだ?」
「全くもってプランはない。だがとりあえず、知り合いに会いに行くつもりだ」
「こんな時に何を……!」
「その人は、元S.T.A.R.Sだ。今どうしてこうなっているか、知っている可能性が高い」
「待ってください!」
おや、日系人。黒髪の女性が声を荒げた。
「真相の解明とか、私はどうでもいいです!まずは、安全なところに逃げましょうよ!ここで言い合いをして、何の意味があるんですか?!!」
うーん、まあそれはそう。
そう思った俺達は、移動を開始する訳だな。
旅人
「まただよ(笑)」
明石
「なるほど……、大体いつものですね」
「また美人さん引っ掛けてー!プレイボーイですねえ!このこのー!」
夕張
「え?別に、提督が過去にどれだけ女の人と仲良くしてても、私は気にしないけど?」
「だって、今提督の隣にいるのは、私達だもん」