旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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カレーうめえ。


563話 旅人の過去 後編

えっ?

 

まだ話を聞きたい感じなの?

 

そう?じゃあ、回想を続けるけど……。

 

あー……、でだ。

 

北斗道場から独立した俺は、独自の手段で金を稼いだりなんだりをし始めたのね。

 

まあ、色んなことをやったよ。

 

最初は新聞配達。

 

それと飲食店……、あ、東北は田舎だから子供でもバイトできたぞ。

 

次にガソリンスタンド、パン屋、本屋……。

 

幸い、俺は物覚えが良くてな。大抵の仕事は少し習えば簡単にこなしたよ。

 

けど、一つのことができると、また新しい壁ができることにもまた気づいたんだよ。

 

それが……、すっごく楽しくてさあ!

 

世の中には資格とかもあるじゃん?

 

そう言うのを集めるのにもハマってさあ。

 

そうして、「できないことをできるようにする」をコンセプトに、色んなところで色んなことをやり始めたんだ。

 

その過程で、色んな人に出会って、色んな経験をした……。

 

まず、俺は小学校はほぼ行ってないんだけど、リュウケンさん……、ああ、北斗道場の師範さんね。リュウケンさんのご厚意で、近くの小学校に籍だけは置かせてもらってたのね。

 

その小学校を卒業してさ。

 

妹も、だいたいこの頃には独り立ちしてて『待て待て!その頃の妹さんは十歳くらいじゃないか?!』……え?そうだね?

 

『十歳で独り立ちするものなのか?』って?いやー……、なんか知らんけど、妹はこの頃にはマサチューセッツ工科大学を飛び級首席で卒業して、アメリカで研究者になってたから……。

 

いや分からんけど、新台家の人間は、親としてはゲロカスだけど能力値は高いからね。

 

むしろ、俺みたいに目に見えない能力と言うか、経験値が多いのが特徴みたいなタイプの方が少なかったみたいだよ?

 

まあ、それは良いとして、そんな感じで俺は旅に出ていたんだよ。

 

男塾で死にかけた人を回収して蘇生する仕事とか、ノースティリスで冒険とか、アサシン教団でバイトとかしながら、毎日楽しく暮らしていた。

 

そしてまあ……、うん。

 

この辺でやめとかない?

 

アッハイ、わかりましたぁ……。

 

あー、その、ね?

 

段々、女の人に興味とか出てきてさ。

 

で……、地元に、すっごく可愛い幼馴染がね、住んでてね。

 

東北ずん子っていう美少女がね、近くにね?

 

うん……。

 

学校も一緒でさ、口説きまくったんだよ。

 

女の子の扱い方は、ずん子に教わったと言っても過言じゃないね、うん。

 

……ここまで言えば良いでしょ?

 

『是非続きを聞かせてくれないか、提督』

 

『僕も聞きたいかな』

 

『初恋でちかー、聞きたいでちねー』

 

ウス……。

 

あー……。

 

あー。

 

はい!

 

まあね!俺もこの頃は童貞でね!色々と失敗をしながらも甘酸っぱい恋愛をしてね!

 

十四くらいの頃にずん子の家でね!その……、ね?!!

 

そう言うことだよ……。

 

『へえ……』

 

『ふぅん……?』

 

『そうなんデスかー』

 

あー!涼しいなー!冬だもんなー!暖房効いてないのかなー?!

 

……まあ、うん。

 

初恋の味はずんだ味でした……。

 

 

 

この話は良いでしょ?

 

とりあえず俺は、心からずん子を愛していたよ。

 

けれどずん子は、東北で一生を終えたいと望んでいた。

 

だから、別れた。

 

旅人の俺とは、やっていけないから。

 

どこへ行ってもそうだったよ。

 

色んな女の子と恋愛したし、結婚だって何度もした。

 

でも、駄目なんだ。

 

長続きしない。

 

俺に着いて来れる女の子はそうそういないし、俺も、女の子を置いて旅に出たくなっちゃうんだ。

 

結局、愛情よりも、旅に出たいと言う気持ちを優先する……。

 

新台家の人間らしい、ゲス野郎だね。

 

多分、子供ができた女の人とかもいるだろう。

 

お金はたらふく渡してから失踪するようにしてきたから、生活には困らないはずだけど。

 

でもまあ……、俺はクズだ。

 

色んな子がいたよ。

 

転移魔法のミスで出会った早栗。

 

リハビリを手伝う内に恋仲になったなのは。六課の子達も何だかんだで……。

 

軍内で働いている内に隣にいた芳佳。ネウロイ騒ぎ終わった頃にはみんな……。

 

セフレのパンティ。

 

魔術師として出会ったアルル達とか……。

 

幻想郷はもう、ね?

 

あとは、崩壊した世界で出会ったチトとユーリ……。

 

みんな……、みんな、置いてきてしまった。

 

確かに、辛そうで、大変そうで、可哀想だった。

 

だから助けた。下心もあった。

 

可愛い女の子は幸せになるべきだから。

 

そうやって助ければ……、まあ、惚れられちゃうんだよな。

 

そして、それを受け入れちゃうんだよなあ……!

 

その後、失踪するんだけど。

 

『提督は、悪くないさ。捨てられる女が悪いんだ』

 

それは違うよ長門。

 

時代や環境のせいじゃなくて……。

 

俺が悪いんだよ。

 

『本当に愛しているならば、全てを捨てて貴方を追うはずだろう?そうしない女など……!』

 

違う、そうじゃない。

 

それが人間なんだ。

 

愛という言葉で、やりたいことを諦めて欲しくないし、俺も諦めたくない。

 

……彼女達には今でも会うよ。

 

もちろん、会えなくなった子もいるけどね。

 

恐らくは俺の子であろう、子供を抱えていることもあった。

 

けど、彼女達は……、俺の重荷にならないようにと……!

 

「預かっている親戚の子だよ」だなんて言って……!

 

はぁ……、罪悪感やべー。

 

それなのに、平穏な生活に耐えられないとか、俺はおかしいな。

 

『……ん?昔の女に、まだ会っているのか?』

 

ん、ああ、まあ、年に一度くらいは顔を見せに行くよ。あと、困ってたらお金出すし、ツテも使うし……。

 

『……それは、捨てたとは言わないのでは?』

 

そうかね。

 

まだ愛したいなどと……、すっぱり捨て去るような潔さもないなと自嘲するよ。

 

『それで良いだろう。貴方は、貴方がクズだと罵る親とは違い、定期的に顔を見せにきてくれるんだ。女達は喜んでいるよ』

 

そうかなあ……。

 

そうだと良いな。

 

 

 

『ところで、昔の女について詳しい話をだな……』

 

あえーっと……。

 

ちょっとだけだぞ?

 

ずん子は今はユーチューバーやってるんだけど、本職は農家でな……。

 




旅人
何かの病気なんじゃないっすか?

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